第25話 湖畔へピクニック

アグネス嬢とクリスティーナ王女のプロバラ王国の遊学もきょうと明日の午前中となった。


きょうは朝から王宮でこの国の慣わしを学び、夕方からはお別れの晩餐会が開かれる予定だ。


プロバラ王国王女アルメイダを襲った裏ギルドはサトルの手に拠って壊滅され、それを依頼した王妃に敵対していた貴族が粛清され、きょう1日はのんびりスザンヌと過ごせる予定だ!


「スザンヌ、きょうは王都郊外の湖が有る所にのんびり遊びに行って見ないか?」


サトルは事前に『地図帳』と云うマジックアイテムで王都近郊の景色の良い場所を検索していたのだ!


「それはいいな!それで王都の近郊に湖なんて有るのか?」


「スザンヌは何回も来てるくせに全く知らないんだな!」


「ちゃんと俺が事前に調べて置いたから安心してよ、馬車で1時間程で着くらしいよ」


サトルはそう言って、朝食を食べに二人で階下の食堂に向かった。


朝食を食べ終わって、二人は宿の裏に行き『具現の石』と『具現の水晶』で馬と馬車を出して王都の門を出た。


ジンは『地図帳』に示された湖に向かってのんびりと馬車を走らせて行く。


天気も良く、ピクニックには最適な日和だ。


「風が凄く気持ち良いわね!」

珍しくスザンヌがサトルに対して砕けた口調で話すので一瞬サトルがスザンヌを見る!


「ななんなの?私、なんかおかしい?」


「いや、プロバラ王国に来た頃からいつもの口調と違うから・・・」


「いつもの口調だと"風がすごく気持ちいいな"って言ってるじゃない?」


「サトルと二人きりなんだからいいじゃない」


「何だか調子狂っちゃうな!」


「いつもは事務的な口調だけどサトルは私を女性として見てないのかしら?」


「いやいやとっても素敵な女性として認識してますよ」


「ねえ、スザンヌ、エルフの寿命ってどのくらいなの?」


「何でそんな事聞くの?」


「だっていつか俺はスザンヌを追い越しておじいさんになってしまうだろ?それって何となく嫌だな」


「スザンヌは俺のスキルに惚れているのであって、俺自身を好きな訳じゃないんだろ?」


「サトルは馬鹿なの?好きな相手じゃ無ければ身体なぞ晒さないわ」


「サトルを見ていると今の歳より10歳位上に思えるわよ」


「確かに俺はスザンヌが言うように前いた世界では二十歳を超えた青年だったけど何故若く転生したのか俺自身わからない。でもスザンヌを知って、ずっと君と一緒に生きていきたいと思って・・・」


いきなりスザンヌがサトルに抱きついて来た!


「サトル、私は貴方がおじいさんになってスキルが無くなっても愛しているわ!私が貴方を見とってあげる」


「そうか!ありがとう」


馬車はやがて湖が見える所まで進んで来た。

ちらほらと家も見え始め、ある程度の集落がみえてきた。


馬車はその集落を抜けて、湖のほとりの少し開けた場所にジンは馬車を止めた。


せっかくの景色なので、馬車の中ではなく、外の野原にシートを敷いて紅茶とケーキを出して二人で食べる。


ゆったりした時間が二人の間に流れていた。

湖面からの風が優しく二人を包み込む。


「明日はキタミに向かって帰宅の途だね!」とサトル。


「このまま二人でこうしていたいわ」


サトルはスザンヌを抱き寄せキスをする。

勿論スキルの事など考えずに抱き寄せた。


スザンヌも全く普通にサトルと唇を重ね、サトルに身を委ねる。


しばらくして、二人は手を繋ぎ湖畔を散歩してランチにした。


温かいボルシチにピロシキ、サラダのコールスローをたべる。


「美味しいわぁー、サトルが作ってくれる料理は本当に美味しい!」


「サトル、やっぱ私と一緒に住まない?私、ギルドマスターを辞めて冒険者になるわ!直ぐには後釜決まらないかもしれないけど、キタミに戻ったら直ぐに手続きに入るから・・・」


「俺なんかで良いの?」


「貴方しかいないわ」


「この世界の結婚の手続きってどうするの?」


「キタミの役所に書類を出すだけよ」


「役所なんて有るんだ!」


「当り前じゃない、子供が生まれたり、死んだりの手続きもそこでやってるわ」


「俺は宿と冒険者ギルドと図書館位しか未だそういえば行ってないよ」


「役所は冒険者ギルドから見て図書館の裏手に有るわ、ちょうど商業ギルドの横側になるかしら」


「俺は荷物は全て【次元ストレージ】に入っていて何も無いけど、スザンヌ何か俺が行く事になって必要な物は有る?」


「大丈夫よ、貴方の身ひとつで来れば全ては整っているわ」


「家に容量無限の【次元ストレージ】を作るよ、それとこうなったから言うけど、王妃が俺のスキルを説明したら、どうしても触れと言われ制御を最大にして触ってあげたら、あの王妃が気絶して・・・」


