第2話 女です

一人取り残された戦場せんじょうで剣を構えながらキョロキョロとあたりを見回すのは、おかっぱ頭を頭頂部でしばり革鎧に手甲そして半ズボン、小さく細身の体は頼りなく パッと見ひ弱な男の子……


「み…みんな…ど…何処どこに??」


不意に茂みが ガサガサと動いた。


「お姉さん!?」


しかし茂みから出てきたのは一匹のウサギ…


「なんだ…まぎらわしい みんな何処どこに…」


「おい!!小僧!!」


不意に呼ばれ振り返った先にいたのは、槍を構える血だらけの男だった。


「ひ〜っ!!で…で…出た〜!!」

「騒ぐな!!敵にバレる!!」


血だらけの男は槍を突きつけた。その鬼気迫ききせまる姿に思わず腰を抜かし尻餅をつき剣を構える両手はプルプルと震えていた…失禁こそはしていないが なんとも情けない姿である……


「お前も敵だな?俺は生き抜く為なら小僧でも容赦はしない!!」


首筋に槍を突きつけられたので、剣を捨てつつ無様に慌てながら言った。


「だ…誰にも言いません!!そ…そうだ!!わたし…女なんです!!男なんかじゃありません!!小僧じゃないですよ!!証拠に脱ぎます!!」


大慌てて服を脱ぎ出す女の子?に血だらけの男は言った。


「このガキ!!お前の裸なんてどうでも良いんだ!!死ね…ぐぼっ!!」

「え?ぐぼっ?」


血だらけの男は倒れ そばには、剣を構える踊り子風衣装をまとう女性が立っていた。


せい!!大丈夫!?」

「か…か…華桃かとうお姉さん!?」


華桃かとうせいが裸なのを見て青ざめた。


「ま…まさか…こいつに乱暴を……」

「ちょっ!!違いますよ!!これは…その…別件で…」

「別件?…って言うか どうして正座を?」


せいは血だらけの男に驚き腰を抜かし立てなくなっていた。

それを聞き華桃かとうは大笑いをして優しくせいの頭を撫でた。


「大丈夫よ お姉さんが守ってあげる…大事なだもの」

「はあ!?お姉さん!?今…って??」

「え?き…気のせいよ…だってせいは妹…女の子だもん…」


(いや…絶対にって言った……)


不意にバキバキと音を立て金髪色黒の女性が現れた。その凄まじい怪力は周囲の木々をもぎ倒す勢いだ…


せい!!…って…あ……そんな……」

「あれ?紀礼女きれいじょさん?」


紀礼女きれいじょは裸のせいそばに転がる死体を見て、両膝と両手を地に付け大きくうなだれた。


「そんな…まさか…せいが先に女になるなんて……」

「なっ!?初めから女ですけど!!??」


華桃かとうは「オホン!!」と咳ばらいをして言った。


せいは貴女が思ってる様な事はされてないの!!」

「アハハハ~ですよね~せいに限って〜」

紀礼女きれいじょさんが思ってる事って?」

「それはね~つまり…おふっ!!」


華桃かとう紀礼女きれいじょに肘鉄を入れた。


「まだ知らなくていい事よ!!せい!!早く服を着なさい!!」

「は…はあ……」

華桃姐かとうねえさん…い…痛い……」


彼女?の名前はせい 11歳…その容姿から男の子に間違われる事が多いが正真正銘の女の子である……

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