第47話 ハルモナの迷宮の再踏破

サトルとスザンヌ達『改革の息吹』の4人のパーティーは王女達のお守りをしながらのダンジョン踏破をしたが、4人が4人とも欲求不満で、再度踏破して気分をスッキリさせるべくギルドの受付にカードを出して”ハルモナの迷宮”ダンジョンを潜る旨伝えた。


「ええ、昨日踏破したのに又いくのですか?違う魔物が出るおそれもあるので油断はしないでって、4人のこのクラスでは全く問題無いですね」と受付嬢に言われ、サトル達は”ハルモナの迷宮”の階段を降りていった。


サトルが前衛でスザンヌとルビーゼが中衛、マーガレットが後衛の布陣で進む。


「サトル、【インビジブルハンド】は無しよ!」とスザンヌに又も言われる。


1階層はゴブリンの群れに、ゴブリンシャーマンとゴブリンクイーンがいた。


サトルは『鬼切丸』と【アースニードル】を放って雑魚のゴブリン25匹をあっと今に切り倒し、スザンヌがゴブリンシャーマンが呪術を唱え始める瞬間に【縮地】で首を『五芒星剣』で切り落とし、ゴブリンクイーンはルビーゼが『水の魔剣』で胸を魔石ごと貫いて殺し、討伐部位の耳をそぎ落として、ストレージに回収した。


2階層はオークの群れ20頭にオークジェネラルとオーククイーンがいた。

前回と魔物の種類は変わらないが数が3割り増しに増えて、同じ魔物でも上位種が増えているようだ。


オークをマーガレットが後衛から【エアカッター】を連発して10体ほど倒し、

残りをスザンヌとルビーゼが剣で同様に首を切り落としていく。


オークジェネラルとオーククイーンはサトルが2体を同時に相手して、『鬼切丸』で華麗に舞うが如く首を切り落とした。

死体をストレージに血止めしてから22体回収して3階層に進む。


3階層には1匹の岩竜がいる。


「あれっ?昨日と違うな、昨日と俺の時はワームだったけど・・・」


サトルが岩竜の甲羅に飛び乗って、掌底破を放った。

岩竜の内臓をぐちゃぐちゃに破壊して苦しみ出して顔を甲羅から出したところをスザンヌの『五芒星剣』によって首を落とされて回収した。


4階層は何故か魔力溜まりになってしまって、アンデット30体が剣と盾を持って襲いかかってくる。

そして、その後ろには恐ろしいレイスが薄笑いを浮かべ魔力を吸収しつつ巨大化していた。


「スザンヌ、ここは俺が30体のアンデットのスケルトンを一気に殲滅するので

巨大化したレイスを撃てるか?」


「全く問題ないわ」


サトルはストレージから大剣アダマンタイト製の『誅戮剣』を出して一閃すると30体のスケルトンは粉々に砕かれて霧散した。


レイスが強烈な【ブリザードスピア】を放ってくるがスザンヌは『五芒星剣』でその魔法を切り、消しとばした。


しかし、サトルが倒したスケルトン30体は倍近くの数となって現れ、レイスも2体に増えて復活してしまった。


「サトル、奥の魔力溜まりが原因だと思うのだけどこのように魔力が湧き出ているのは何だと思う?」


「一番湧き出ている場所に何やら立方体のような物質が置かれているけど、石柱なのか何か金属的な物のようだね?」


サトルが【鑑定】すると『ミスリル、ダマスカス綱6:4の合成物体で魔力発生物体で時としてダンジョン再構築時に現れる』


「どうやらあの金属めいた石柱が魔力を発生させてダンジョンを再構築させているようだな」


「数があまりに多すぎるので、俺が【ブラックホール】で全てのスケルトンとレイスとあの石柱ごと異界の世界に飛ばすから、俺より後ろに下がって、吸い込まれないようにしてくれ」


「【ブラックホール】」と呟いたサトルの前方には黒い異次元の空間が現れ、60体のスケルトンと黒い靄の様なレイス2体を飲み込んで吸い込んでいく。石柱も黒い空間に吸い込まれて、サトルより前方に存在するのはダンジョンの洞窟だけだ。


「サトル、凄い魔法ね」


「いや、あれは魔法と云うより俺のスキルかな?」


4人は5階層に向かった。

5階層にはヒュドラがいる。


「昨日の魔物とだいぶ違うよね?かなり強い魔物になっているなぁ」サトルが驚いている。


「マーガレット、私が首を切り落として行くから、切口を【ファイアスプラッシュ】で焼いて再生を防いで」


「分かりました、一番左の首から切り落として下さい」


「了解よ、じゃぁ行くわよ」


スザンヌとマーガレットが素早く首を切り落とし、40分程でボス部屋を解放した。


宝箱に罠が無い事を確認し、開けると中には『エリクサー製造カップ』と書かれた銀のコップがあり、念じるとカップ一杯に最高級のポーションであるエリクサーが出来てくるコップだ。


6階層は平原ステージでワイバーンが3匹、炎を吐いて威嚇して来る。


サトルは『魔拳銃』を連射してワイバーンの羽を撃ち抜き、炎を避けて【転移】で首を3匹とも切り落とし、仕留めた。


7階層にはミノタウロスが2匹、ハルバードに盾を持って立ちはだかっている。


マーガレットが【エアカッター】を放って【縮地】で間合いを一瞬で詰めるも、エアカッターを盾で防ぎハルバードの鋭い突きでマーガレットをいなし、距離を取って不敵に笑っている。


もう1匹のミノタウロスもなかなか強くてルビーゼの鋭い一撃を軽く躱してハルバードで攻めてくる。


マーガレットはミノタウロスの首目掛けて【エアカッター】を連発し、足元が疎かになったミノタウロスに炎の魔剣で【ファイアランス】を放ち、隙が出来た所で首を刈り取った!


