第56話 久しぶりのキタミ

王都ハルモナを出発して西海岸目でゆっくりと各町を通りながらサトルとスザンヌ、ルビーゼ、マーガレット4人はハルテリアでのクエストを終えて久しぶりに古巣のキタミの街に戻って来た。


冒険者ギルドに行くと、いち早くケーシーがサトルを見つけ、「サトルちゃぁ〜ん!会いたかったわ」と大声で叫んで受付のカウンターを出て抱きしめに来た。


サトルのスキルは何故か男には発動しないのが不思議なのだが・・・。


冒険者達は古株の連中は「怪物のサトルが戻って来たな!スザンヌ様も一緒か」と一同恐怖と憧れの目で見ているが、キタミの街が新参の冒険者は荷物持ちの男に何を受付の男性が抱きついているんだと奇異な物でも見るようにしている。


「ケーシーさん元気にしてましたか?」


「元気よ〜、でもサトルちゃんが王都に行ってから寂しくて寂しくて、私も王都の

ギルドに転勤を希望しようかしらと思ったりしてるのよ、あら、スザンヌ様もお久しぶりです」


「ケーシー相変わらず元気そうだね、今日は4人でクエストを受けようと見に来たんだけどケーシー面白いクエストあるかしら?」


「そうねぇ、4人の達人が受けるクエストは・・・あっそうだわ、ワイバーンとトロールの討伐依頼がまだ残っているわ」


「ルビーゼ、それ持って来てくれる?」

ルビーゼが掲示板に行きケーシーが言ったワイバーンとトロールの討伐依頼2枚を剥がして持って来た。


「トロールが2体で金貨1枚、ワイバーンが4匹で金貨80枚ですね」


「サトルはケーシーとギルドの食堂で積もる話でもして待っていて!私たち3人でさっと片付けてくるから」


「おいおい、俺を置いて行くのかよ」


「あら、スザンヌさんはやはり優しいわ〜!サトルちゃん果実ジュースとサンドイッチ二人で食べながら彼女達を待ちましょう、積もる話もあるからね、ね、ね」


結局サトルはケーシーと食堂で待つ羽目になってしまった。


スザンヌ達は『身体強化』をかけてオークの現場に行き、スザンヌが1体をルビーゼとマーガレットで1体を殺して回収、ワイバーンのいるところに向かっていた。


その頃ケーシーとサトルは王都のダンジョン踏破の話をサトルから聞いてケーシーが興奮気味に「すごいわぁ〜と」驚いて見せた。


食堂にいた冒険者の女性達が「ケーシー、少し声がでかく無いか?いくら憧れの人が見えたからって男同士何が嬉しいんだ?」


ケーシーと仲良い冒険者連中は半分冷やかし気味だが、彼ら二人の仲を知らない新参冒険者が食堂を見て寄って来た。


「おい、受付の仕事しないで荷物持ちなんかと遊んでもいいのか?さっさと仕事しろよ」


「あら、妬いているの?今は私は休憩時間よ、それにサトルちゃんはれっきとした冒険者であなた達が束になっても叶わない強者だからね」


「ふん、どうせランクがアイアンカードで上級者にくっついて甘い汁でも飲んでいるんだろ?」


「そういうお宅らはもう少し剣の訓練をしないとその腰、手つきではまだまだランクをあげるには遠いいぞ!」とサトルがサンドイッチを食べながら言ったので怒った冒険者んお一人が机のサンドイッチを手で払いのけて床に落とした。


「おいおい姉さん、食い物の恨みは怖いぜ、弁償してくれよ、せっかくケーシーさんと久しぶりに話をしているのにわざわざ文句を言いに来て俺たちが食べるものを床に落として・・・」


「そうよ、弁償してよね。すみませ〜ん、サンドイッチをもう一皿、このお姉さんにつけてね」


「ふざけんな!荷物持ち外に出ろ、私ら3人が冒険者の怖さを教えてやる」


「そうかい、それじゃ男の怖さを俺が教えてやるよ、流石にギルドの中では私闘はいけないからね、ケーシーさんが立会いで決闘なら問題ないからね。それじゃぁ、外に出て、ほらほら・・・」


冒険者ギルドの前の道でサトルが素手で、3人の冒険者が剣を抜いて一気に間合いを詰めて斬りかかる、がそこにサトルはいない。

一瞬にして首に手刀を当てられて意識を奪われた冒険者の女性はズボンを脱がされパンツ1枚で道路に放り出されて気絶したままだ。

ズボンで手を後ろ手に縛られて、気が付いた時にはお互いはしたない格好で道路にいて慌てて手を縛っているズボンを解いて、手を自由にしてからズボンを履いて冒険者ギルドに3人で戻って来た。


