第9話

目を覚ますと、リビングのフローリングの上に寝ていた。

「戻った」

まだ陽が落ちていない。過去に戻っている間は現在の時間は止まっている。クロネコが言ったとおりだった。

 上半身を起こして周りを見渡す。あれ、クロネコはどこだ。

「おはよう。こんばんは?どっちでもいいや」

後ろにいたのか。

「これで分かったね。さ、次のステップに行こうか」

「次?」

「君の寿命だよ。過去に戻るためには知ってもらう必要がある」

「そんなこと言ってたな。うーん。変えたい過去ね…」

「あるだろ?」

顔に張りがなく、少し不機嫌な顔をしていた。

「そりゃね」

「58。これが水野佑の寿命だよ」


息を吸うことを体が拒否しているかのようで、呼吸ができなかった。心臓が破裂しそうなほどの巨大な鼓動を打った。冗談ではなく目ん玉が跳び出そうになった。無理やりせき込むことでどうにか肺を動かし、息を吸うことができた。

「まだ行くとは、ゴホッ、言ってないだろ…」

「もどかしいんだよ。次のタイムループの日時は6月8日土曜日 22時だ。タイムリープしたいならいろいろ…いや、大丈夫か…

数字を聞いてから、体育座りのままうなだれていた。

大丈夫かだって?なにがだよ。勝手に寿命言いやがって。そもそもよ…

「次のタイムループの日時は6月9日日曜日 21時だからな。何か聞きたいことがあったら呼べ。気が向いたら行くから。またな」

「おい待て!寿命短すぎるだろ!」

顔を上げたときにはもうクロネコは消えていた。

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