第55話 新たな冒険の旅

バウスの”潮騒のダンジョン”を2度目も踏破して延泊してバウスの街をサトルとスザンヌ、ルビーゼ、マーガレット4人は夕食を食べ終えて、散歩して居た。


エミリアと王立研究所の職員3人は国に報告する書類作成をまとめるのに忙しく外に出て街を散策する時間もない。


エミリアもメッシーナ王国内の全冒険者ギルドに1度踏破されると、ダンジョンの難易度が2ランクアップする程行為の魔物が出現するので踏破された場合はレベル制限をつけるように全ギルドに回覧を回すべく文章を練って作成して居た。


そんな苦労には御構い無しにサトルとスザンヌ達は夜のバウスの街を楽しんでいた。


「ねえねえ、スザンヌ、最後のラスボスのフェニックスの所にあったお宝は何だと思う?信じられない品物だったよ」


「すごい魔剣とか?」


「そんな大したことないものじゃないよ、その魔剣さえも作り出す『マジックアイテム製造機』で魔力が大量にいるけど、魔力を流し込んで欲しいマジックアイテムを何でも作り出せるすごい品物だったよ」


「えええ、今までダンジョンや古代遺跡で得た『アーティファクト』や『マジックアイテム』を何でも作り出せるの?」


「ああ、何でもありの品物で流石フェニックスが守って居た宝箱だな」


「大体フェニックスを倒すには【イレージング】か【魔石師】の『奪取』のスキルを使えなくては近づく事もできないよ!シールドや結界もあの温度の前では余り役には立たないからね」


「サトル以外はSSランクの冒険者が仮にいても討伐できないわね、剣で切る前に自分が溶けてしまうもの」


「お陰でとんでも無いお宝を得ることが出来たから今回はよかったな」


「清算金も使い切れない白金270枚よ、今までと合わせたらどこの国の貴族よりも大金持ちになってしまったわ」


「お金がたくさん有っても使わないから溜まる一方だよね、4人で冒険者の旅をして行けば殆ど使わないもの・・・」


「マーガレットやイリーゼ、何か欲しい靴とか洋服とか有ったら言ってね」


「私たちも冒険者稼業をしているので、いつもこの格好ですし、美味しい食べ物を4人で頂ければ欲しいものは有りませんよ」


「4人とも物欲がないものね」


「サトルは性欲は有るみたいだけど?」


「あっ、それを俺に言うの?スザンヌ?何時も『触って!』と言うのは誰でしたっけ?」

などといちゃつきながら街を歩いて、宿に戻って来て各自んることにした。


バウスの街を翌朝立ち、無事王都に戻って来たエミリアは国内ギルドに連絡するので忙しく動き、王立研究所の職員は戻って論文の整理で忙しく動いているようだ。


サトル達は『空飛ぶ車』に生活必需品を詰め込んで、空を飛ばずに街道を走りながらハルモナからウィスロー、ハルテリア、キタミ、ラベリー、ミモト、ルギーゼ、

トロモ、モロイ、アウスランツと東から西の横断街道を走りメッシーナ王国の西海岸まで行く冒険の旅を開始した。


王都で朝食を4人で食べ、基本、宿は3日に一度程度泊まり、それぞれの冒険者ギルドのクエストを受けつつ移動することにした。


「それじゃ、出発するよ!」と『空飛ぶ車』、魔動車を走らせて王都ハルモナの城壁を出て走り出した。途中王都の人たちが見慣れた魔動車を見送る姿が見られたが

最初の街ウィスローに向かって順調に走って行く。


予定では夕方にはウィスローの街に着く感じだ。


途中ホーンラビットやグラスモウル(草原を根城にするモグラの魔物)が襲ってくるが魔動車に弾き飛ばされて死体になって転がって行った。


3時ごろに街の城壁が見えて来て門の検問もカードを見せて難なく入れてもらえ、まずは車を置く適当な広場を探し、ギルドの裏にある訓練所の側の空き地に駐車してギルドの扉を開けて入って行く。