「何となくそうだと思ったわ!それで時々【転移】で来て行かせてくれと言うのでしょ?」


「そっ、そうなんだよ」


「それは構わないわ!この国の王妃は我が国の王妃と共にどうしてもこの世界には必要な人の一人だもの」


「この世界のバランスを保っているのは彼女達がいるからなの」


「どういう事なんだ?」


「そのうちサトルにも分かるわ」


「でもサトルのスキルに耐性が有るのはきっと私だけよ!だからずっと私は貴方のそばにいる」


「俺もスザンヌから離れないぞ!」


「うふふふふふ、そうしてね」


「さぁ、腹ごしらえも済んだし、湖畔を馬車で回って帰ろうか」


「そうしましょ、きょうはサトルありがとう」


「何だよ!改まって、こちらこそ一緒に付き合って貰ってありがとうだぞ!」


二人はそこでどちらからとも無く笑いあった。


王都に何事も無く無事戻って来て、今夕開かれる晩餐会に出る準備をする二人。


礼服に着替えて馬車で王宮に向かった。


リリー公爵の娘アグネスとクリスティーナ王女の所に寄り、4人でプロバラ王国王妃カルディナ女王に挨拶に向かった!


王妃にスザンヌが「王妃様、この度私とサトルは婚約致しました。この国に何か有る時は夫婦で馳せ参じますので御安心下さい」と爆弾挨拶をした。


これにはアグネスやクリスティーナも驚いていたが、一番驚いたのはサトルだった!


「スザンヌ、いい男を見つけたのう。我が国にも二人が後ろに控えてくれるなら鬼に金棒じゃ、今後ともよろしゅう頼むぞ!」と王妃もぬけぬけと応えていた。


アグネスやクリスティーナ、アルメイダ王女からも祝福されサトルもタジタジだった。


晩餐会が始まり、スザンヌがプロバラ王国のギルドマスター達と談笑している時に、王妃がサトルに近づいて来て、彼女の部屋にサトルは連れ込まれてしまった。


「サトル、妾に触れてたもう!妾はあの快感が忘れられないのじゃ、胸をそして妾の大事な所を触れてくれ、頼む」


サトルは仕方なく制御を最大にして胸を直接触ってあげると、声を張り上げ気絶する王妃。


直ぐサトルが意識を戻してあげると今度はサトルの前に全てをさらけ出し求めて来た。


サトルも男の子、サトル君がそそり立ち王妃の中に侵入してしまう。


その段階で彼女は既に行ってしまっていた。


"不味いよな、他国の王妃と肉体関係を持ってしまって・・・」と思い、直ぐに彼女の意識を戻してあげる。


王妃はもうサトルに首ったけになってしまっている。

スザンヌに婚約を聞かされているのが更に拍車を掛け、恥も外聞も無く乱れ、

「今いちど、今いちど、来てたもう、お願い!」


サトルは再び侵入する。

しかも分身君を彼女の中に放出してしまった


彼女は王妃という事も忘れ、サトルを求め果てた!


サトルは死にやしないかと焦ったが呼吸はしていたので安心した。


意識を回復させると、王妃が「スザンヌと結婚しても、妾との約束は有効じゃぞ、そなたを妾は失いたくない。初めてじゃ、行く事がこれ程素晴らしき事とは・・・」


「王妃様、皆が不審がるので私が先に戻ります」と言って会場に戻って行った。


王妃カルディナはこの世界の男性はあまねく男女の営みには弱く全くと言って使い物にならないのにサトルはどうだ?まだまだ元気で彼女が求めれば未だ何度でも可能なほど元気なのだ。


夫の王とは比較にもならない。何故彼だけ特別なのだろうと考えに耽っていた。


ノックがして「お母様、大丈夫ですか?」とアルメイダ王女の声が聞こえた。


慌てて身繕いをしてドアを開け「少し貧血を起こしたようだけどもう大丈夫よ」とアルメイダと共に会場に向かった。


戻るとスザンヌとサトルの姿は居なかった!


サトル達はアグネス達に「明日の出発の準備が有るので」と言って宿に戻っていた。


サトルは改めてスザンヌと宿の夕食を食べ、お風呂に入って着替えた。


プロバラ王国王都の最後の夜を二人は夜遅くまで堪能して過ごした。

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