第30話 マレーナ教国

ミナミの街を後にしてミルバの街で1泊、そこでマーガレットとルビーゼの魔法をマーガレットには風魔法、ルビーゼには土魔法を教え、更に合成魔法をマーガレットに教えて火と風を使って業火の魔法を、ルビーゼには土と水魔法で土石流を放てる様にまで2日間で成長させた。


ミルバの街ではオーク討伐とファングボア3頭をマーガレットとルビーゼだけで倒してクエストを完了して金貨45枚をゲットした。


翌日の朝ミルバの街を出てメッシーナ王国最南端の街ウォールドに着いた。

まずは冒険者ギルドに行きクエストを見るとAランクの掲示板に強盗団の捕獲と根城の破壊のクエストが金貨80枚と高額なクエストが有るのでそれをマーガレットが剥がして持って来た。


4人でこれに決めて受付にスザンヌがカードとクエストを出し、強盗団が出没する辺りの場所を確認して、馬車を囮にしてサトルが一人で御者台にいて待つことにする。


ウォールドの街道をマレーナ教国に近づいた街道筋と言うので、国境付近の平原で休憩する感じで馬車を降りてサトルは好きなサバランと紅茶を出してのんびり強盗が現れるのを待っていた。


この世の最弱の男が馬車で一人野宿しているのを野盗の集団が逃すわけがない。

3人いれば事足りると、野盗25人は根城に戻って待っているようだ。


3人の下っ端の野盗が荷物持ち然とした男性サトルに近づいてきて、「おい馬車の荷物とお前の全財産を出せば命だけは助けてやる、さっさと御者台から降りろ」


「お嬢さん達は強盗団?それじゃ殺されちゃうから馬車降りるので手を貸してよ」


「お前一人で降りられないのか?」とサトルに手を出してサトルが触った瞬間野盗が気絶した。


「きき貴様何をした!」


「ええ、手をつないだだけだよ」


「ほらこうして・・・」ともう一人の手を掴んだ瞬間彼女も一瞬で気絶してしまった。


「貴様、何か二人にしたな?こうなったら生かしておけぬ」と女性盗賊は剣を抜いたがサトルは【縮地】で裏を取りオッパイを後ろから鷲掴みして一瞬で気絶させた。


3人を縄で縛って馬車からスザンヌ達が出てくる。


「サトル、未だ生きているのだろうな?」


「もちろんだ、俺は何もしないで手を繋いでだけだぞ!」


スザンヌは一人の野盗に喝を入れて気がつかせ「お前達の寝ぐらに案内すれば命は取らぬ、黙っていたらこの男性がお前の命を奪うかも知れん、コイツは女性から虐げられていた恨みがすごいから拷問もすごいぞ」


「ふん!仲間を売るぐらいなら命なんて」と言ったとき、サトルがいきなり彼女の足に剣を突き刺した。


「ぎゃ!いてーだろ・・・」


「女性はもっとおしとやかに『痛いわよ!やめてよー』とか言うもんだぞ!」

そう言って、サトルはもう片方の足に剣をさした。


「次は手だな・・・、命が惜しくないと言ったから順番に行くね」


「両手を切断したら目だね」


「ちょちょちょっと待ってくれ、喋る!喋るから取り敢えずポーションで直してくれ」


「まずは足だけ直してやる」


サトルは彼女の両足に【ヒール】をかけて足の傷だけ直した。

未だ両手は肩口から切断されて止血されたままだ。


「根城はここからマレーナ教国の国境沿いの岩山の洞窟だ。ここから2キロ程行って左に折れて1キロほど行くと岩山が見えてくる。そこに沿って行くと200メートルほどすると洞窟がある」


「スザンヌ、悪いがコイツらを見ていてくれる?俺とマーガレットとルビーゼ3人で捕まえてくるから」


サトルはマーガレット達と【身体強化】をかけて、目的の洞窟前についた。

入り口に見張りが二人いる。


サトルは【インビジブルハンド】で二人を気絶させて捕縛した。

戦うのも面倒なのでサトルは洞窟内の野盗がいる箇所を【結界】で覆い、そこの空気をどんどん抜いて行く、全員25名を気絶させて全員【呪縛の縄】で縛り【ダークジェイル】に全員を入れて、スザンヌの所に【転移】した。