夕方なので殆どのクエストは終わって、逆に依頼達成の業務に忙しく動き回る受付嬢達がいる。

ルビーゼがカードを見せて、裏手の訓練所の空き地に魔動車を止める許可をもらってギルドを出た。


ウィスローの街を4人で歩きながら少し早めの夕食に近くの定食屋に入った。

夕定食はイエローテイル(ブリに似た魚)の照り焼きにホーンラビトのシチューとパン3切れで安く美味しい。


相変わらずサトルが座って食事をしていると、絡む女性冒険者があとをたたないがサトルはその度にSSSカードを見せて黙らせて特に首を切り落としはしなかった。


「スザンヌ、王都に近い街でも未だ俺は売れてないな!がっかりだよ」


「仕方ないわ、それ程男性は弱いと見なされているから」


4人は食事を終えて、魔道具屋を数軒見て回った。


一軒の魔道具屋に『魔物をおびき寄せる薬』と『魔物を近づけない薬』という、相反する薬と言うか香が有るのでこの二つを購入した。


「サトル、そんな香を買ってどうするの?」


「香の成分を調べて自分で作ってみようかと思って・・・」


「あら、そんなもの調べなくても昔から有って、”ヒメラギ”という木の皮を煎じた粉が魔物を近づけない香で、”ロブソイ”という花びらを砕いたものが魔物を呼び寄せる香よ」


「初心者の冒険者がよく弱い魔物を狩る時に”ヒメラギ”の香を使うわよ」


「そうなの?スザンヌは使ったことある?」


「私はないわ、魔物は来たら狩るし、弱い魔物は私の気を感じて近寄ってこないもの」


「でも、『魔動車』の側にこの魔物よけをして置いたら魔物はこないでしょ?勿論結界を張るから黒龍が来ても大丈夫だけどね」


「それなら必要ないじゃない!」


「遊び心だよ、男のロマンというものです」


「よくわからないわ、なんなの男のロマンって」


「女性にはわからなくていいの、だから男のロマンなんだから」


二人の会話を後ろで聞いていたルビーゼとマーガレットは笑い出していた。


「お二人の会話を聞いていると面白いですね!」とマーガレット。


「だって、時々サトルは訳のわからない事言うのですもの」


街の散歩も終えて、『空飛ぶ車』に戻り、4人でコーヒーを飲みながらケーキを食べながら会話を楽しみ、平和な夜がゆっくり更けて行った。


翌朝、朝食を終えて4人は冒険者ギルドに行ってクエストの掲示板を眺める。

ルビーゼとマーガレットが『ウィスローの北にある黒い魔物調査依頼』金貨70枚という高額クエストを持って来た。

なんでもウィスローの北に位置する森に会う日突然霧のような黒い靄の塊が現れ大きさにして10メートル程高さも10メートル程で人や魔物を飲み込んでいる、移動はしないが、そこを避ければ守るを通れるので特に問題ではないが既に5、6人が飲み込まれて消えたのでギルドとしても放置できず冒険者に依頼したが今まで何回か調査依頼出したが戻ってこないので飲み込まれたかもしれないと言う事らしい。


そのため金額もだんだん上がり、今では金70枚になってしまった。


マーガレットが受付に「解決の証拠品は魔石か飲み込まれて人たちの慰留品あるいは黒い塊が完全に消えていることをギルド職員が確認すること」だそうだと聞いて来た。


とりあえず4人で身体強化を掛けてその森に行ってみる。


森に着いて、50メートル入ったところにそれはいた。

確かに10メートル程の黒い霧状で中は全く見えない。

高さが10メートルほどなので巨大といえば巨大だが動かず輪郭が微かに震えているように見える。


サトルは【鑑定】してみると『生き物ではなく、思念の塊が行き場を無くしてここにとどまっている。その思念は”悲しみ”て悪意ではない』と出た。


「スザンヌ、これは”悲しみ”の思念の塊だそうだけど、どうしたものかね」


「思念の塊だと魔石もないのかしら?」


「悪意はないから近づきさえしなければ何もしてこないみたいだよ」


「ちょっと話しかけてみようか?」


「話ができる相手かしら?」


「悲しみの思念の塊なら思念を送れば返信が来るかもしれないじゃない」


サトルは黒い塊に『どうしてほしい?俺たちは的じゃないけど君がそこにいるとかの街の人が通れなくて困っているのだけど』


『悲しいの、私の息子、娘がここの森で命を落とし、そうだ、俺の妻もこの森で命を落とした、この森は人の命を吸い取る森なんだだから誰もこれ以上命を取られないために私たちは魂になってもここにこうしているのよ』


『森が命を奪う?それってどう言うこと?』


『この森の地表は生気を吸い取る土で覆われ、この森で遊んでいた子供達や森にキノコを取りに来たワシの妻が死んでしまった、ワシは妻のいない生活に耐えられずこの森に復讐するためにこうして何人かで思念となって固まっているのだ』


