第29話 新たな旅立ち
マーガレットとルビーゼの魔法特性をマーガレットが【火炎系】と【風系】、ルビーゼが【土系】(アース系)【水系】(ウォーター系)に切り替えました。
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スザンヌが晴れてキタミのギルドマスターを引き継ぎを終えて、Sクラスの冒険者となったので、スザンヌと各国の冒険の旅に出る事にした。
家を長らく開けるので、二人の侍女達も冒険者登録しているため、4人でむかうことにした。
マーガレットとルビーゼもAランクの冒険者なので4人のパーティーで、申し込むことにした。
「サトル、パーティー名ーはどうするのだ?」
「俺、ネームセンスが無いからな!スザンヌ達で決めてくれよ」
「パーティー内の最高ランクの人間が決めるのが通例だぞ」
「俺のセンスでいいのか?それなら『改革の息吹』ってしたいな」
「何故その名前がいいのだ?」
「男でも荷物持ちじゃ無く強い人間もいるのだと云うことを女性の人たちにも知ってもらうためにこの世界を少しでも変えたいとする俺の心意気だ!」
「何だか硬いけど、サトルらしいからそれでいこう」
「キタミでパーティー登録して出発するのに、私とサトルが食材と必要な物を買い出ししてくるから、あなた達で長旅に必要な物はメモして私にくれるかしら?」
「はい、サトルさんには言えないものばかりですのでスザンヌ様に直接メモを書いて出します」
夕食を食べてスザンヌといつもの様に耐スキル訓練をベッドでして、二人で遅くまで頑張り朝を迎えた。
サトルは一人『誅戮剣』を担いで中庭で5000回の素振りをして、シャワーを浴び、スザンヌが旅の準備をする傍らで瞑想してマナの循環を確認しつつ瞑想をといた。
スザンヌも【次元ストレージ】の中程度の容量のストレージを持っているので女性の下着類等は全てマーガレットとルビーゼの分も入れてあげている。
「女性は化粧や諸々あるから大変だな!俺なんか着るものと下着ぐらいだからあとは全部食い物だな」
「サトル、朝食を食べ終えたら市場に買い出しに行きましょう!」
「おお、スザンヌと市場に行くなんて新鮮な感じだね、そうだ、スザンヌにダンジョンの宝物で得た『魔剣・五芒星剣』をあげるよ、火、風、水、土、闇の5属性を纏って剣から放つ事ができる剣だよ」
「そんなすごい剣をどこのダンジョンで得たの?」
「不滅のダンジョンの確か10階層のボス部屋だったな」とサトルは『魔剣・五芒星剣をスザンヌに渡した。
「この旅で使いこなせるまで使ってみるわ!それと、これからは毎日一緒だから覚悟しなさい」
「嬉しい覚悟だから大丈夫」
朝食を4人で食べ終えて、サトルが「マーガレットとルビーゼは剣は持っているの?もしなければミスリル製の高級品でも買ってこようか?」
「大丈夫ですわ、以前から使い込んで馴染んだ剣を二人とも持っていますし、軽装ですがドラゴンの皮製の鎧を二人とも持っていますから」
「ええ、そんな高級品の鎧を持っているの?」
「はい、スザンヌさんから買って頂いたのがあります」
「ギルマスってもうかるのだね!」
「私が刈り取ったドラゴンの素材だったからそれ程値がかからずに済んだのよ」
朝食も済んで、「それじゃサトルと食料関係を買い出しに行ってくるので戻ったらすぐ旅立てる様に準備しておいてね」
「はい、わかりました」
サトルは屋台の串焼屋でオークの串焼き50本とモツ煮込みを鍋ごと購入し、後は卵と野菜、果実ジュースに肉類を購入して、スザンヌは女性製品を頼まれた物と自分のものをストレージに入れて、家に戻って来た。
サトルは『具現の水晶』と『具現の石』でそれぞれ馬車と馬を作り出した。
馬車には空間魔法でベッドが4台、トイレとお風呂付でキッチンもついた高級ホテル並みにできている。
マーガレットとルビーゼが驚いているがスルーして馬車に乗り込み留守宅を【結界】で囲って誰も入れなくして冒険者ギルドに向かった。
ケーシーにサトルとスザンヌ、マーガレットとルビーゼのカードを出してパーティーを組む旨説明して『改革の息吹』で登録してSランクのパーティーが誕生した。
キタミの門を出るとき、衛兵達はスザンヌがサトルと侍女2名を連れている事に驚いていたが説明せずにさっさと門を出てメッシーナ王国の隣国で未だサトルが行ってないマレーナ教国に向かって馬車を走らせて行く。
マレーナ教国はこの世界で一番広まっているマレーナ教と云う宗教の神を崇める教皇がおり、王様についで権力を握っている国だそうだ。
キタミの街を真南に向かう街道を3日程掛けて行くと国境の町があり、そこからさらに3日で王都マッセルに着くと云う。
