第8話 服とアルバイト
土曜日。カナデにメイド服しか買い与えなかったことを後悔しつつ、全額負担でショッピングを始めた。
ちなみに来たのはライト家の近所にあるショッピングモール。ファストフード店やゲームセンターなどがあるので、ライトは確定散財だ。
「さて、まずは服ですね」
ライトが連れられてきたのはアパレルショップ。陰キャのライトには縁遠い場所だ。
「大丈夫ですか、ご主人様。このキラキラした雰囲気で発作を起こしませんか?」
「俺のことなんだと思ってんだよ!」
「キラキラ人間アレルギーですかね」
「違うわ! ……アパレルショップなんて入ったことはないけど」
カナデはニヤッと笑う。
「だから芋くさい服装なんですね。私が服選んであげますよ」
「はぁ! 芋臭くねえし!」
「上下黒のくせに何言ってるんですか?」
「うぅ!」
ライトに2000のダメージ! ライトは発作を起こしかけた!
「まあまあ、ここは私に任せてください」
カナデは入り口で買い物カゴを取り、中へと入っていく。
「あれー、せんぱいじゃないですかー」
そこにいたのはお洒落な黒の制服に身を包んだ、紛れもなく鳥嶋 ヒビキだった。
「ヒビキ……なんでここに……?」
「アパレルショップに合わない服装で入ってくる先輩を助けに……というわけではなく、普通にバイトでーす」
ライトは、普段ゆるゆるした喋り方で服とかいかにも無頓着そうなヒビキがアパレルショップでバイトをしていることに驚きを隠しきれなかった。
「そちらは先輩のエロ奴隷の方ですかー?」
「はい。私はご主人様の専属エロ奴隷にして性欲解消メイドのカナデです。以後お見知り置きを」
カナデはスカートの両端を持って、頭を下げる。彼女は一応大企業の娘だったので、ちゃんとした上流階級てきな教育のもので育っている。なぜこうなってしまったのかは謎だが。
「おいやめろ! 俺がなんかとんでもない変態みたいに誤解されるだろ!」
「事実そうじゃないんですかー? 2000万も払ってこんな巨乳美人を買うんですからー」
「ホームレスだった私を拾った時、最初に渡してきた服、メイド服でしたしね」
ライトは図星でしかなかった。
「違うし! 俺は別に変態じゃないし!」
もうキレるしかないライト。
「まーまー、先輩もエロ奴隷さんも服選んであげますからー」
「……ぜひお願いします」
カナデはライトの耳元で囁く。
「絶対服装が童貞って言われたこと気にしてますよね?」
ライトはとりあえずキレた。
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