第3話

――――……前は信じる素振りすら見せなかったが、結果的には今の方が良くなったはずだ。信じて貰えたんだ……

信じて……


プツッ


『……む』


真っ暗な視界の中で囁く声が聞こえる。

さっきまで教室にいたはずなのに……

声に神経を集中させた。

『らいむってば』

ポンッ

『……え?』

肩を叩かれ、後ろを向くと

『何その顔〜。まるで何年も会ってないみたいな感じじゃない?』

死んだはずの親友だった。

『ほんとに……あなたなの?』

さっきまで小学五年生……だったというのも信じがたかったのにこれは驚きだった。

思わず私は抱きついた。こんな形で巡り会えるなんて……

『急にどうしたの?寂しくなっちゃったとかー?なーんて…』


『………』


『…泣いてるの?』

感情が込み上がり、思わず涙を流していた。

『ごめんね、急に泣き出して…』

突然泣き出したことに親友はあたふたしていたが、包み込むように抱きしめた。

『辛いことでも思い出したの?らいむは我慢しちゃうからなぁ…』

彼女とは中学の時に知り合った。会って間もないうちにすごく仲良くなった。彼女が死んだのはその二年後。事故だった。帰る道が同じだった私たちはいつものように横断歩道を歩いていると、信号を無視したトラックが猛スピードで押し寄せて来たんだ。思わぬ光景に立ち止まってた私を……後ろから押したんだよ。彼女が…。押された私は無傷だった。押された後すぐに大きな衝突音が鳴り響いた。彼女は私を庇って死んだ。私があの時彼女の手を引いてあげれば一緒に助かったかもしれない。

この日は……

事故に遭った当日…!





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る