第22話 キィドの悲劇・前編
国境で
「
身長2メートルを越す大男でハゲの
「
目が見えているのか疑問なほど前髪の長い
「今度会ったら絶対に ただじゃおかねー!!」
「次も やられんじゃね~?」
「うるせーぞ!!姫さんに呼ばれてんだ!!早く行くぞ!!」
二人が総大将の天幕に入ると
「姫さん?どうしたんすか?」
「いや…何でも…
「お陰さんで 男前が台無しっすよ…クソったれ
「しっかし な~んで追い打ちしてこなかったんすかね~?」
「その件だけど…二人に聞きたい事があって呼んだのよ……」
「え?
「二人は以前 あの
「見ての通りっすよ…偉そうで いけ好かない女っす…今度 会ったら絶対に負けねー!!ズタボロにしてやりますよ!!」
「いや…聞きたいのは…そう言う事じゃなくてね……」
「オメー 逆にズタボロにされんじゃね~?」
「うるせーぞ!!
「…………」
ヨーリィは 更に城塞から出て来ようとはせず5日が経過した。
「姫様 今日も連中は出て来ませんぞ?」
「それどころか 城塞内では楽しげに笑い声が聞こえ戦う気すら感じられません」
(あの人は本当に戦うつもりは無いのかしら?)
「こちらから戦を仕掛けますか?」
「いえ…それよりも国内の事が心配です…何か報告は来てませんか?」
「今の所は ございませんが…」
そして更に5日後 白昼堂々と
「あのクソ女!!今度出て来やがったら
「
「うるせーぞ!!
(アレは早く戻れと言う警告かしら……)
そして2日後…
「ひ…姫様…さ…サナーガ……き…キィドに……」
「どうしたの!?しっかりしなさい!!」
伝令の兵はキィドから昼夜を駆けて来たらしく、書状を
「なっ!?……」
「姫様?」
「姫さん?そいつには なんて?」
「サナーガが…裏切り…を……」
「何だって!!??」
「裏切り……おいおい
「この日付は…3日前……」
「なんて事…あれだけ警戒する様に言われていたのに…私はなんて愚かな……」
「姫様!!早急に手を打たねば!!」
「そうです!!直ぐに戻りましょう!!」
「まだ間に合うかも知れません!!」
「直ぐに撤退を!!卑劣なサナーガを…
「しかし…目の前のヨーリィは……」
「クレトを奪われ追撃を受けるのでは!?」
「捨て置きなさい!!キィドとルーフェイを守るのが先よ!!」
「ハッ!!」
リョーブ軍の
「
「フフフ、やっと帰る気になったのね」
「
「その必要は無いわ 私達もヨーリィに戻る」
「え?どうしてですか!?」
「あの姫様には必要かも知れないからよ 生きていたらの話だけどね」
「必要?」
3日前 リョーブの商業都市キィドにて……
ダァル商会で用心棒の仕事をしている 踊り子風の衣装を
「今日で25日目か…どうにも胸騒ぎがするわね……」
空を見つめて神妙な顔をする姉
「
「東の空がざわついて見えるのよ 何か良くない事が起きる気がする……」
「東…」
「どうしても嫌な予感がするのよ
「あ…わたしも行きますよ」
「あれ?
「
「変わった事?…いえ…特に報告は……」
不意に東の空を見つめる
「お姉さん…東で鳥の群れが…普通はあんな飛び方しませんよね?」
「え?あれは……まさか!!??」
「
「
「え!?サナーガが!!??」
周囲の者達は騒然となり逃げ出し始めた。無理も無い…この場には3万人近い鎧兜を
「そんな…どうすれば……」
「門を固く閉じてルーフェイとオタウに救援を求めなさい!!ここからクレトまで往復で6日、耐えれば姫様の援軍が来る!!」
「そ…それは…無理です……」
「どうして!?キィドが落ちればルーフェイもオタウも守るのは無理なのよ!?」
「ルーフェイとオタウには、ほとんど守備兵が残って無いのです……」
「なんですって!!??」
ふと
「お姉さん?」
心配そうに見つめる
「
「どうするんですか!?まさか……」
「
そう二人に言い残すと
「待って!!お姉さん!!置いて行かないで!!待ってよ!!」
「
「
「わかったわよ…こうなったら…やるだけやってやるよ!!」
「お前達!!良く聞きな!!ここにサナーガの裏切り者が迫ってる!!」
サナーガとの同盟に安心していた兵達は 突然の宣言に騒然となった。
「見ての通りアタイらの力じゃキィドは守りきれない!!」
「じゃあ…どうするんですか!?」
「援軍を!!」
「戦っても勝てない!!援軍なんか間に合わない!!だったら一つしかないだろう!!??」
「玉砕覚悟で
「我々3千で!?」
「敵はどれだけいるのですか!?」
「知るか!!10万だろうと20万だろうと変わりは無い!!たった一人でいい!!
死んでも英雄 その言葉に城兵3千は心を打たれた。
「そうだ!!俺は裏切り者を殺すぞ!!」
「国の為に戦うぞ!!」
「うお~!!やってやる!!」
「こっからはアタイら大人の仕事だ…アンタはここにいるんだ…」
「
「ちょっと力が入りすぎたかな…」
「良し!!行くよ!!
兵達は全員死ぬ覚悟で口々に
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