第12話  情熱的な夜、悲惨な朝

 あたくしたちは、それは情熱的な夜を過ごしましたわ。

 二歳年下のアランは花街デビューをしてたとかで。

 彼のチェリーちゃんを頂こうとしていたのに、少し残念でした。

 でも、その分彼はテクニシャンでもあり、あたくしの望むことは全て やってくれたのです。


 彼があたくしの中に入って来た時は、興奮の絶頂で吠えてしまいましたわ。

 あたくしたちは一晩をかけて、じっくりと愛し合い満たされ合いましたわ。

 何度、わたくしの中に彼が入ってきた事か……あたくしは途中で気を失ってしまいましたの。気持ちが良すぎて……こんなに相性のいい人も初めてですわ。


 気が付いたら、かなり日は高くなっておりました。


「カミーユ!!起きて!!退城の時間だよ。着付けに時間が掛かるんだろ?侍女が必要なんじゃないのか?」


 昨晩の情熱に浸っているあたくしに、アランは冷めてますわね。


「もう少し、ここにいましょうよ。アラン」


「生憎だけど、今日はもうアルテアに帰るんだ。明日から授業でね」


 アランは冷たく言いましたわ。


「時間が延びると延長料金が発生してしまうだろ?」


「何のこと!?」


「僕は昨日、君をお金で買ったんだ」


「どういうことですの?」

「この辺りの相場は知らないけど、伯爵令嬢が一晩貸し切りだと……金貨一枚くらいかな……」


 何を言ってますの!?

 アランは……

 あたくしをまるで娼婦のように値踏みして……!!


 すっかり身支度を終えたアランは、懐から金貨一枚をあたくしに投げてきました。


「じゃ、僕は行くから。この部屋に侍女を寄越す様に手配しておくよ。」


「待ちなさい!!アラン!!昨日のことは遊びだったというの!?あんなに深く愛し合ったのに!?」


「愚問だな。僕は君の妹の婚約者なんだぜ。ここは、割り切って行こうじゃないか」


「~~」


 あたくしは言い返せませんでした。


「ミレーユにあなたが女を知ってることを言いますわ」


「どーぞ。どーぞ。彼女は知ってるよ。てか、ミレーユとは、神の御前で誓って、銀の森の宿屋で結ばれてるよ」


 アラン~どこまで節操のない男だったのでしょう!!

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