第4話 2000万と割合
事務所を出るとカナデは泣き出した。
「怖かったぁぁ!!!」
「俺に泣きつくなんて、相当怖い思いさせられてたんだな」
ライトとカナデには共に存在できないレベルで壮絶な別れ方をしている。
「でももうお金稼ぐ必要も無くなったし、どっか行けよ」
「いやです」
「いやなの!? だってお前とすごい別れ方したじゃん」
「ご主人様は命の恩人です。だから体も心も穴も捧げます」
「いや穴はいらねえよ……」
ライトは街中でそんなことを大きい声で言うカナデにちょっと引きつつ、彼女をうまいこと断ろうと考えた。
「まあでも俺、2000万払ったから、カナデに払える給料ねえなぁ」
「いりません。バイトします。……というか、2000万は貯金の何割なんですか?」
「一割……いや、違う! 九割」
ライトは焦り倒した。間違えて本当のこと言っちゃったからだ。
「今一割って言いましたよね? ね?」
「言ってない」
「私は貯金の一割で買われた女なんですね!」
「大きい声でそんなこと言うな!」
カナデはライトの耳元によりこう言った。
「今から私大きい声で「この人にメイドコスさせられて、これからSMプレイしまーす!」って言いますね。言われたくなかったら、私のことメイドにしましょうね?」
ライトは震え上がった。そんなことをいわれてしまえば、俺は周囲の人から変態性癖持ちのやばいやつという認識になってしまう、と思った。
「わかった。メイドにするから言わないでくれ」
「そうですか。ご主人様、私をエロ奴隷として迎え入れてくれるのですね」
「違うわ!」
「うぅ……私はエロいことしたいだけなのに……そんなに強く言わなくても……」
「したいことが"だけなのに"に収まってないんだよ!」
「お前ら、いちゃつくなら他のとこでやってくれ」
カナデが静かになる。
そこにいたのは鳥嶋だった。
「鳥嶋さん……」
「俺は今から飯を食いに行くんだ。金を借りたくないならさっさと帰れ」
ライトとカナデは、知り合いだと思って膝カックンしたら知らない人だった時ぐらいの恥ずかしさを心に持ちながら帰宅した。
帰宅するとカナデは服を脱ぎ始めた。
「いや、なにしてんの?」
「緊張して汗をかいてしまいましたので、シャワーを浴びようかと」
「メイドにしては自由すぎるだろ」
「先に入られるのが不服なのですね? では、一緒に入りましょう」
カナデは服を脱ぎきり、服を小脇に抱えてライトの手を引く。ライトはもはやカナデの裸体に何も感じなくなり始めていた。
「一緒にシャワーは恥ずかしいんだけど……」
「そうですか。では、家の外壁、外の庭、扉に至るまで卑猥な単語を書きますね」
「やめろ! 俺の家が某グラップラーの家みたいになるだろ! 俺のお父さんは地上最強の生物じゃないんだぞ!」
「じゃあわかりますね? どうすればいいか」
「はぁ……」
ライトは服を脱ぎ始めた。
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