殺した女の子③


「これを立てておきましょう」

夢斬りが遠慮がちに言う。

「それ、どうするの?」

「埋めたところにこれを刺しておけば、どこに埋めたかわかります」

銀色の刀。

「私が刺しても、よろしいですか」

「……うん。お姉ちゃん、ありがとう」

「私は皆さんを救うために生まれました」

「すくう」

「みんなが苦しくないように、少しですが助けるのです」

「雀さんも、すくわれたかな」

「はい、あなたに救われましたよ」

夢斬りは微笑んで、刀を土に当てる。

「あなたが、どこまでも飛んでいくことができますように」

刀を刺した。世界が消える。


夢斬りは何もなくなった世界で呟いた。

「そろそろ私のことも、救ってはくださいませんか」

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