『わかった、この森の生気を吸い取る原因を原因をなくせば君たちの黒い思念も消えてくれるのだね?』


『それは可能なのか?』


『今から調べるから少し時間をくれないか?』


「スザンヌとルビーゼ、ギルドの職員を連れて来てくれないか?仮に解決できても黒い悲しみの思念の塊が無くなったら実際に魔石もなく何もなければ解決の証拠がないと困るから」


「わかった、消えるところを見届けてもらうわけね」


スザンヌとルビーゼがギルドに向かって戻って行った。


「さて、俺とマーガレットはこの森の周りをシールドをしながら土や植物を少し【サーチ】しようよ」


「はい、危険を【サーチ】してみます」


マーガレットはシールドを掛けつつ【サーチ】してみると足元から危険を感じた。

足元を見ても何もなく草を踏みつけているだけだ。


一方サトルも地面の土を手にとって【鑑定】してみるが特に問題はない。


「サトル様、ここの草がおかしいですわ、どうやら生き物の生気を吸い取って育つ

植物のようです」


「どれどれ」と言ってサトルがマーガレットから草をもらって【鑑定】してみると『ソウルイートグラス、という毒草で生き物の生気を吸い取って育つ草で熱には非常に弱いが寒さに強い毒草』とでた。


サトルは『地図帳』を取り出し『ソールイートグラスの生息地域』と表示させ確認していたらちょうどスザンヌたちが職員を連れて来た。


「サトルさん、スザンヌさんから事情は聞きましたがそれでかいけつはできるのですか?」


「はい、原因がこの草『ソウルイートグラス』と言う草が生き物の命を食べて育つ草でこの森にだけ分布していることがわかりました。この草は熱に弱いので今から俺がこの森一帯に草が生えている部分にだけある程度の熱を放って全て枯らします。それをくろい『悲しみの思念』に伝えてわかってもらえれば消えてくれると思うのでまぁ、見ててください」


サトルは草が生えているところに手を添えて熱を地面を通して分布している全てに60度ほどの熱を帯びるように放った。

途端に周りの土の草がこげ茶に枯れてしまい、枯れない草もあるが森の半分近くの草が茶色に枯れて死んでしまった。


『悲しみの思念よ、この森の命をついばむ原因の草は見ての通り全て枯らしたぞ、君たちの心配は無くなったから浄化してくれないか?』


『ありがとう、冒険者よ!今まで我らに近づいた者たちは全員無事で気絶状態で生きている、しばらくしたらモドに気がつくだろう』

そう思念が伝わって来ると黒い霧の塊は上空に上がって生き次第に白に変わり霧となって消え、地ベタに14人程の人たちが気絶して倒れていた。


サトルがヒールをかけてやると全員が気が付いて辺りをキョロキョロしていた。

ギルド直員が今までのことを説明して皆でギルドに戻って来た。


受付で清算金、金貨70枚を受け取り昼前なので次の冒険の地ハルテリアに向かって車を走らす。


ハルテリア近郊まで来た時、野盗の集団15名程に襲われるが逆に魔動車から打ち出した投網で一網打尽にして捉え、サトルのスキル【ダークジェイル(闇檻)】にいれてハルテリアの街に入った。

入り口の衛兵に野盗15名を引き渡すと、首に賞金が掛かっていたようで一人当たり金貨1枚で金貨15枚を受け取り、街に入った。


取り敢えず街の定食屋で昼食を食べる。

いつもの如く絡まれるが食べながらサトルは片手に冒険者カードをを見せて相手を全て黙らせた。


冒険者ギルドに行くが、午後2時ごろだったため面白そうなクエストもなく宿を抑えて1泊して朝一でギルドに向かうことにした。


宿は風呂付きでツインとダブルを抑えてお風呂に入って休憩後5時に食堂に集合ということで各自の部屋に入った。


サトルとスザンヌはお風呂に入って愛し合ってしばらくベッドで休んでから階下に降りて来た。

すぐにマーガレットたちも降りて来て食事の前に3人はエール、サトルはすぐに食事を頼んだ。


「明日は討伐系のクエストを二つぐらい受けてキタミの家で休めてまた向かおうよ」


「そうね久しぶりに北見の家で休めてケーシーがサトルを見ると喜ぶわ」


「やめてくれよ、ケーシーさんももうちょっとシャキッとしてくれるといいのだけど、どうも、オネェ言葉は俺は苦手なんだよ」


そんな会話をしながら楽しく夕食を食べて明日に備えてゆっくりと休む4人だった。

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