第5話 指名の護衛依頼

定食屋の娘エルザがサトルの宿の部屋に来て、サトルに抱きついてきたためにサトルの特殊スキルが発動してエクスタシーに達して気絶していて、女性を前にしてもも何も出来ないサトルは結局悶々として夜をひとりで過ごして目を覚ました。


翌朝、悶々とした欲求不満を解消するように、バスターソードの『誅戮剣(チユウリクケン)』をひたすら無我夢中で振り続けた。


朝食を食べ皆でギルドに行く。ケーシーが「サトルちゃん、ギルドマスターがお呼びよ」と言われ2階に上がりノックして「スザンヌさんサトルです」と言うと、昨日より優しい声で「入ってくれ」と声が聞こえてきた。


「サトル君、貴方はきょうからBランクにランクアップさせる。本当はSランクでもいいがこればかりは私の判断だけでは出来ない、我慢してくれ」


「とんでもない、Bランクだって早すぎると思うのですが・・・」


「いや、私を秒殺したぐらいだから充分だ」


「ただ私の個人的なお願いをひとつ聞いて欲しい!ギルドに毎朝来る度に、私の部屋に来て私に触れてくれ、私は君のそのスキルに耐える力を身に付けたい」


「どれだけ我慢できるかわからんが必ず打ち勝って見せる」


「楽しみですよ!貴女が僕のスキルに勝ったら、僕は貴女に惚れてしまうかもしれないですよ」


「ケーシーには伝えてあるからカードを差し替えて貰ってくれ、それで、約束だが、まずは手を触ってくれないか?」


「分かりました、いきなり胸では刺激が強すぎますものね」


サトルは差し出されたスザンヌの手にそっと自分の手を添えた。


スザンヌはピクッと身体が強ばるも、必死に何かに耐えているようだ。


"へぇー、頑張って耐えられるんだ"と思って、少し強めに握った途端、「あぁー、ダメ〜また負けたわ!ううん気持ち良すぎ」と言って机に顔を伏せた。


サトルは階下に降りて、ケーシーから新しいシルバーカードのBランクカードを受けとった。


「サトルちゃん、貴方に最初の指名依頼よ!ギルマスのスザンヌさんから王都迄とキタミの往復の貴族様の護衛依頼。出発はきょうの10時よ、馬車はギルドから出るし、宿代もリーダーの人に一任して渡してあるわ、ですからきょうはこのまま、待機していて、護衛のパーティーが来たら紹介するわ」


