第9話 再会
彼らは見覚えのある青年がいる二階席へと移動した。二階にある客席にはちらほら話し合いをしているチームがあり、その中に二人しかいないチームがおりどうやらその二人らしい。
入り口付近にいた
「やあ、直接会うのは久し振りだね。
「ああ、お前も俺もテレビでも共演することはなかったしな」
「まあ僕らは出るジャンルも違うから仕方ないよ」
「俺はテレビなんざ出たかねぇけどな」
口を尖らせ憎まれ口を叩く。
「相変わらずだね、ははっ」
柔和な笑みを浮かべ気さくに話し掛けてきたのは、彼の旧友、
テレビ、と言うのは
「まあ、改めてよろしく頼むぜ」
「こちらこそだよ、
二人は握手をし笑い合う、昔を懐かしむように。
「それにしても戻ってきてくれるとはね。てっきりあのまま会えなくなるのかとッウ...い、痛いな……アル。どうしたんだい?」
隣にいた小柄な少女が
「頬緩め過ぎ」
「し、仕方ないじゃないか、久々に会ったんだから...」
「これからの日本を担う人になるんだから、緩めるのは良くない」
目を細めてジトッと咎める様に言う。
「お前のバディのがしっかりしてそうだな」
小さく呟いた
「お初にお目にかかります、
「まさかとは思っていたが、あのレーヴェルトの娘か」
彼女、アルベント・ノーヴルイルはドイツ国内の序列五位で親日家でもある、レーヴェルト・ノーヴルイルの娘。
背は低く、黒髪のウルフヘアーで左目が隠れている。
「僕らの場合バディっていうか、許嫁だけどね」
「そ、そうなの!?」
「あれ
「何も聞いてないわ...」
さも当然かのように告げられたが、どうやら全く聞かされていなかったようだ。
「んじゃまあ、よろしく頼むぜお前ら」
「ああ!」
「よろしくお願いします」
「うん!」
三者三様の返答を聞き、
「それじゃあさっそく話し合いをしていこうか。まずはどのくらいの戦闘経験があるかどうか。僕とアルは中等部三年の頃から任務経験がある。基本的に侵食が激しい地域に出現した魔物や領界種の討伐だね。二人はどうだい?」
「私はバディがいなかったから数回、高等部の先輩方に混ざって討伐に当たったことがあるくらいね...
「お前らも知っての通り普通科からの編入だからな、領界種との戦闘経験はこの年齢になってからは無い......まあつい先日の襲撃を除けば、だがな」
───結局親父と同じ道を歩くことになるのか...これも運命かもな
「了解だよ。そうだねぇ......簡単に模擬戦でもしてみようか。...お前が弱すぎると困るからねぇ」
あからさまな挑発。勿論彼は本気で言っている訳ではない。だが
イラッ
そんな擬音が聞こえてきそうなくらいに眉を潜めた
「デカイ口叩けるようになったなあ
不敵な笑みを浮かべながらジリジリと
「やりたいって言ってたんだよね、模擬戦。主にそこ二人で」
「そんなに?あまり彼が好戦的なイメージは無いのだけれど」
「普段はない。でも
呆れ混じり呟き肩を竦める。それだけの仲の良さを
「今の
「ああいいぜ、やってやろうじゃねぇか」
パキパキッと指の骨を鳴らしながら
時間にして三十分程、剣を交わらせたが意外にも
とはいえ、校内でも良い意味でも悪い意味でも目立つ二人がやり合うわけなので早々に止めざるを得なかった。
「なんで良い勝負してんだよ...」
ふぅーッと息を吐き出しながら、肩に掛けた鞘に剣を納める。
「それは僕が聞きたいよ。強すぎだよ
遺伝なのかはたまた素でこれなのか、真相はわからないが恐怖すら感じてしまう程の学習能力があるのは間違いないだろう。
「剣道やってたお陰なのか、こないだのあれのせいなのか......。どっちにしろ任務には支障無さそうだろ?」
「うん、十分すぎるくらいにね」
「君の現時点での実力もわかったところで、さっそく初任務の内容を確認しようか」
彼の言葉に一同頷き、スマホを取り出す。追加のメッセージの中に任務内容が書かれた書類がPDFで添付されており、それを開く。
『任務難易度:D 闘級【獣森級】D~C【ヴォルフ・サルトゥス】四体、C【ユイット・サルトゥス】一体の討伐。討伐後は速やかに帰還すること、討伐数の確認方法は【核】を必要数持ち帰ることとする』
狼の姿をした領界種四体と蜘蛛が巨大化した領界種一体の討伐。どの学生も同じ任務内容で何チームかごとに日を分けて討伐任務が行われる。だが、
「そこそこの任務だね。とは言え、僕らに出来ない物でも無さそうだ」
「ほーんそうなのか。闘級はまだ全然把握しきれてねぇから、いまいちピンとこん」
「まあそこは追々覚えていけば大丈夫だよ、現段階ならアルファベット表記の危険度さえ分かってればね」
「ああそれなら大丈夫だ。普通科じゃあそれでしか習わないからな」
普通科と探索科の違いを感じながら当日のフォーメーションについての話し合いが行われる。基本的に
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