マーガレットとルビーゼはサトルにさわれないので【闇檻】の中で野盗達を監視する感じで中にいてサトルとともに檻ごと【転移】していた。


「サトルやに早かったね、戦わないで例の力を使ったの?」


「いや、スキルは入り口の奴二人だけに使って、あとは【結界】で纏めて囲い中の空気を抜いて気絶させた」


「その手があったわね!ところで、この捕獲したやつの手をどうする?」


「一応、約束だから直してやるよ」とサトルは肩から切断された両手を【ハイヒール】で再生してやった。


野盗の女性は涙を流して喜んだが「これから全員をウォールドのギルドに連れて行くからそこでの処遇は俺たちは関係ないからな」


サトル達は馬車に【ダークジェイル】を繋いでギルドに戻り、野盗全員と根城に保管されていた戦利品を受付に渡した。


金貨80枚とギルマスから特別報奨金として金貨20枚も貰い金貨100枚になった。


ギルドを出て、マレーナ教国との国境で出入国手続きをして、マレーナ教国の最初の街オカテに入った。


キタミよりは小規模だが割と思ったより賑やかな街のようだ。

サトル達は宿を探しに行くとギルドの真正面に宿がある。


「サトル、ギルドの側は絡まれやすいからいやかしら?」とスザンヌが笑いながら聞くが、「この際、男サトルを売り出すのだから関係ないぞ!どこの宿でもOKだ」と息巻くサトル。