途中途中の街のギルドに寄ってダンジョンがあれば潜り、面白いクエストが有れば受けながら旅をしようとスザンヌと決めていたので、最初はキタミから30キロ南に南下したところの街ミナミ迄行く。
途中魔物も野盗も出ないでお昼にミナミについた。
ミナミで宿を取り、近くの定食屋に4人で入った。
「いらっしゃいませー!昼定食でいいですか?」
「はい、4つお願いします」
定食はファングボアの生姜焼きだ!スープはケルピーのスープで美味しい。
食べ終えて冒険者ギルドに行く。
スザンヌとマーガレットが掲示板を見てワイバーン2匹の討伐依頼を剥がして持って来た。
「これってやさしすぎない?」とサトル。
「いや、マーガレット達には丁度良いと思うよ」とスザンヌ。
マーガレットとルビーゼは剣こそかなり使えるが魔法は未だ未だらしい。
サトルが受付嬢に『改革の息吹』で受けますとカードを出すとサトルのランクを見て驚き、最敬礼して対応してくれた。
「ワイバーンがいる場所は西門を出て3キロ辺りの平原におります」
「分かりました、ありがとう」
サトルは【Mapping】と【転移】を併用して4人で一瞬にしてワイバーンがいる野原に転移した。
ルビーゼが「サトル様は【転移】魔法も出来るのですか?」
「基本、できない魔法は無いと思うよ」と事も無げにサトルが言った。
「ルビーゼ、サトルをこの世界の尺度で考えては駄目よ、私も自分より強い男性がいるなんて思わなかったから」とスザンヌ。
ワイバーンは50メートル先に2匹いた。
サトルが『殲滅の弓』で2匹のワイバーンの翼を射って、飛べなくし、更に【アイスロック】で動きを止め、スザンヌが1匹の首を切り落とし、マーガレットとルビーゼが二人でもう1匹のワイバーンを仕留めた。
サトルの【次元ストレージ】に回収して再び【転移】でギルドの素材置き場にワイバーンを出して納品書を受け取った。
マーガレットが受付嬢に納品書を出して精算金金貨80枚を受け取った。
「マーガレット、貴女が今回の旅のお金の管理をしてね」とスザンヌに言われ、10枚だけ財布に入れ、残りはストレージにしまった。
宿に戻った4人はサトル達の部屋に集まり、サトルが『豊食の皿』から出したショートケーキとアメリカンコーヒーでのんびりして過ごす。
「マーガレットとルビーゼは魔法は使えないの?」とサトルが聞くとマーガレットが悲しそうに「二人とも魔力が余り無いのです」
「どれ俺が見てやるよ」
「サトル私も以前見て見たが二人の魔力は差程無いと思うわ」
「それなら彼女達の体内で何かが邪魔しているのじゃないかな、俺にはそこそこ有るよう気がするんだ」
サトルは【鑑定】をすると確かに魔力量はそんなに有るとは言えない、がしかし、その魔力量が( )で囲われている。
サトルは二人の手を繋いで自分の魔力を強制的に流し混んで見る。
何かにぶつかり跳ね返される感じがした。
「二人とも手に魔力を流す感じで意識的に発動して見て」
サトルは【察知】で流れが狭まった所を見つけ、その場所に手を当て強烈な"気"を発した。
「「ええ」」二人が同時に声を出した。
「もう一度スザンヌ鑑定して見て」
「二人ともMPが3000も有るわ!」
「私達魔力量がこんなにあったのですか?」
「鑑定では出ないため分からなかったのだけど流れを邪魔するコブを破壊したからスムーズに流れ出したのだと思うな、一応内出血してるかも知れないからヒールを掛けとくな!」そう言ってサトルは二人にヒールを掛けてやった。
「サトルありがとう!私が気がついてあげれば良かったのだが、流石に流れまでは認識出来なかった」
「鑑定では分からないよ!感のようなものだもの」
「でも、これでマーガレットとルビーゼの攻撃手段が格段に上がるな!今後は二人の魔法訓練も含めて二人に見合ったクエストをやって行こう」
「サトル様私は魔法特性は何でしょうか?」とルビーゼ。
「マーガレットは火と風でいい組み合わせの二つだな」
「ルビーゼは水と土で二人とも無属性も有るから凄いぞ」
「全て持っているサトル様から言われても・・・」とルビーゼ。
「ルビーゼ、サトルみたいな規格外と比較するな!サトルと比べたら私さえ霞むからね」
「そうですね、スザンヌ様に近ずけない私達は先ずは自分達の出来る最大値を上げる努力をします」
「三人に対魔法策として『リフレクションリング』をあげるよ。常に指に嵌めてれば巨大魔法を放たれても相手にその攻撃が跳ね返って行くから」
二人とも大喜びで部屋に戻り、部屋の中でできる範囲でそれぞれが魔法を練習するのだった。
スザンヌは相変わらずサトルに”行かせスキル”の耐性だと言って、腕から順番にいつものルーティーンを繰り返させてサトルを悩ましている。
「サトル、制御を全開でも全く気絶しないで大丈夫になっているわ!他に人に最大制御状態で触れられたらやはり相手は気絶してしまうの?」
