第45話 ハルモナの迷宮で指名依頼

王女様3人から指名依頼を受けたサトル達パーティーは王都の冒険者ギルドのギルドマスターであるエミリア同伴で第一王女、第二王女、第三王女3人が”ハルモナの迷宮”ダンジョンを潜る護衛依頼を指名されて、断りたいが拒否権が無く仕方なくだがこれからサトルが一人で踏破した王都のダンジョンの再挑戦に護衛としていくことになった。


「王女様達に最初に申し上げます、前衛は【サーチ】及び【鑑定】が出来る私サトルとスザンヌ、中衛に第一王女、第二王女、それにマーガレット、後衛に第三王女様とルビーゼとエミリアさんにやってもらいます」とサトルが入り口で体制を言った。


「私が前衛で魔物を討伐しまくるのはダメなの?」と第一王女のバーバラ姫が口出しして来た。


「バーバラ王女様は【サーチ】ができないのでダメです、どんな魔物が潜んでいるか瞬時に判断して中衛以下に的確に伝えて戦いの準備をするためにも前衛は私とスザンヌが引き受けます。それでは参りましょう」有無を言わさずサトルが階段をおりていく。


「最初はゴブリンが来てます、私とスザンヌが足、手切り落としますのでバーバラ様とキャロル様がトドメをお願いします」


サトルはゴブリン15匹が現れたところで、【ティルト】を放ってゴブリンの両足を粉砕し、スザンヌも『五芒星剣』で炎を放って同じく両足を切断し、動けなくなったゴブリン15匹をバーバラとキャロルが首を切り落としトドメをさした。


マーガレットがゴブリンの討伐証明の耳を削って、ついでに小さな魔石を回収して行った。


2階層は前回同様オークが8頭出て来ている。

これもサトルは【闇魔法】のダークレイを放ち両足を吹っ飛ばして動けなくしてバーバラとキャロルがトドメで首を切り落とした。


3階層は確かワームが出て来たと思っていたが、最初に現れたのはキラーアントの群れだ。

口から物を溶かす酸性の液を出し、群れで襲ってくるので非常に厄介な相手だ。


「姫様達では少し相性が悪いのでここは私が纏めて対処します」とサトルが前に出て【結界】で数千匹のキラーアントを全て囲って結界を小さくしていき、全てを押しつぶしてしまった。


「サトル、ここは私の【火炎系】魔法で軽くやつけられたのに要らぬ助けはせぬ様に」といきなりバーバラ第一王女から横槍が入った。


「狭いダンジョン内で火炎系魔法を放てば酸素が不足して全員が倒れてしまいます、地上の様に広い場所では勿論王女様の魔法で倒せますが洞穴とかダンジョンの限られた空間では撃つので有れば【ファイアランス】とか【ファイアスプラッシュ】を一瞬で打たないと自分たちが危ないですよ」とサトルが説いた。


気の強い第一王女は途端に不機嫌な顔でサトルを睨んでくるがギルドマスターのエミリアからも「ダンジョン内とか洞窟内では火炎系魔法を考えて撃つ様に冒険者達にも教育してますのでサトル殿が云う様に、剣で対処するか、水魔法などで対処するのがいいです」とやんわり第一王女に伝えた。


暫く進むと今度はアースワーム1匹が襲ってくるので、今度はバーバラとキャロル王女が剣でサトル達を無視して切り掛かっていってしまった。


ワームが二人の王女を跳ね飛ばして襲ってくるがスザンヌが二人をうまく抱えて落ちるところを怪我なく受け止め、マーガレットが【エアカッター】とルビーゼが【アースランス】を放ち打ち取った。


気絶した王女二人に【ヒール】を掛けて意識を戻し、スザンヌが「余り無理しない様に」とやんわり話した。


第三王女のクリスティーナが更に神聖魔法の【回復】を掛けてあげて二人は元気になった。


4階層はアンデット系の魔物で、スケルトン15体とバンパイアが2体いる。


「ここは私とスザンヌ、姫様3人でアンデットを剣で砕き、バンパイアはマーガレットとルビーゼに任せましょう」とサトルが叫んでスケルトンの群れに切り込んで行く。


やっと活躍できるとバーバラ王女、キャロル王女は剣でスケルトンの首を切り落として行く。クリスティーナも神聖魔法を発動してアンデッドを浄化していく。


4階層をクリアして5階層のボス部屋にたどり着いた。

ボスは前の経験でミノタウロスだとわかっているが姫達の剣では間違いなくやられてしまう。


ここはサトルの特殊スキル『インビジブルハンド』で気絶させて姫達にトドメを刺してもらおうとした。


8人がボス部屋に入ると案の定ハルバードを構えた胸でかのミノタウルスが襲ってくる。


サトルが【インビジブルハンド】で腕を触ると「#%^〜▽◁▲$」と叫んで気絶したところで、「姫様、トドメを早くお願いいたします」とサトルが叫びバーバラがミノタウルスの首を目をつぶって剣で切り落とした。