スザンヌ達が宿に入っていき、サトルは馬車と馬を宿の裏に持って行き、人がいないのを確認して元の『具現の石』と『具現の水晶』に戻し宿に入った。


部屋は210号室ダブルと211号室のツインのふた部屋を抑え、スザンヌとサトルは210号室に向かった。


一旦シャワーを浴びて着替えたら昼食を食べに出ようと決めて4人で宿を出た。


30メートルほど行くと小ぎれいな定食屋があるので入ってみる。


4人で座ってメニューを見ると魚料理がこの店のメインのようだ。

スザンヌはカレイに似た白身の魚のムニエルにして、マーガレットとルビーゼも同じものを頼んだ。


サトルだけマナバイソンのステーキにサラダ、野菜スープ、スザンヌ達はエールを頼んでいた。


「サトル様、果実ジュースはよろしいのですか?」とルビーゼが聞いた。


「食後に頼むよ」と言って、女性3人はエールを飲んでいるがサトルはステーキを食べ始めていた。


ここはマレーナ教国、サトルは街の食堂ではただ一人の男性だ。

案の定一人の冒険者が近ずいて来て「おい荷物持ち、席に座って食事が出来ないのは分かっているだろう?」


「何だ?お前、俺が荷物持ちかどうかも分からない程度の低い冒険者か?なら俺の前からさっさと消えてくれ」


「何だと!私はこう見えてもBランクの冒険者だ!」


サトルは黙ってカードを見せた。


「なな何だと?男のお前がSSランクだと・・・」


「信用しないなら決闘でもするかい?一瞬で手足位は消してあげれるぞ」


「すすすまなかった!無礼を許してくれ」


冒険者の女性はすごすごと自分の席に戻り仲間の冒険者達に何やら話して、席に座った。


「サトル、少しは成長したわね、いきなり手足を消すかと思ったわ」


「俺だってこの世界に一ヶ月も居れば少しは慣れるよ」


「しかし、Bクラス辺りなら相手の力量位は分からないとなぁ」とぼやくサトル。


「きっとサトル様が男性なので、男性は弱いと云う先入観が有るのですよ」とルビーゼが言う。


スザンヌ達の料理も出てきて、食べ始めた。


サトルは果実ジュースを頼んだ。


「明日はオカテを出て次の街のネブラロイに向かうわよ。あそこは確かダンジョンが有るから『改革の息吹』で制覇しましょ」


「そしたら前衛は俺で、マーガレットとルビーゼが中衛でスザンヌが後衛で行こうな!」


明日の予定を話していたら、またも食堂に入って来た5人の冒険者達がサトルを見て近づいて来た。


「ここは男のお前が座って食事出来る場所じゃないぞ、さっさとどいた方が身のためだぞ」


「何を根拠にそんな事を言うのかな?」


「ここは冒険者が食事する所だ、荷物持ちはご主人様のそばで立って待っているものだ」


「俺は冒険者だから構わないだろ?」


「お前が冒険者?」


「そんな貧相な身体で冒険者のはずが無かろう」


「なら外に出てお前達5人で俺に掛かってきな、瞬殺して殺るから」


「おう、お前が私達5人を相手に勝てるわけが無いが、お前から言い出したのだからな、死んでも私達のせいではないぞ」


「俺がお前達に勝ったら冒険者を辞めて荷物持ちをやるか?」


「ああ、奴隷になってやる」


「そうか!食堂の皆さん聞いたよね、俺が勝ったらこの連中は俺の奴隷になるそうだ」


サトルは5人と外に出て対峙する。先程絡んで来た冒険者達も出てきた。


「スザンヌ様見なくても良いのでか?」


「あぁ、結果は見なくても分かるから未だ食事も終わって無いしな!」


5人が剣を抜いてサトルに向かって来るが、サトルは素手であっという間に彼女達の首に手刀を当て意識を奪ってしまった。


サトルがスザンヌ達の席に戻って来た。


前に絡んだ女性はサトルにカードを見せて貰って良かったと心底思った。

彼女達はサトルの動きが全く見えなかった。

人間はあんなに早く動けるものなのか?と思う程認識できなかった。


しばらくして5人の冒険者達が目を覚まし、全員が急いで街を出て逃げて行った。


「サトル、彼女達が逃げて行ったわよ」


「捕まえる程の相手でも無いよ、食後の運動にもならない相手だったな」


「スザンヌ達も食事終わったなら宿の方に戻って、裏庭でマーガレットとルビーゼ、少し模擬戦でもするかい?」


「君らは魔法の練習も含めて、魔法ありで俺に向かって来て良いからね!スザンヌは審判を頼むよ」


サトル達は宿の裏庭に行き、マーガレットとルビーゼが剣を抜き【縮地】で一瞬で間合いを詰めマーガレットが袈裟がけに、ルビーゼが胴を目掛けて横に剣をなぐ。


サトルはマーガレットの袈裟がけの斬り掛かる手を掴み、その剣で横にないできたルビーゼの剣を弾いて、マーガレットの腹に軽く掌底を放ち、ルビーゼの足をサトルの足が踏んで、動けないところにおでこにデコピンをして気絶させた。


「ルビーゼ達では余りに差があり過ぎで模擬戦にもならないわね!」と呆れるスザンヌ。


「今度は私が相手よ」


スザンヌが剣を抜き構える。


「ちょっと待って、さすがスザンヌ相手に素手では辛いでしょ」


「あら、サトルは魔法を使っても良いわよ」


「よーし、それならやってみよう」


いきなりサトルはスザンヌに【結界】を掛けて来る。スザンヌは剣で一閃してそれを消し去った!

スザンヌはすぐ様【縮地】でサトルに肉薄するがサトルも瞬時に【影踏み】でスザンヌの動きを封じる。


スザンヌは『リフレクショリング』で魔法をサトルにはね返すがサトルは【ディスペル】で無効にして瞬時に距離を取る。


スザンヌは【縮地】と風魔法の合成で目にも止まらない速さでサトルに肉薄して鋭い突きを入れてくる。それを躱しながら隙を付いて手刀を繰り出すサトル。


全てスザンヌに躱されるが、スザンヌが斬り掛かる一瞬を捕まえて、手に掌底破を軽く放ち剣を奪って終わった。


「やっぱり、スザンヌとの模擬戦は素手では辛いよ」


「それでも勝ったくせに何をか言わをやだわね!」


マーガレットもルビーゼも全く目で追えない速さに呆れていた。部屋に戻りシャワーを浴びてそれぞれ仮眠をとる事にした。


1時間程仮眠をとり、夕食のために4人で食堂に降りて行った。

ここではサトルも3人と同じ魚料理にした。


周りがエールを飲んで機嫌が上向いて騒ぎ出したので、絡まれる前にサトル達の部屋に上がり、別腹のコーヒ&ケーキタイムで楽しんでその日は静かに寝た。


翌朝朝食を食べて次の街、ネブラロイに向かう4人だった。


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