「今はそれでも気絶どころか死ぬかもしれないほど強くなっているんで心配なんだよ」
「制御リングを作り直したら?」
「何度か作り直しても追いつかない。今これが一番強いのでこれ以上は自分で魔力、気の力を調整してスキルも同様に調整するけど、全く影響ないようには流石にできないみたいだよ」
「問題はマーガレットやルビーゼが問題ね、彼女達に触っても死なない程度には耐性を持ってもらおうかしら?」
「そういえばプロバラ王国の王妃がサトルをえらく気に入っていたけど、呼び出されて”触ってくれと”と言われたら以前は大丈夫でも今はまずいから”死ぬほどスキルが強くなってしまって危険ですのでダメです”と断って!」
「そのつもりでいるけどね・・・」
「何だか自信なさそうね?」
「俺、基本的に女性に甘いから」
「甘い辛いの問題ではなく友好国の王妃様がサトルに触って死んだら国際問題よ!」
「呼び出しの連絡が来たらスザンヌも一緒に行ってくれよ」
「そうね、今度から私が行って、説得するわ」
「そろそろ下に降りて夕食にしましょ」
サトルは何故かスザンヌが今までの口調と違って女性らしくなったのに???が付いていたが、スルーしてマーガレット達を連れて食堂に降りて行った。
食堂では冒険者達が既にエールなどを飲んでご機嫌になっている組がかなり多く見られた。
スザンヌやマーガレット、ルビーゼ3人もエールを頼み、サトルは果実ジュースにした。
酔った冒険者がそれを見て、近づいて来て「おい、坊主ここは冒険者がエールを飲んで気分を良くしている場所だ、ジュースなんか飲む坊やはこの椅子にさえ座る権利はない。側で立ってご主人の荷物を持っていればいいのだ」
「これはこれはご丁寧にありがとうね、だが俺は残念ながら荷物持ちじゃなくオタクの様に弱い冒険者でもないので座る権利はあると思うぞ」
「ぎゃははは、お前が私を弱い冒険者だと?Cランクの冒険者の私に向かって何を云うか!」
「やめなさい!彼は私の旦那様だ。君の様に弱い冒険者では1000人かかっても私の旦那様には勝てないから静かに仲間のところで飲んで楽しみなさい。それとも私スザンヌが貴女の相手をしようか?
「なんだ?お前は・・・、スザンヌ?キタミのSランクのスザンヌ様?」
スザンヌは冒険者カードを出して彼女を黙らせた。
相手はスザンヌのカードを見てすごすごと頭を下げて席に戻って行く。
その様子を周りの冒険者がヒソヒソと話しながらエールを飲んでサトルを見ていた。
何人かはキタミの冒険者の男性がこの世界最強のSSランクになったニュースを知っていたがまだまだ冒険者ギルドの組織内での通達でそれほど広く知れ渡っていないのでサトルはいまだにスザンヌの荷物持ちにしか見られていないようだ。
そうこうしていたら定食が出て来た。
珍しく”イエローテイル”の塩焼きにご飯とスープで、サトルは久しぶりに前世の鯖の塩焼きを思い出しながら頂いた。
夕食を終えて、部屋に上がろうとしたら「サトル様、スザンヌ様、できましたらお二人に私たちの魔法の訓練を見てもらいたいのですが・・・」とルビーゼが言うので宿の裏庭に4人で向かった。
「マーガレットは火の魔法と風と無属性だってね、それじゃ最初に【ファイアボール】を向こうの野原に向けて放って見て」
一方スザンヌはルビーゼに【ウォーターボール】を出す様に指示した。
二人とも具現化はできるのだが未だ未だ出てすぐ消えてしまう。
「二人とも手に魔力を集める感じで、遠くに一気に吐き出すイメージでやって見て」
サトルも、スザンヌも見本を見せてあげる。
それから30分ほどして最初に見本を見せた同程度の【ファイアボール】と【ウォーターボール】を出せる様になった。
「それじゃ次は【ファイアスプラッシュ】と【ウォータースプラッシュ】をやってみよう」
スザンヌとサトルが最初にそれぞれ見本を見せる。
ルビーゼもマーガレットもコツがわかったのか初回からかなりの威力のスプラッシュを出せた。
「次は【ファイアボム】と【ウォーターボム】」とサトル。
最初にスザンヌとサトルが見本を見せて彼女達がそれと同じものを打ちだせるまでやり、2時間ほどしてマーガレットは火炎系魔法の中級迄こなせる様になり、ルビーゼも水系魔法の中級迄放つことができる様になった。
「きょうはこのくらいにして明日はマーガレットは風系、ルビーゼは土系魔法の中級迄放つ様にしよう」と言って宿の部屋に戻った。
ベッドにダイブして深夜までスザンヌのお相手をして、翌朝いつもの朝練を『誅戮剣』で素振り5000回をこなして部屋に戻り瞑想してルーティーンを終えた。
今日は宿を出てミナミの更に南下した街ミルバの街に向かう。
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