第7話 危うさ
ナンケー地方北東部のサナーガは人口も多く大河を利用した貿易で栄えていたが、
「
サナーガの首都チョーセーの政庁では、太い眉で大きな鼻をした目つきの悪い小太りの男が
「ウヒヒヒ、大王 心配には及びませんぞ」
陰険で陰湿な痩せこけた男が
「
「ウヒヒヒ、
「ふん!!ならば今一度リョーブを攻めよ!!次は誰が大将になる!?前へ出よ!!!!」
周囲の将軍達は誰も志願しなかった。負ければ家族もろとも首を
「チッ!!この臆病者共が!!貴様ら全員首を
「兄上!!いや…大王!!私が戦います!!」
「ん?貴様は
「ハッ!!勝利の栄光を大王に!!」
サナーガ軍が再び攻め寄せて来ると聞き リョーブ軍は前回と同じく国境に砦を築き守りを固めて援軍を待った。
「フフフ、
「
先発隊を率い サナーガ軍の大将
「
「確かに
「全くだ。あんな敵
「恐れながら…よもや…騎馬隊で砦に攻撃をなさるおつもりですか?」
「ああその通りだ。見せて貰おうか!?守りを固めただけの
周囲の部下達は その発言に
「お辞め下さい!!あんな所に騎馬隊で突撃すれば矢の的になるだけです!!」
「矢など当たらなければ意味が無い!!我が真紅の騎馬隊の速さで全て
「え!?…し…しかし……」
部下達は皆 思った(逆に当たりに行くだけなのでは?)と……
「
「…………」
さり気なく冷静にキツい言葉を浴びせる
「フフフフ…ハハハハッ!!ならば私が手本を見せよう!!出るぞ!!」
ただ一騎 猛烈な速さで敵陣に突撃する
「フッ…それでこそ我が麾下 真紅の騎馬隊だ!!」
副官の
「やれやれ…仕方ありませんね……皆 騎乗しながらありったけの矢を放ちなさい!!ここからならギリギリ敵に届きます!!」
リョーブ軍の弓隊は先頭を走る
「何?あの赤い派手な鎧の大将……」
その様子を砦の中で見ていたのは、踊り子風の衣装を
「本当ですよね?あの赤い大将は何がしたかったんすかね?結局退却しちゃいましたよ?誰も死んで無いけど……」
そう
「でも凄い速さでしたよね?矢だって全然当たりませんでしたよ?」
「あのね…
「そうっすよね?ありゃ一人で突っ込んで死ぬタイプだわ」
「はあ……我が軍は相変わらず援軍を待って攻撃か…軍議に加わって良いと言われてるけど、いつになったら戦うのやら…」
「
「まともな人なら良いんだけどね…」
数日後 リョーブ軍にようやく援軍が到着し作戦会議に入った。
「私が全軍の指揮を任された
援軍に来たのは リョーブの王
「姫様が
「
「いえ…
「では作戦を…その前に…
「軍議の参加を認めました」
「私は傭兵など信用しておりませぬ!!彼らは己の気分で敵に回る浅ましい
あからさまに傭兵を毛嫌いする
「お言葉には従いますが 遊びに来た訳では無く
「貴様!!姫様に何たる
姫の側近の一人であろう無駄に立派な髭の男が剣を抜いて
「
(勇猛かもしれないけど危うい姫様ね…)
「何だそりゃ!?馬鹿にしやがって!!抗議してくるぜ!!!!」
ハゲで大男の
「よしなさいよ こんなの大した事じゃ無いわ、もっと酷い事を言われた事だってあるんだから」
「
「そうですよ!!馬鹿にしてますよ!!アタイも抗議すべきだと思います!!」
「馬鹿ね 抗議したって聞く耳なんて持つ訳ないわよ 事を荒立てるだけ損」
「
「私は大丈夫よ
「やれやれ…
「チッ!!
翌日
「ほう?大将は
「
「心配するな
「ああ…やはり 準備しておいて良かった……」
「
「両軍…正面から…姫…先陣……」
「無謀ね 焦ってるのかしら?敵の布陣はどう?」
「全軍…足並み…揃ってた…赤い大将…後ろ……」
サナーガ軍の赤い鎧の派手な大将が前線に突進せず後ろに控えてると聞き、
「へ〜 あの派手な大将も空気は読むんですね?」
「違うと思うわ
「
「
「馬鹿野郎!!
「う〜ん…でも…勝手に動いて良いものか……」
傭兵とはいえ 命令も無しに勝手に戦うべきか
「
「あ?そう言えばそうね、あの時そう言われたわ」
「でかしたぞ
「そうね、
その頃
「姫!!前線が崩れております!!」
「
「わ…私もそう聞いておりました…あそこにいる派手な大将は一人で突進しては後続部隊が混乱すると……」
「え〜い!!何だ!?この馬の速度は??いつもの倍以下だぞ!?」
副官の
「ウフフフ、そのお陰で
「チッ…
(いえ それは最大の欠点…こっそり馬を遅いのに変えて正解……)
やがてリョーブ軍の前線部隊は次々と倒れ 遂には
「申し上げます!!敵は前線部隊を残し撤退しております!!」
「大将を残して逃げるとは見下げ果てた敵だな」
絶好の勝機に
「
「フフ、
「いいえ 完全なる勝利の為です。あの者の身柄と引き換えにキィドを手に入れましょう?」
「フフフ、非情だな?ならば軍を二手に、お前は4千で
サナーガ軍による
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