「何だか急な話ですね!何にも用意して無いけど!」


「でも、スザンヌさんが、あの子なら大丈夫って言ってたわ」


「まぁ、問題は無いけどね」


「あっ、護衛する他のメンバーよ、紹介するわ」


「キャシーさん、一緒に護衛任務に着く、サトルちゃんBランクのホープさんよ」


「何だぁ?男か、参ったなぁ!ええ、でもBランク?この世界に男がBランクかよ、まさか荷物持ちにランクがあるとは知らなかったな。ワハハハハ」と笑った。


「キャシーさん、サトルちゃんはCクラスの冒険者4人を瞬殺した人よ、荷物持ちでは無いわ、貴女も瞬殺されない様にね!」とケーシーさんが言ってくれた。


「冒険者のサトルです、宜しく」


「おお、私は今回護衛任務のリーダーのキャシー、君と同じBランクだが荷物持ちのBランクでは無く冒険者ランクのBランクだがな」と笑った。


「あとのメンバーは?あっ来たきた、コチラは魔法師のアガサ、そしてこちらが剣師のローラン、回復魔法師のミネラーだ」


「なんで護衛に荷物持ちが居るの?」


流石にサトルはムッとして、「俺は魔法剣士のサトルだ、荷物位なら自分で持ちな!」と頭来て言った。


リーダーが「まぁ、まぁ仲間同士揉めない!そろそろ貴族様も来るだろうから、馬車に乗って準備しろよ」


「俺は御者台でいい、中に3人もいるんじゃ狭いしな」とサトルは御者台に座った。


キャシーが手網を握る。


当然サトルは【ボディー・シールド】をして、自分を守るというより、周囲の女性を守るために自分自身に【シールド】を施した。


貴族様が乗った馬車が騎士団5人とやって来た。


貴族様はキタミの領主のリリー・フォンクネラ公爵だと云う。次女と末娘を連れての王都迄往復だそうだ。


騎士団も、護衛に男性が居るのに少し驚いていたが恐らく荷物持ちだと勘違いしているのだろう。


全くこの異世界はどうなって居るのか・・・!


キタミを出て直ぐにオークの群れ、といっても10匹だが襲って来るが、サトルが【インビジブルバンド】解放で瞬殺して回収した。


剣士のローランが準備しようとする前に既に倒れて、サトルの見えない手で回収されていた。


キャシーが「今のはサトルがやったのか?」


「そうだがまずかったか?」


「いや、不味くはない、余りに手際が良いので、荷物持ちでは無いと解ったよ」


「キャシーさん、俺はあまり絡まれるの好きじゃないから先に言うけど、貴女方4人が俺に一度にかかって来ても一瞬で勝つよ、今度の休憩地で何なら模擬戦しましょ?そしたら俺に絡んで来なくなるだろうから」


「お前、本気で言って居るのか?私がBランク、アガサがBランク、ローランとシネラーがCランクだぞ?」


「それでもだ、あっという間に勝つよ」


「良し、次の休憩地でやろうじゃないか、後腐れない方が私としても良いからな!」


そんな会話をしていたら平原の辺りで休憩に入った。


キャシーの声かけで4対1の模擬戦をする事になり、騎士団達も興味を持って眺めている。


サトルは『インビジブルハンド』のスキルをほんの少しだけ解放して臨んだ。


キャシーが合図を出し動きだそうとした瞬間、4人が意識を失い倒れた。


サトルは『喝』を入れて、気が付かせて何も無かったかのように、御者台に戻った。


騎士団達にもサトルの動きは見えなかった。それ程早く動き彼女達の首に手刀を叩きこんでいた。


流石のキャシーも真っ青な顔で「お前、男だよな?冒険者にいつ頃登録した?」


「三日前になったばっかりだよ」


それを聞いたキャシーはそれ以降、黙りこくって何か考えに耽っていた。


後の3人はなすすべもなく負けて何が起こったのかも解らなかった!