一方ルビーゼの方も【アースニードル】で足場を崩し、隙をついて首を刈り取った。


「結構強敵だったわね!」とスザンヌ二人を労った。


「昨日とはえらく難易度が違うな」とサトルも驚いている。


8階層にはオーガ5匹も居る。


「スザンヌ、ここは俺に任せてくれ、5匹を瞬殺するから」


「インビジブルハンドは駄目よ!」


「大丈夫」サトルは『魔拳銃』を構えて、オーガの頭に5発ジャイロバレット弾を連射し全て頭を吹っ飛ばして瞬殺してしまった。


「凄い威力ね!」とスザンヌ。


9階層にはメデューサがいる。


「マーガレット、ルビーゼ相手の目を見ては駄目だ、石化の魔眼持ちだからな」


「マーガレット、【エアカッター】で首を切り落としてくれ」


サトルは目を狙って【ファイアランス】を放って目を潰し、髪の毛の猛毒の蛇も【ファイアボム】で焼き殺した。


遂に10階層のラスボスの部屋に入った!


巨大な黒龍が火炎咆哮を放って来る。


「スザンヌ、シールドで防ぎながら黒龍の気を引き付けて置いてくれないか?俺が魔石を奪い無傷で倒すから」


スザンヌは凄まじい火炎咆哮をシールドで防ぎながら黒龍の意識を自分に向けさせ、サトルは『魔石師』のスキルを発動させて黒龍の魔石を【アトラクト】しに行く。


サトルは強力な念を放ち遂に魔石を手元に奪い取り、それと同時にゆっくりと黒龍が倒れた。


傍の宝箱を開けると『魔導砲』とあり、『魔拳銃 』の大型版の様だ。

サトルはストレージに回収し、ダンジョンコアをもって4人はダンジョンをでた。


冒険者ギルドの受付にダンジョン踏破を伝え、素材置場魔物の山を築いて、食堂で納品書が上がるのを待って、ダンジョンコアと納品書を出した。


「それで無傷の黒龍とエリクサー2本をオークションに出したいのだけど」とサトルが受付嬢に話すと、ギルマスのエミリアを呼んで来た。


「またスザンヌさんとサトル殿か!3日後に王妃様達も参加して公爵様の大広間で行われます」


「黒龍はこちらでそれ迄預かりますので一緒に素材置場の横の倉庫まで来て下さい」


4人はエミリアに付いて行き、ストレージから黒龍を出した。


「今迄で一番大きな黒龍だわ!凄い迫力ね」

サトルはエリクサー2本も渡し受付を終え3日後に公爵様の所でと言って、エミリアと別れた。


サトル達はオークション迄の2日間をギルドに行き、クエストを受けてはこなしてすっかり王都のギルド内では『改革の息吹』の4人組は顔が売れた。


特に男性であるサトルは有名なスザンヌの旦那様だと認識され、王都のギルドで彼に絡んで来る冒険者は流石に居なくなった。


2日間で稼いだ金額も金貨86枚と、普通の冒険者では考えられない額だ。


そしていよいよオークションの日が来た。


サトルもスザンヌ達も少し貴族風の洋服に着替え公爵邸に向かった。


男性のサトルだが、流石に公爵邸の衛兵にも顔が知れ渡っており、スムーズに会場まで案内されて4人は席に着いた。


「マーガレットとルビーゼも何か欲しい物が有れば入札して構わないわよ」とスザンヌ。


司会者が始まりの挨拶を言って、オークションが開始された。


サトル達は『アーティファクト製造キューブ』が有るのでまずは欲しい物は無い。


どんどん進んでサトル達が出品したエリクサー2本が出て来た。


最初の初値が、白金10枚から始まり、結局商人が白金58枚で2本とも競り落とし、計白金116枚になった。


最後に巨大黒龍で白金50枚から

始まり、最後は錬金術集団の王都錬金術組合が白金287枚で落札した。


サトルのカードには白金403枚という途方も無い大金が入金された。


今迄のクエストやダンジョン踏破の金額を合わせると途方も無い額となってしまった。


「スザンヌ、とりあえず3人に白金100枚ずつ渡して良いかな?」


「私はサトルが持っていれば安心だから貴方が持っていて」


「私達もこの間の王女様の依頼分が有るので全く必要無いのでサトル様が持っている方が安心なのでよろしくお願いします」と断られてしまった。


公爵や王妃に捕まえられたく無いので早々にオークション会場から逃げて、ギルドマスターのエミリアと騎士団長のディアナも誘って例の高級料亭に行った。


「ディアナ、エミリアきょうは奢るから好きな物頼んで」とサトルが言ってまずはエールで乾杯してツマミ等をてきとうに頼んだ。


その後は6人で高級な料理ばかり頼んでも金貨1枚にも行かない。

結局銀貨65枚程使って皆お腹一杯になって別れた。


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