第53話 ダンジョンの成長の立証

ディアナの快気祝いを6人で祝って数日、スザンヌの遠距離通話器にエミリアから連絡が入り、「王立研究所の職員3名と私、それと『改革の息吹』のメンバーでダンジョンに潜る日程が決まりました。ダンジョンは王都ハルモナの北西30キロの街バウスの”潮騒のダンジョン”にします。出発は2日後の明後日、ギルドを9時に出てバウスの街で泊まり、翌日ダンジョンに潜りもう1泊バウスに泊まり王都に戻る日程ですので宜しくお願いします」


「了解よ、準備して2日後にそちらに向かうわ」とスザンヌ。


「サトル、2日後に王都から30キロのバウスという街の”潮騒のダンジョン”に行くことになったわ」


「【転移】で行けないから馬車だね?こちらの馬車で行った方が快適だからエミリアに馬車は準備しないで王立研究所の職員の馬車とうちらの馬車で行くと、伝えてよ」


スザンヌはエミリアにそれを伝えて、マーガレットとルビーゼには職員の護衛について貰い、討伐はサトルと自分、それにエミリアで行くことにした。


2日後、朝食を少し早めに済ませ、4人は『具現の水晶』と『具現の石』で馬と馬車を作り出してエミリアが待つギルドに横付けした。


王立研究所の馬車も程なく来て、2台の馬車が王都の西門を出てバウスの街に向かった。


「スザンヌ様この馬車は快適そのもので、宿にしても遜色ないですね」


「全部サトルの作り上げたものでこの世界の馬車じゃ無いそうよ」とそれとなく伝えた。


エミリアはこのダンジョン成長の究明の間に何とか再びサトルに触れる機会を作りたいと密かに思いを募らせて居た。


バウスの街迄は特に魔物も出ず昼には街に入り、先に宿に行った。

ダブルが1部屋、ツインが2部屋、シングルが2部屋取ってサトルとスザンヌがダブル、マーガレットとルビーゼ、王立研究所の二人がツイン、エミリアともう一人の研究所の職員がシングルにはいった。


荷物を解いてから1階の食堂で昼食を8人でとって、”潮騒のダンジョン”の場所を見に行った。


職員3人は旅が不慣れで宿で休むと言って5人で入口の場所をみにいく。


西門を出て5、6分歩くと衛兵が二人立っており、直ぐに分かった!


「これなら明日少し早目に朝食を取って8時にギルドに行って潜れば当日には踏破出来るな」とサトルが言うと、エミリアがあまり早いとダンジョンて楽なんだと思われるので2日程掛けて踏破する様にお願いします。というので明日はのんびり潜る事にした。


宿に戻り夕食迄自由行動にして、マーガレットとルビーゼは街の散策、エミリアは身体を休めると言って寝るようだ。


サトルとスザンヌは例の如く、スザンヌの対サトル耐性で触れ合いをスザンヌは楽しんでいた。

勿論サトルはスキル全開だ。


最後は二人して撃沈して意識を手放した。

サトルが目覚めると未だスザンヌは寝ていたので食堂に降りて果実ジュースを飲んでいるとエミリアが降りて来て、サトルと同じ飲み物を頼んだ。


「サトル様のスキルは御自身で調整は出来るのですか?」


「先日の件が気になったの?最大限絞った状態がエミリアが触れた時であれより少し制御を緩めると人間では死亡すると思うな!」


「では最大に制御して今一度私に触らして下さい、耐えて見せますから、お願いです」


「手だけだよ、首筋だとまた意識を奪わられるから」


サトルはエミリアが差し出した手に優しく触れた。

エミリアは強烈な快感に意識を奪われそうになるが、耐えた。


「へー、耐えれたね!凄いじゃない」


「お願い!首筋に触れて下さい」


「駄目だ、貴女が死んだらスザンヌに申し訳ができない」


「絶対に大丈夫です気絶はしても死ぬことは有りません、お願い!」


サトルは仕方無いと言った顔でエミリアの首筋を優しく撫でた。


強烈な快感に襲われエミリアは失禁して果てた。


凄く満足そうな顔で意識を飛ばされている。

サトルは急いで【インビジブル】を掛けてふたりとも見えなくして、エミリアの部屋に彼女を抱いて連れて行く。


勿論サトル自身にシールドをして、お姫様抱っこで急いで彼女の部屋に入り、ベッドに横たえて部屋を出てスザンヌが寝てる部屋に戻った。


幸い未だスザンヌは目覚めていなかった!

