第3話 闇金と◯◯ジマくん
ライトが目を覚ますと、隣にはなぜかメイドがいた。
「カナデ、なんで添い寝してんだよ」
「おはようございますご主人様。別に、嫌いな相手に強制的に添い寝させられる妄想で興奮していたわけではありませんよ」
「それじゃねえか」
ライトは1日目も2日目も、カナデをメイドとして拾ってミスったと思っていた。
「朝ご飯できておりますよ」
「話逸らすなよ。え、まじ?」
「はい。メイドとして当然の務めでございます」
ご主人様と添い寝して興奮しているやつとは思えない、とライトは思った。
朝ご飯は目玉焼きとご飯と味噌汁だった。ライト曰く、地球崩壊するぐらい美味しかった。
「今日借金を払いに行こうと思うんだが、闇金の人に連絡取れるか?」
「本当ですか? 今から連絡とりますね」
そしてカナデは事務所で13時に返済の約束をつけた。
闇金の入る雑居ビルの3階にメイド服姿のカナデを連れたライトがいた。
「来たか」
出てきたのは短髪でメガネをかけた大柄な男だった。
ライトは思った。いや、ウ◯ジマくんやん。と。
「鳥嶋さん……」
怯えるカナデを背にライトは、名前まで◯シジマくんやん。と思っていた。
事務所の中に入り、机を挟み、鳥嶋と対面するライト。
「カナデ。風俗に落ちる覚悟を決めてきたわけではないらしいな」
「はい……」
カナデの怯えようからとんでもなく怖い人なんだろうというのが想像しやすい。
「で、金はどうする気だ?」
「ここに2000万あります」
ライトは机に置いたアタッシュケースを開ける。
「ほう。高田、数えとけ」
アタッシュケースを受け取った鳥嶋は部下にそれを手渡して、中身の金を数えさせる。
○シジマくんの部下と同じ名前やん、とライトは思った。
「お前、こんな大金どっから持ってきた? 見るにまだ高校生ぐらいだろ?」
「株と資産運用です」
「そうか。親の金でもなければ、怪しいビジネスで稼いだ金でもパ◯活で稼いだ金でもないんだな?」
鳥嶋はドスの効いた声でライトを威圧する。
「……俺男だから、パ◯活はしません」
「いや、カナデの方だろ。……ま、ここまで目が据わってんなら事実だろうな」
高田がアタッシュケースを持ってくる。
「2000万きっちりありました。本物です」
「そうか。じゃあ、お前ともこれっきりだな」
「はい……」
カナデの足は震えている。
ライトはカナデに気を使い、すぐに事務所を出ようとする。
「待てお前、高校生なんだったな?」
「……はい、そうですけど」
「うちの………優しく……」
鳥嶋は小さな声で何かを言った。
「はい?」
「まあいい。行け」
ライトは疑問の残ったまま、カナデを連れて事務所を出た。
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