「貴様、変な技を使って私たちを騙したな?」


「なんだ?俺の動きがわからないくせに俺は技など何も使わず体術だけど首に当て身をしただけだぞ」


「うるさい!」と剣を抜いてサトルに斬りかかろうとした時、「やめなさい、それ以上やってもあなた方が恥をかくばかりですよ」


「あら、ギルマスが降りて来たわ」とケーシー。


「お久しぶりです、サトル様、スザンヌ様達もご一緒ですか?」


「お久しぶりです、今クエストを受けてもう直ぐで戻って来ますよ」


「おお、ほら戻って来た」


「キャメロン、久しぶり自分の家に久しぶりで戻った感じよ」


「またサトル何かやらかしたの?」


「違うよケーシーさんとジュースを飲みながらサンドイッチを食べてたらそこの3人の方達が決闘を申し込んで来たので外で相手してあげて今終わったとこ。サンドイッチがもう一つくるし彼女達のおごりだからスザンヌも食べる?」


「ルビーゼ生産をして置いて、私はキャメロンとマスター室で話してくるから」


3人の冒険者が「あのー、彼女は前のギルドマスターのこの国トップのすざんぬさんですか」


「そうよ、でも今この国のトップの強い人はここのサトルちゃんよ、SSSくらすよ」とケーシーが3人に言って、サンドイッチ代をしっかり受け取って解放してあげた。


ケーシーが清算を終えたルビーゼとマーガレットに決闘の結果を話して、ズボンを脱がされパンツ1枚で転がされた3人の冒険者の話に二人はおおわらいしていた。


ケーシーも受付に戻り、サトルがルビーゼ達に「昼食を頼む?」と聞いて昼定食を3人前頼んで珍しくギルドの食堂で昼食にした。


しばらくしてスザンヌもマスター室から降りて来て一緒に食事をして、久しぶりにキタミの家に入った。


警備をしていたゴーレム達に慰労の声をかけて、久しぶりにソファに座ってケーキタイムで別腹を癒した。


「スザンヌ、このキタミには2日ほどいない?今まで王都にいたから久々にこちらの家で少し整理もしたいことが有るんだ」


「ええ、私も少し長めにいて、その後西に向かいたいと思っていたからいいわね!」


「料理はルビーゼとマーガレット、今晩はお願いできるかしら?食材は厨房の【次元ストレージ】に有ると思うわよ」


「了解しました、久しぶりに手をかけて夕食を作りますわ」とマーガレット。


サトルは次元ストレージの中のものを整理していて、”キタミダンジョン”を一番最初に一人で踏破した時の宝箱からの『アーティファクト』が一番レアもので生き物以外の『マジックアイテム』や『アーティファクト』を作り出せる『マジックアイテム製造機』を得たのが一番良かったことを思い出し、明日は皆に言ってもう一度”キタミダンジョン”に潜る事を提案してみようと思っている。


久しぶりにキタミの自宅で夕食を4人で食べ、サトルが「明日キタミのダンジョンに潜らない?」と提案した。


「そうね、私達は未だ一度も潜って無いから良いわよ」とスザンヌ。


「実は俺が踏破した時にとてもレアなお宝をゲットしたからあのダンジョンには期待しているんだ」


「サトルが踏破した時もそこそこ難易度が高かった筈だから今度は更に難しいので楽しみね」


「一応3人ともリフレクションリングをして潜ってね、いきなり魔法攻撃受けても大丈夫なように」


「サトルが潜った時最初の階層辺りは何だったの」


「俺の時は最初がゴブリンで次がファングボアだったかな?最後のラスボス部屋に黒龍だったな」


「それじゃあまりたいした事無いわね、今回だとオーク辺りが出て次がオーガとかかしら?」


「サトルは回収係でいて!私達が討伐するから」


「そうですよ私達もサトルさんから頂いた魔剣をもっと活用して魔物を狩りたいです」


「分かったよ!俺は回収に徹します、はい。」


その晩は皆久しぶりにリラックスして休み、朝を迎えた。


何故かサトルだけ目の下にクマができて寝不足気味なのはスルーされた。


朝食を食べ、直ぐに身支度してギルドに向かう。


ケーシーにスザンヌが「キタミダンジョンに向かう」と言って4枚のカードを出して、キタミダンジョンに向かった。


入口で衛兵にカードを見せ、階段を降りて行く。


通路を歩いて行くと前方からオークの群れが剣を構えて向かって来るのが見える。


スザンヌは『魔剣五芒星剣』を構え、魔力を流し込み剣から氷の槍を創り出し、放った。4匹が一度に胸を貫かれ倒れ、前に居たオークはマーガレットが『魔剣炎の剣』で、ルビーゼは『魔剣水の剣』で2頭ずつ倒し、サトルはせっせと死体と剣を回収しまくった。