サトルはシャワーを浴びて着替えてスザンヌの傍らに再び身を横たえて目を瞑った。


暫くするとスザンヌも目が覚め、シャワーを浴びて着替えてサトルのかたわれに座って、優しくサトルの髪をすいた。


いきなりサトルがスザンヌの腕を掴み暴力的に引き寄せ唇を重ねてきた。

優しく受け入れるスザンヌ・・・


サトルとスザンヌは手を繋いで階下の食堂に降りてゆくと、街を散策してきたマーガレットとルビーゼ二人がサトル達を出迎え、夕食を頼むと、エミリアも降りてきて一緒に夕食を頼んだ。


丁度5人分の夕食が来たとき、王立研究所の職員3人も降りてきてそばのテーブルに座って夕食を頼んだ。


「明日はここで朝食を7時半迄に済ませ8時に出て冒険者ギルドに向かいます」とエミリアが職員達に伝えた。


翌朝、朝食を終えて8人はギルドにむかい、サトル達のカードを出して、”潮騒のダンジョン”に入って行く。


前衛にサトルとスザンヌ、中衛にエミリア、職員3人を守るようにマーガレットとルビーゼがいる。


サトルは【サーチ】を掛けながら進み「スザンヌ右手前方からゴブリン7匹が来るぞ、左のホーンラビット10匹は俺に任せろ」


二人は数秒でゴブリンとホーンラビットを片付ける。

特にサトルは何もしないで5メートル程先のホーンラビットが可愛らしい悲鳴を上げて死んでいった。


2階層にはフォレストウルフが4頭向かって来るが、またもやサトルの数メートル手前で死んで行く。


更にファングボア5匹が突進してくるのをスザンヌの【サンダーボルト】で一瞬にして頭を黒焦げにして殲滅させられた。


「スザンヌ様達二人に任せると午前中踏破しそうなので、スザンヌ様と私が入れ変わりましょう」とエミリアが言い出した。


「それじゃ、サトルと私が職員3人を見るから、マーガレットとルビーゼもエミリアと一緒に前衛に出て!」と言ってサトルの手をひっぱって後衛に行ってしまう。


エミリアが渋い顔をするが、暗がりで気がついたのはサトルだけだった。


エミリアはサトルの手を握って後ろに行ったスザンヌを見て「なんで触っても大丈夫なのだろう」と訝っていたが直ぐに3階層の魔物の気配で、剣を抜いて構えた。


ウォーターベアが鋭い爪で襲いかかって来る。


マーガレットが【ファイアランス】を放ち怯んだところをエミリアの剣が首を切り落とした。


更に進むとロックモールが2匹、岩を飛ばして来る。

岩場が生活の場でアースモールと分けているが殆ど性質は似たような物だ。


飛んでくる岩と鋭い前歯に気をつければそれ程恐れることは無い。


エミリアが岩を避けつつ剣で2匹の首を切り落として4階層に向う。


海が目の前に広がっている。


「スザンヌ様、どうしましょうか?」


「俺に任せろ」とサトルが『具現の水晶』を出し、魔力を流し潜水艇を目の前

具現化させ、8人は乗り込んで潜水し始めた。


操縦席の前の液晶画面にクラーケンが映し出された。

研究所の3人は真っ青になってわめき出すのでスザンヌが当身を食らわし黙らせる。


クラーケン迄の距離350メートル、サトルは『魔導砲』でクラーケンのこめかみに巨大な【ウォーターランス】を放ち【アトラクト】で引き寄せて回収した。


更に先に進めていくと、海竜が1匹サーチに掛かる。

距離にして、1000メートルも離れているが『魔導砲』からサトルはレールガンを放ち、1000メートル離れている海竜の頭を打ち砕いた。


エミリアが初めて見る武器だ。


「サトル様、その『魔導砲』って魔法を撃てるアーティファクトでは無いのですか?今撃った魔法は?」


「あれは魔法では無く、磁気というものを利用して弾丸というものを音よりも数段早いスピードで弾が出るので5キロ先の魔物例えば黒龍の硬い鱗も安々撃ち抜いてしまう弾だよ」


陸地が見えて5階層の入り口に辿り着く。


研究所の職員に活を入れて起こしてあげ、ボス部屋に入った。


扉を開けるとミノタウロスがハルバードと盾を構えている。


ルビーゼが【アイスロック】で動きを止め、マーガレットが【エアカッター】で胴体と首を狙い、ミノタウロスが盾で胴体を防ぐも、首を切断されて死んだ。


宝箱に罠が無いのを確認して、サトルが開けると『インビジブルリング』があり、スザンヌに渡した。


時刻が昼頃になり、今日はここまでとして転移盤に乗って出口に向かった。


ギルドに納品して金貨88枚をエミリアとスザンヌで分け、明日10階層迄踏破することになった。


8人がギルドで食事を取っていると、サトルに絡んでくる冒険者がいた。


「やめろ!貴女じゃとても敵わないSSクラスの化物よ」


「男がそんなわけない、私が田舎者だと馬鹿にするのか?」


「いやぁー、信じられないだろうがほら」とサトルが言ってプラチナカードにSSの刻印が有るのを見せた。


絡んできた冒険者は信じられないとブツブツ言って、離れて行った!


