Act:76『そろそろ寝るか』

蛍(……部屋片付けてたっけ)

夢「♪」

蛍(ええい、散らかってないことを願うのみ!)

 「ど、どうぞ……!」

  ガチャ

夢「お邪魔しま~す♪」

蛍(……よ、よかった。特に何も出てないな)

夢「すご~い! ちゃんと整理整頓されてるね」

蛍「そ、そうか? 普通だと思うけど」

夢「内緒だけど、私の部屋……ちょっと散らかってるかも?」

蛍「意外だな」

夢「お洋服いっぱいで、溢れちゃってるんだよね」

蛍「ああ、なるほどな」


夢「というか……」くんくん

蛍「ん?」

夢「……すっごい蛍くんの匂いするね」

蛍「そ、そんなに臭うか?」

夢「ううん、じゃなくて、。私、蛍くんの匂い大好きだもん」

蛍(毎回これの良い返しがわからん……)


夢「前にさ」

蛍「?」

夢「連絡先交換したじゃない?」

蛍「そうだな」

夢「勇気出してメールしたら、蛍くん返してくれて嬉しかった」

蛍「……そりゃ、来たら返すよ」

夢「ちゃんと授業の間に返してくれるの、真面目だなぁ~って」

蛍「授業中に触ったら怒られるからな」

夢「ふふ~そういうとこも蛍くんらしいね」


夢「ベッド、座ってもいい?」

蛍「えっ」

夢「あ、ダメなら大丈夫だよ」

蛍「いや、夢が嫌じゃないなら」

夢「え~なんで~?」

蛍「……」

夢「んしょ……は~」

蛍「というかすまん、立ちっぱなしだったな」

夢「ううん、ヘーキヘーキ」


夢「こんなことしてたら、唯ちゃんに怒られるかな?」

蛍「え?」

夢「唯ちゃんって、結構嫉妬深かったりする?」

蛍「……なんでアイツの名前が出るんだ?」

夢「え?」

蛍「……」

夢「……んー、なんでだろ~?」


蛍「アイツの場合は、何も言わずに勝手にベッドに寝転ぶし、

  平気でクローゼットに隠れたり、人の家でやりたい放題だ」

夢「えっ、そうなの!」

蛍「ああ」

夢「……えいっ」

蛍「なんでお前も寝転ぶんだよ?!」

夢「なんとなくしたくなっただけ~」

蛍「はぁ……」


――――――――――


夢「今日はありがとう~楽しかった」

蛍「俺も。楽しかった」

夢「駅まで送ってくれなくても良かったのに」

蛍「道わからないって言ったのは誰だっけ?」

夢「ふふ、私♪」

蛍「……気をつけてな」

夢「うん、ここからタクシーで帰るから大丈夫」

蛍「え、だったら家の前まで呼べば良かったのに」

夢「それじゃあ蛍くんと一緒に歩けないじゃない?」

蛍「え……」

夢「ふふ。……また少し会えないかも」

蛍「ああ、忙しいもんな」

夢「うん。だから今日、嬉しかった」

蛍「俺もだ」

夢「ほんと? うれしー」


――――――――――


蛍「そろそろ寝るか」

舞「うん」

蛍「ん、なんか嬉しそうだな」

舞「だって、ちょっと前までここにあの夢っちがいたんだよ!?」

蛍「あ、ああ」

舞「信じられない……すごい……」

蛍(本当に大ファンなんだな、舞……)


――――――――――


蛍「ふう……」

 (まあ確かに、さっきまで夢が俺の部屋にいたんだもんな)

 「よっと……ん………。!!」

 (ベッドから夢の匂いがする……!!)


――――――――――


蛍「……」

 (一睡もできなかった……)


――――――――――


唯「おはよう」

蛍「おう……」

唯「おや、昨日は眠れなかったのかい?」

蛍「……まあな」

唯「……いつもと違う匂いがするね?」

蛍「へっ!?」

唯「……ふふ、冗談さ」

蛍(冗談か本当なのかどっちかわからん……)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る