2階層に行くと平原ステージでワイバーンが2

匹炎を吐いて威嚇して来る。


スザンヌが1匹に【サンダーボルト】を放って倒し、もう1匹はルビーゼが『魔剣水の剣』でまず翼を切り落とし、返す剣で首を切り落とし狩りとった。


3階層ではオーガが3頭居た。

3体とも剣を構え向かってくる。


スザンヌが『魔剣五芒星剣』で躱し、相手の剣が流れたところを逃さず胴を横に剣を一閃してふたつに切り分けた。


マーガレットは剣に炎を纏い顔に放って矢張りドを切り刈り取る。


ルビーゼも剣に水を纏い顔に放ってがら空きになった胴を切り分け、刈り取る事に難なく成功した。


相変わらずサトルは彼女達が倒した魔物と持っていた剣を回収して回っている。


「俺きょうは本当に荷物持ちだな」と言いながらも、文句を言わず回収係に徹している。


4階層は砂漠ステージで『空飛ぶ車』を出して乗り込み、3メートル程砂上を走って居ると、サンドワームの変異種であろうか?二頭の頭のサンドワームが3匹も居るのがサーチ画面にかかった!


近く迄いき『魔導砲』で【火炎旦弾】を数発放ち5、6メートル程上昇して待って居ると、苦しみながら3匹が6個の頭を砂からだした所に、スザンヌがサンダー

ビームを放って意識を奪い、マーガレットとルビーが飛び降りて6個の首を切り落とし、サトルが回収した。


5階層は矢張り前回同様ボス部屋でメデューサが首を360度クルクル回して魔眼のスキルを発動している。


3人とも目を見ないで、スザンヌが【サンダービーム】で魔眼の眼を焼きルビーゼが首を切り落とし、マーガレットが頭の蛇を魔剣で焼き殺した。


宝箱は開けると部屋の床が落ちて奈落に落ちる罠があり、サトルが【ディスペル】して開けた。


中には『天使の靴』が入っていた。これを履けば自由に空を飛べ空中散歩も出来る。次元ストレージに回収して後で複製して3人に渡すつもりだ。


6階層は首無騎士が剣と盾を構え待ち構えていた。


サトルが素早く【鑑定】すると剣では鎧を切れないし、魔法攻撃も盾で防がれる。唯一心臓近く(心臓は無いが)の魔石を破壊する事。


3人にそれを伝えて「俺が殺ろうか?」と言ったがスザンヌが首を横に振って断られた。


「マーガレット、ルビーゼあいつの意識を自分達に向けて、私が背中からあいつの魔石を砕くわ」


「分かりました」

彼女達は正面から挑み、火炎魔法や水魔法で攻撃するが、全て盾で防がれて仕舞う。

一方マーガレットやルビーゼは一度では切れず反撃をくらってマーガレットが尻尾で跳ね飛ばされ壁紙に激突させられた!


身体強化で致命傷では無いが直ぐサトルが【ヒール】を掛けてやる。ルビーゼが魔力を最大にして同じ場所を再び切り、なんとか首を切り落とした。


宝箱は開けると毒針が飛び出す罠が有ったが難なくサトルが解除して開けると『魔笛』と書かれた小さな呼子の様な笛が有り魔物や魔王、悪魔でも吹く人間に服従するる使役の笛と出て、持つ人が持てば人さえも思いのままに出来る恐ろしいものになり得る。ただし魔力が5000と膨大な魔力がいるので実質サトルにしか吹け無い物の様だ。


4人はダンジョンコアを抱えて転移盤に乗り出口に帰って来た。


全員昼も食べず潜っていたようで既に3時を回って居た。


ギルドに行きケーシーと一緒に素材置き場に討伐した魔物や剣、盾などを納め精算を待った。


結局5時過ぎ迄掛かり、白金88枚金貨95枚、銀貨62枚、銅貨83枚をサトルのカードに入れてギルドを出た。


「昼ごはんも食べずに潜っていたから今からはもう晩御飯だね」


「きょうは随分大金が入ったから盛大にご馳走を食べましょ!」

とスザンヌがご機嫌で、彼女の以前行きつけの高級レストランに連れて行かれ3人は例にもれずエールでサトルは果実ジュースで乾杯してスザンヌがどんどん料理をオーダーしていく。


さすがスザンヌが行きつけにしていた店だけあって美味しい!

サトルも出てくる料理をかたっぱしから食べて行く。3人はすきっ腹のエールが効いたのか、ご機嫌だ。


明日はキタミをたって次の街に行く。


4人は心ゆくまでキタミの夜を楽しんで過ごした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る