宝箱が有り、サトルが罠がないことを確認してバーバラが開けるとポーションの最高級のエリクサーが入っており、バーバラが袋に入れて喜んでいる。


サトルが直ぐに血止めをしてボス部屋を【クリーン】魔法で綺麗にして、そこで休憩にした。


バーバラが「どうしてミノタウルスが気絶したのかしら?」と不思議がっている。


「スザンヌが”気”の力で【エナジービーム】でも放ったと思いますよ」とサトルがぬけぬけと言ってスザンヌのせいにした。


後ろにいたエミリアは”気”が放たれているかぐらいはわかるのでスザンヌにこっそり”あれがサトル殿のスキルですか?”と耳打ちするとスザンヌが”おそらくそうよ”と頷いていた。


「それではここでお茶タイムにして、みなさん私の村のお菓子を食べて少し休憩してください」とショートケーキとチョコレートケーキにサバランを出して温かい紅茶を皆に振る舞った。


「サトル、このお菓子は何じゃ?こんなに美味しいお菓子は余は食したことがないぞ」とバーバラが大声で叫んだ。


エミリアも他の二人の王女達もその美味しいケーキに魅了されている。

驚かないのはスザンヌとマーガレットにルビーゼの3人だ。


「お主らはいつもこんなに美味しいお菓子を毎日食しているのかや?」


「ええ、サトル様が出すお菓子は全て絶品でございます」とルビーゼが得意げに答えていた。

結局サトルの分のサバランまでバーバラ王女達に取られてしまった。


「それではそろそろ6階層に向かいましょう」とスザンヌが言って、皆でボス部屋をでた。


「この先には罠が有りますので私が踏む以外の石を踏まないで下さい、下は落ちたら地獄の様な光景が待ってますから」と皆に伝えて、全員がサトルの足跡をゆっくり辿って6階層に行った。


6階層は前回同様平原ステージでトロールが1体おり、ルビーゼがトロールの足を【アースロック】を放って捕捉して動けなくしたところをバーバラとキャロルが剣でトドメを刺した。


7階層も前回同様海のステージでサトルは『具現の石』を取り出し、『潜水艇』を作り皆を乗せて潜り始めた。


「サトル、この乗り物は何なのですか?海に潜れるなんて聞いたこともないですが!」とバーバラ姫が怒った様にいう。


「これは古代文明時代にはあった様で『潜水艇』と云うものらしいです。一種の古代文明の魔道具です」と大雑把に説明した。


クラーケンを2匹倒して回収し、陸地に上がって『具現の石』に潜水艇を戻した。


8階層はレイスがおり、ここは聖魔法のクリスティーナ王女が活躍して何とか仕留めた。


9階層には岩竜がおり、姫達の剣では歯が立たないが、『インビジブルハンド』で気絶させて3人の姫に首を切り落としてもらう。


「岩竜が気絶したのもスザンヌの【エナジービーム】か?」とバーバラ。


「左様でございます、スザンヌ程になると”気”の塊を自在に放てる様になるらしいです」とぬけぬけと話すサトル。


後ろの方でマーガレットとルビーゼが盛んに笑いを隠していた。


ついに10階層のラスボスに来たがここは赤龍のはずだ。

扉を開ける前に姫達と全員をシールドで保護し、赤龍の炎の息吹から守ってあげる。


ここはサトルが『制御のリング』を全開放して『インビジブルハンド』で2回程赤龍の首を撫でて気絶させると、3人の姫達が剣でトドメを刺そうとするが赤龍に剣が通らない。


結局スザンヌ達が一緒に姫達の剣を支えて【身体強化】を掛けて一緒に倒した。


宝箱を開けると『転移石』が1個入っており、これも大事にバーバラ姫が袋に入れていた。


みんなで『転移盤』に乗って、入り口の階層に戻り、冒険者ギルドに戻った。


ギルド近くの高級レストランで昼食を8人で取り、迎えの馬車と騎士達が来るまでギルドのマスター室で待っている。


「思ったよりダンジョンて呆気なく踏破できるのだな」とバーバラ姫がエミリアに云うと、「いやいや、通常では岩竜や赤龍を気絶させれる冒険者はそう、いませんから戦うとなると冒険者側にもかなりの負傷者が出るものです」


「そうなのか?今回はスザンヌの”気”のおかげで倒せたので、今度は騎士団と我らでダンジョンを踏破してみるかな?」


「その際は必ず騎士団長のディアナと私をお連れください」とエミリアが必死に説得しているのがサトルは可笑しかった!


しばらくすると王宮に向かう馬車が来て、王女3人が騎士団に守られて帰って行き、サトル達はエミリアから白金5枚を受け取って王都の自宅に歩いて帰って行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る