「俺ってまだまだ売れて無いな!」とサトル。


「私でさえサトル様の戦い方を見ても信じられないのですから他の冒険者が理解できないのは解りますよ」とエミリアもあきれぎみに言う。


研究所の職員など人族では無く、魔王じゃないかと疑う程だ。


「エミリアさん、この”潮騒のダンジョン”は初回ですよね、それであの様に強い魔物が出るのですか?」


「2回目はもっと強い魔物が出る予定ですよ」


「初回でも十分すぎる程強い気がするのですが・・・」と一人の職員がぼやきながら言った。


「本当なら10階層迄今日中に踏破できるけどおたく達職員さんの疲れも考えて途中でやめたけど明日はもう少し骨のある魔物が出て来ると思うぞ」とサトルが3人に言う。


「きょうは、ゆっくり休んでどんな魔物が出て来たか記録しておいて、2回目と比較できる様にね」とスザンヌが優しく職員に伝えた。


翌日は8時から”潮騒のダンジョン”に潜り、6階層迄『転移盤』に乗り込んで8人は6階層に入った。


6階層は砂漠ステージでサトルは『具現の水晶』を『空飛ぶ魔動車』にして8人で乗り込み、砂上を3メートル程浮いて【サーチモニター】を見ながら時速50キロ程で進んでいくとサンドワーム3匹がモニターに写り込んだ。


サトルは『魔導砲』から【サンドランス】を6発連写してそれぞれのサンドワームの頭と胴体に2発ずつ当たる様に連射した。


サンドワームは頭を射抜かれ、胴体も撃ち抜かれて死に、【アトラクト】で引き寄せて回収する。

更に50メートル先にサンドスコーピオンがいるので、【ファイアスプリット】を放ち、苦し紛れに砂から頭を出した時に、【エアカッター】を放って殺し、ストレージに回収した。


7階層は死臭が立ち込めている薄暗い洞窟にミイラが10体、スケルトンが25体、バンパイアが5体いるが、スザンヌの『聖剣ガデリウス』に聖魔法を絡めて一閃し瞬殺してしまった。


全て霧散したので魔石だけ回収して8階層に進んだ。


8階層は森林のステージで、サウンドラーが3匹すごい叫び声で威嚇している。


研究所の職員に耳栓をさせて、マーガレットが【エアカッター】、ルビーゼが【ウォーターカッター】、サトルが『魔導銃』で頭に【ロックボム】を放って3匹のサウンドラーを殺して回収した。


9階層はいわばステージで岩竜が2匹、大きな岩をすごい勢いで吐き出してくる。

スザンヌが首を出して岩を吐き出す瞬間を逃さず『五芒星剣』で首を切り落とし、サトルがもう1匹を『インビジブルハンド』全開で甲羅と首をさするとよがり出して死んだ。


10階層はラスボスの部屋で赤龍が高熱の炎を吐き威嚇して来る。


サトルは全員にシールドをかけて上げて赤龍の首を『インビジブルハンド』全開で2度ほどさすると、級に悶え出して、息絶えた。


エミリアは不思議なものを見る様にサトルを見つめるがスルーして次元ストレージに回収し、ダンジョンコアと宝箱を罠がないことを確認して開ける。


中には『魔石製造機』が入っており、『魔力を流す量によって魔石のランクが変わると』出ていた。


ストレージに回収して、『転移盤』に乗って8人はダンジョンの出口に戻って来た。


エミリアが素材置き場に魔物達を納品して、食堂で待つこと1時間ほど。

納品書ができて、ダンジョンコアと地図、納品書と冒険者カードを出して清算金を受け取ると、白金24枚、銀貨34枚、銅貨90枚となり、エミリアがスザンヌに


白金20枚、銀貨30枚、銅貨60枚を渡して、残りを自分のカードににゅうきんした。


「エミリア、そんな少なくていいの?」


「はい、私は殆ど何もしてないですし、スザンヌ様達が殆ど魔物は討伐したのでこれでももらいすぎだと思っているほどですから」と言ってギルドを出て、2代の馬車で王都に向かった。


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