Act:77『美味しい』

-2-C教室-


京「ほたるくーん!」

蛍「お、どうした京」

京「桜ちゃんと一緒にたこ焼き作ってん!」

蛍「おお、美味そう」

京「食べてくれる?」

蛍「いいのか?」

京「にひひ! はい、あーん!」

蛍「んぇ、あ、あーん」

  ぱくっ

蛍「アッツゥゥ!!!」

京「アッ!! 焼きたてやった! ごめぇん!」


蛍「熱かった……」

京「はわわ……ホンマにごめんな?」

蛍「大丈夫大丈夫、口の中だし、すぐ治るよ」

唯「『』と聞いて」

蛍「やかましい」

京「中はタコやで!」

蛍「そういうことでもない、イテテッ……」


京「うう……」

蛍「どうしたんだよ京」

京「ほたるくん火傷させてしもたから……」

蛍「だから大丈夫だって」

京「せやけど………ほたるくん、どこ火傷したん? 見して!」

蛍「まあ、このあはり(このあたり)」

京「そこ?」

蛍「ああ」

 (顔近いな)

京 ふーふー

蛍「ぅぉい! な、なにしてんだ!?」

京「冷まそうと思て~!」

蛍「息吹きかけても冷めねえよ!」


唯「おや、忍さん」

忍「あ……」

唯「よかったらどうだい、たこ焼き」

忍「い、いいんですか?」

唯「うん。京さん、張り切って作り過ぎちゃったみたいだから」

忍「あ、じゃあいただきます……」

唯「焼きたてらしいから気をつけ――」

忍 ぱくっ

唯「―—あ」

忍「……美味しいです」

唯「それなら良かった」


唯「一応ボクは冷ましてからいただこうかな」ふーふー

忍「あ……」

唯 ぱくっ

忍「……」

唯「うん、美味しいね。 ん? どうしたんだい?」

忍(篠瀬先輩、可愛い……)


忍「篠瀬先輩、も、もう一個食べませんか?」

唯「ああ、ボクはもう大丈夫だよ」

忍「い、いえ、食べて欲しいんです」

唯「食べて欲しい? ふふっ、そこまで言われたらいただこうかな」

忍「……」

唯 ふーふー ぱくっ

忍「……」

唯「美味しい」

忍「可愛い……」ぼそっ


唯「え?」

忍「あっ、いえ……」

京「ほたるくん待ってや~!」

蛍「うるせえ! ……ん、どうした忍?」

忍「あ、宮澤先輩……」

唯「……」

蛍「な、なんでそんなに顔赤いんだ?」

忍「え、えっと……」


京「唯ちゃん顔真っ赤やん! 熱いの食べた?!」

唯「いや、あはは……」

蛍「忍、何か知ってるか?」

忍「あ、いや……私はただ『可愛い』って言っただけで……」

蛍「……あー、なるほどな」

忍「え……?」

唯「……」

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