第5話

プツッ

――――――あれ…

―――真っ暗だ。まただ…

―――――――――

『らいむ?』

気づくと冴里が私を呼んでいる。

『今日も一緒に帰ろ。』

『え…うん』

冴里が生きている。私もなんともない。

もしかしてと思い、スマホで日付を見た。

『今日だ…!』

また冴里が事故に遭う日に戻った。

どうしてこの日からなんだろう。でも、冴里を今度こそ助けられるかもしれない。

『今日だ…って、何か用事あったりした?』

『いや、違うの。気にしないで。それより…今日帰る道変えない?』

また変えないといけない。でも冴里は…

『ダメだよ。ちゃんと決まった道で帰らないと。』

冴里は鋭い目付きをして言った。

『え?でもいつも寄り道とかしてたじゃない』

『寄り道なんてする訳ないじゃない。夢じゃないの?とにかく同じ道じゃないと帰らないよ。』

いつもだったら寄り道していいと言ってくれるのに。それ以前に冴里の態度に引っかかった。少なくとも前の冴里とは程遠いようにも思えた。そんな冴里に怖気着いて何も言えなかった。こんな雰囲気の冴里は見たこと無かった。

『……』

『……』

沈黙の時間が続いた。話しかけようにも、とても話せる雰囲気じゃなかったからだ。なにか話そうと口を開いた時…―――

『あっ!』

先に声を出したのは冴里だった。視線の先に目をやると、線路に子猫がいた。もうすぐ電車が来る合図も聞こえる。

『これじゃ轢かれちゃう……!』

私がそう言う間、冴里は咄嗟にその猫の元へ走った。これでは冴里が危ない。

冴里が無事に子猫を助け出した。でもその後だった。私も冴里の元へ走ろうとすると……

電車が見えてきた。しかし

『足が……』

『えっ!?』

冴里の足元を見ると、線路に挟まっており、動けない状態でいた。もう電車は来る。

『冴里…手を出して!』

『ダメ!私はもう無理だから…あなたまで巻き込んじゃう。だからせめてこの猫を…』

冴里は子猫を私に渡した。

『冴里も助けるから……!』

『来ちゃだめ!』

冴里の所へ行こうとすると

『あ……』

視界が次第に暗くなり、ふらついた。

―――――――――



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