第10話 具申の餌
国境の戦いに敗れたものの 砦には5千の敗残兵が
「姫!!急ぎ守りを固め援軍の要請を!!」
「そうです!!ルーフェイには1万の兵がございます。大王に救援を!!」
「…………」
深手を負い満足に動かぬ体で
「この場で守りを固め援軍を待つなど下策です!!私はキィドへの撤退を
末席から踊り子風の衣装を
「貴様は
「
「姫様!?話を聞くのですか!!??」
「
「しかし……くっ…良いでしょう…聞くだけ聞きましょう……」
「事ここに
「生意気な
無駄に立派な髭を持つ
「籠城とは申しておりませぬ、
「
「姫!?
「不利な場所で援軍を待つ以外に道があるなら、聞くべきです」
「むぐぐぐ……」
納得のいかない
「あくまでキィドは
「
「キィドに攻撃をさせ、その背後を狙うのです」
「ほう?なるほど……」
「我が軍は負傷兵が多く数は2千人ほどと思われます。戦える兵は3千…元よりこの地での勝機は既にありません」
「なればこそ援軍を!!」
「間に合いません。無駄に兵を死なせるくらいなら、キィドで戦う方が勝つ見込みはあります」
「
「姫まで!?」
「
「その兵で敵の背後を?」
「それだけでは見破られます。他にも一手必要なのです」
「その一手とは?」
「キィドの南西にある城塞都市オタウから援軍を出し、サナーガ軍の後方側面から攻撃を加えるのです」
「上手く行けば三方向からの挟撃が可能と言う訳ですな?」
「ただし敵を南門に引きつけねば策は成功しません」
南門と聞き
「ふん!!やはり
「確かに…キィドの南門は城壁も高く正門である
「私が指揮官でも攻撃は避けるわね……」
「守りの硬い場所ほど油断を誘えると言うもの、敵には
「どう言う意味ですか?」
「守りの硬さを過信していると装い
「門を破壊するだと!?馬鹿馬鹿しい、左様な事をすれば姫の身が危険であろう!?怪我をした兵が姫を守れるか!!却下だ!!却下!!」
門を破壊すると聞き
「それくらい派手な
「また
「キィドには守備兵2千がいるのです。簡単に落ちる事はありません、姫様が指揮するキィドとオタウからの援軍に目が行けば背後の3千の兵は大いに
「わかりました…私も戦います!!その策で行きましょう!!」
「姫!?左様なお体で無茶を??」
「リョーブの王女として民を守る為に戦うのは当然、そなたはどうですか?リョーブの将軍として共に戦う気がありますか?」
「うぐぐぐ…無論あります!!姫と共に戦いますぞ!!」
「姫様 オタウの主将は我が息子です!!急ぎ援軍を連れて参ります!!」
「頼みますよ
「では 我ら
リョーブ軍は急ぎ砦から引き揚げ、
「
「上出来よ、
「こいつも裏方の仕事でさあ」
垂れ目でシャクレ
「後は鎧兜を着せて、弓を持たせて立たせまさあ」
「
「さてと…それじゃあ行きますか
「あいよ~」
「
「え?……(嫌な予感…)」
数時間後 赤い派手な鎧を
「フフフ、撤退せぬとは見上げた根性だな?」
「
羽根付き三角帽を
「それがどうした
「敵は負傷兵も多い
「察するに手負いの狼の意地と言う奴だろう?心配無いさ」
「申し上げます!!敵本陣は門を開け放ち、敵将と
「ほう?二人だと?」
「あの者達は……」
「
「わ…わかってますよ…で…でも…怖いです…」
「まあ…
「辞めて下さいよ…ただでさえ怖いのに……」
「プッ!
「か…からかわないで下さい!!」
二人の様子を見てサナーガの兵は
「何だ?あの女と小僧の余裕は?」
「あいつ 笑ってるぞ?」
「門を開け放ち罠でもあるんじゃないか?」
困惑する兵達に
「何をしている!?進め!!」
「し…しかし……敵には罠が…」
「このまま進むのは危険では?」
「ここは…慎重に……」
「ならば私が手本を見せて…」
「くっ!?これは警告と言う事か??我が軍を一網打尽にするという魂胆だな!?その手に乗るか!
罠を恐れた
「見たか!!これぞ
「もう…嫌です……」
「
「あ~!!待って下さいよ~!!」
翌日 敵本陣には旗指物と
「私をたばかるとは 許せん!!」
「お…お姉さん…あの人凄く怒ってますよ!?どうするんですか!?」
「う~ん…困ったわね、怒れる兵1万対
「ちょっ!?お姉さん?今なんと?
「気のせいよ ちゃんと
「嘘つき!!」
「嘘じゃ無いわよ?大体同じ読み方なのがいけないのよ?」
「え?そう言われてみれば…」
「そう言う事よ~」
「でも普通に
「気のせいよ 小さい事を気にしちゃダメ」
「これ 小さい事ですか??」
相変わらずバカ話をする二人だが谷である為、二人の声はやたらと響きその異様さにまたしても兵の歩みは止まった。
「進め!!馬鹿者!!ただのこけおどしにすぎん!!」
「し…しかし……」
迷っている兵達を見て
「うわ~っ!?何だ!?この岩!?」
「空から降って来るぞ!?」
「あの女は魔女か!?」
「くっ!?これではまともに戦えん…
「見たか!!これぞ
「
「え?…あの…何ですか?そ…そんなに見つめられると……」
「決めた!!
「はあ!?
「いや…オメー、あのデカい岩を俺様の倍の数は余裕でぶん投げてたぜ…オメーにしか出来ねー芸当だ……」
「アタイ普通に投げてただけだけど、アンタは手を抜いてたんでしょう?」
「普通にこのデカい岩を軽々とぶん投げるのは普通じゃねー!!!!」
その後も迫り来る
「姫…キィド…入った…兵…森の中……」
「計画通りね 私達も森に行くわよ!!」
「お姉さん…少し休もうよ…待ってよ~…」
今まさにキィド攻防戦が始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます