第51話 キタミの大掃除

サトルはギルド素材置き場のチーフ、ローズマリーと受付のケーシーから聞いたキタミに最近現れた25名の団体冒険者たちの素行がおかしく、彼女達のせいでかなり風紀が乱れているとの情報を聞いて、キタミの街の”大掃除”をかって出た。


一人で森まで行って、クエストを受け後をつけて来た25名のうちの5名の冒険者から聞いた、”冒険者を殺して獲物を略奪する手口”を聞き出し、4人を残して全員殺し、4人も終生労働奴隷にしてやった。


お陰で元の治安の良いキタミの街に戻り、サトルも1日だけ宿で息抜きをして、家に戻って来た。


「サトル、25人を1日で殺したんですって?やりすぎじゃない?」とスザンヌ。


「いや、4人だけ生かして労働奴隷にと衛兵に突き出したぞ!連中はキタミの冒険者を10人近く殺してクエストの獲物と金額を横取りしたんだぜ、本当は全員死刑でもいいぐらいだ」


「それにしても翌1日でそこまで調べ上げましたね」とルビーゼが褒めてくれた。


「実は罠をかけて、自分を囮に情報を聞き出した後、ほとんどを【イレージング】で消したんだ」


「サトル?その時はスキルは使わなかったでしょうね?」とスザンヌが妙に優しい声で聞いて来た。


「勿論だよ!さっさと【イレージング】で消したからね。胸なんて触る時間もなく殺したよ」


「取り敢えず、お茶とケーキを食べたらみんなでギルドに行って簡単なクエストを受けない?」


「クエストよりも他の都市に行って、取り敢えずメッシーナ王国のダンジョンは全部踏破してみない?」とスザンヌ。


「私も賛成です、そうすれば自然サトル様のような強い男性もいるのだと広まるのじゃないでしょうか?」とマーガレットも同様なことを言う。


「長旅になるから、家を開けることになるぞ?」


「女性陣はここか王都の家で通常のクエストを受けつつ俺だけ踏破しに行くのが早くてよくない?」


「夫婦が一緒に冒険をしなくてはダメでしょ?」とスザンヌ。


「今は4人でパーティーを組んでいるのですから4人で回らないとパーティーを組んだ意味がないですよ」とルビーゼ。


結局外堀を全て埋められてしまい「それなら先ずは”キタミダンジョン”を皮切りにここの3箇所のダンジョンを今一度踏破してからダンジョン踏破の旅に出ようぜ」とサトルが言って、皆も賛同した。


「それじゃギルドに行ってケーシさんに履歴を打ち込んで貰おう」


4人はギルドの受付に行きケーシを探すが生憎見当たらないので、女性の受付にスザンヌが4人のカードを出して”キタミダンジョン”に行くと告げてギルドを出た。


”キタミダンジョン”は北門から500メートル程しか離れておらず、4人は入口に直ぐ着いて、衛兵にカードを見せ、1階層に降りて行った。


いきなりオーク13頭が剣と混紡を持って4人に向かって来た。


「コイツラ殺気を感じ無いのかな?怖いもの知らずだな」


マーガレットとルビーゼが剣で首を切り落として行く。


サトルは『魔導銃』でレーザービームを連射して5匹を瞬殺する。


スザンヌも『五芒星剣』に魔力を流し、ダークカッターで3匹の首を切り落として、4人であっという間に13匹のオークを回収する。


2階層にはオーガが2体居る。


「前に潜った時より魔物のレベルが上がっているな!スザンヌ達も気を引き締めてね」


「そうね!2階層でオーガが出るなんてちょっと異常よ」

そう言いながら、2匹共にスザンヌが【サンダーボルト】で瞬殺してしまう。


3階層は岩ゴーレムが一体いて、力任せに大きな岩を投げてくる。


サトルが【鑑定】すると再生能力が高く、耐物攻撃にも高いスキルが有るが魔石を破壊されると機能を停止すると出た。


サトルは『魔導銃』で岩ゴーレムの魔石目掛けバレット弾を発射する。

着弾したバレット弾は高速回転しだし、硬い岩を物ともせずに魔石に到達して破壊しゴーレムは停止した。


4階層は密林ステージでスフィア・フロッグが2匹いる。マーガレットが2匹をエアカッターで瞬殺、更に進むとポイズンスネークが居る。


サトルが【スティール】を発動して魔石を奪い取り傷付けずにストレージに回収した。


更に進むとウォーターベアが2匹襲い掛かって来たのをルビーゼが水の魔剣で首を切り落として2匹共に倒した。


5階層はボス部屋で4人が入ると扉が閉まり中にはヴァンパイアクイーンが居る。


ルビーゼが【アースランス】を放つも軽く躱され、鋭い牙で危うく首を喰いちぎられそうになり、何とかシールドで難を逃れた。


「美味しそうな人間が4人も来て来れたわい」


いきなりマーガレットに光線を放つも、何とかシールドでそれを防ぎ【ファイアボム】を放ったが躱されてしまう。


スザンヌが『聖剣ガデリウス』を一閃すると「ぎゃぁー」と叫び霧散して魔石だけ残して消えた。


「前に潜った時より魔物のレベルが上がって居る気がするなぁ!」と独り呟くサトルだった。


宝箱を慎重に開けると『小さな鍵』があり【鑑定】すると、大きさは鍵穴に合わせて変化し、魔法で施錠されていても、開けられない鍵穴は無い万能鍵とでて、ストレージに回収した。


6階層は砂漠ステージでサトルは『具現の水晶』をストレージから出して『そらとぶ車』に変化させ、4人で乗り込み砂上3メートル程を飛行しながら【サーチ】を掛けて飛行して行くと、前方にサンドワームの上位変異種で頭が2つ付いているサンドワームが2匹いる。


サトルは『空飛ぶ車』に取り付けた『魔導砲』から連射で【ファイアスプラッシュ】を放った。


砂が邪魔して瞬殺とは行かなかったが、真っ赤になった砂に耐えきれず2つの頭を出した瞬間を狙い撃ちして【レーザービーム】を連射して殺し、回収する。


7階層にはワイバーンが3匹おり、口からは炎を吐いている。


ここはスザンヌが3匹に【サンダーボルト】を同時に3匹の頭に放って3匹同時に殺した。


「スザンヌ、随分雷系の魔法も効率よく撃てれる様になったね!」


「感覚的に7、8発は撃てる気がするわ」とご機嫌な返事が返ってきた。


8階層は、前回同様アンデッド系の魔物だが、前回よりはるかに強いスケルトンクイーンが盾と剣を構えて、歯をカチカチ鳴らしている。


「あいつ、あれで笑っているつもりなのかな?」とサトルが首を傾げている間に、スザンヌが『聖剣ガデリウス』であっという間に切り捨てて浄化してしまった。


大きな魔石だけが残った!


9階層はヒュドラだ!


マーガレットは身体に【シールド】を掛けて『魔剣炎の剣』で切断と断面を焼く同時作業で再生を防ぎつつ9個の首を切り落とした。


遂に10階層に到達した。

前回は赤龍だったが今回のラスボスは何だろう?


扉を開けると物凄い高温で咄嗟に全員で2重のシールドをして防ぐ。

目の前には巨大な火の鳥フェニックスが居る。


前に対峙したことがあるサトルは周りに絶対温度を放ちつつ【スチール】のスキルを発動しフェニックスとの力勝負に出た。


最初はフェニックスも頑張っていたがついにサトルに押し切られて倒れ、巨大な魔石がサトルの両手に現れ、フェニックスが倒れた。


周りの温度も急激に冷えて、サトルは慌てて絶対零度を解除してフェニックスをストレージに回収し、罠が無いのを確認して、あけた。


中には小さな補聴器のような物があり【鑑定】をすると『魔力を流し、思う相手を考えるとその人の話し声がどんなに遠く離れていても聞こえ、その声を録音出来る”録音拡聴器”』と出ていた。


とても面白い『マジックアイテム』で早速ストレージに回収し、ダンジョンコアを抱えて4人は転移盤に乗り出口へと向かった。


「サトル、貴方がた最初に踏破したと時より高位の魔物だった?」とスザンヌが聞く。


「確かに強くなっているな!王都のダンジョンの時もそうだったけどダンジョンってどんどん難しくなって行くシステムなのかもしれない。しかも、宝物やドロップアイテムがレア物になって行く気がする」


「キタミのダンジョンがそうであれば、キタミ西ダンジョン等もレベルが上がっているかも知れないわね。明日西を潜って見ましょうよ」とスザンヌが言い出した。


「取り敢えず素材置き場に獲物を納品してスザンヌからギルマスにコアを渡してよ!」


4人は素材置き場に行き、ローズマリーに大量かつ高位の魔物を置いて、ギルドの食堂で軽食のオークの照り焼きバーガーと野菜スープを食べて精算納品書を待った。


ローズマリーが「凄い事になってるわよ、恐らくキタミ始まって依頼の高額精算になると思うわ」とスザンヌに言って、納品書を渡してくれた。


ケーシにスザンヌが納品書とダンジョンコアを渡すと、ケーシが「スザンヌ様、白金98枚、金貨75枚、銀貨92枚、銅貨96で

キタミの3週間分を超える扱い高よ!フェニックスが効いたわね」と驚いていた。


「サトルちゃんのカードにまとめて入金しておくわよ」と言って、コアを2階のギルマスに持って行った。


「サトル、キタミギルドの資金繰りを考えると次のダンジョンは別の都市に行った方が良さそうね、取り敢えず家に帰ってお風呂に入って魔物の匂いを洗い落として美味しいケーキを食べたいわ」


「それ、全部俺の仕事じゃん!」と言って4人はギルドを後にした。


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