そして最初に泊まる街ハルテリア迄は何事も無く着いた。


夕食は5時からとキャシーが言い、それ迄は自由行動になった。


サトルは街で温かい食べ物と思い、ケルピーの照り焼きバーガー10個と果実ジュースを買い込み、更に野菜サンドとオークの串焼き20本を買って次元ストレージに入れた。


宿に戻ってシャワーを浴び、着替えて食堂に降りた。


キャシー達4人はエールを飲んでいるがサトルは少し離れた席で食事を頼んだ。


「サトル、こっちに来て飲まないか?」とキャシーが声を掛けてくれたが、酒は飲まないサトルは「ありがとう、でも酒は飲まないから申し訳ない」とやんわり断った。


「何だ、サトル、未だ私達が荷物持ちと間違えたのを怒って居るのか?」


「そんなんじゃなく、シラフの俺が入って場が白けても悪いから、それに俺は特異体質で身体に他の人が当たると電気が走ってしまうんだ」


「珍しい体質だな!女性に抱かれないぞ!(笑)」とキャシーが笑いながら言う。


「マジで抱かれたいが、誰も俺のことを抱けない。抱く前に気絶するからな」


「なので、キャシーさん達のためにもそちらに近寄れないのさ」


寂しそうにサトルは言い放って自分の部屋に上がって行った。


翌朝、裏庭でバスターソードの『誅戮剣(チュウリクケン)』の素振りを5000回して部屋に戻り坐禅をして瞑想に入る。


魔素(マナ)を意識して体内を循環させ瞑想を解いた。


階下に降りて行き、キャシー達がいるすぐ近くで一緒に食事をとり、馬車の御者台に乗って女性陣達を待った。


4人が降りてきて、貴族の馬車にも乗り終えたらしく静かに馬車が動き出した。


ハルテリアを出て次の宿泊地はウォスローという街らしい。


途中の平原で休憩をとり、サトルはキャシーにオークの串焼きと果実ジュースをあげた。


「サトル【次元ストレージ】もちか?オークの串焼きが未だ熱いぞ」


「ああ、気がついたら持っていた」


「まさか貴族のボンボンではないよな?」


「俺が貴族に見えるか?」


「あははは、そうだな、全く見えないから安心しろ」


「ところでキャシーさん、この国の冒険者でSランクの冒険者はキタミのギルマスのスザンヌさんとあと二人はどういう人だ?」


「あとの二人は王都の騎士団長のディアナと王都のギルドマスターのエミリアさんだ」


「キャシーから見てその中で誰が一番だ?」


「勿論キタミのスザンヌさんが一歩も二歩も先んじているぞ、あとの二人はスザンヌさんの愛弟子だからな」


「そうなのか?」


「この国以外ではSSランクは居ないのか?」


「そんな奴は居ないさ、なんだ?サトルSSクラスになろうと思っているのか?」


「いや、冒険者のランクなど興味はないが、とてつもなく強い相手と対戦して見たいと思ってね・・・」


「俺は多分自分がこの世界で一番強いが一番弱い男でもある気がするよ」


「いっている意味がわからん奴だな!」


「だって、抱きたくても女も抱けないのだぞ!抱こうとすると気絶されてどうやって女を愛せるんだ・・・、悲しくなるぜ全く」


「私が実験に、お前に触れてやろうか?気絶しないかもしれないぞ」


「馬車の手綱を握っている間はだめだ、間違いなく気絶する」


「オークの串焼きのお礼として、私が実験台になってやるよ、昼飯の時にお前にほんのちょっと触って見て気絶しなければいいのだろう?」


11時半頃、ウォスロー迄あと30キロほどだがその前の小さな村で昼食休憩となった。


御者台から降りたらキャシーが直ぐにサトルの肩を触った途端、「えええ!いいわ〜、あーだめ、イクゥー」と言って気絶した。


馬車から降りた女性陣がリーダーが倒れているのでサトルを問い詰めるがとりあえずキャシーの意識を戻してあげる。


キャシーはデレッとして、サトルを見つめ「気絶したじゃないか!」


「し、し、しかし、あれは気絶とはちょっと違うだろうアレなら何度でもサトルに触りたくなるぞ」


「勘弁してくれ」


「私は初めて経験したのだぞ、いくっていうことがどういうことかお前に教えてもらった!」


「キャシー、他言無用だ!皆にも黙っていてくれ」


「取り敢えず、みんなと一緒に昼飯を食べよう」と言って、皆が入った店に二人で入った。


「リーダー、大丈夫か?」


「あぁ、全く問題ない。ちょっと貧血起こしただけだ」


「サトルは魔法属性は何だ?」と魔法師のアガサが気になったのか聞いてきた。


「俺か?全部だ!」


「全部だって?ひとつも無くて私らが瞬殺されたのか?」


「全部無いのじゃ無くて、その逆だよ」


「なにぃー、全部持っているって?」


「あぁ、7属性全部出来るぞ!」


「お前なぁ、嘘も大概にしろ!王立の魔法師軍団でも2属性か最高魔法師が3属性何だぞ?まして男は魔力は少なくて魔法を発動できないのが普通だぞ!


「そうなのか?じゃ、王立魔法師団よりは俺の方が出来るな!」


「幾ら剣で私らに勝ったからって、魔法を放つ事が出来たら私が勝ったわよ!」


「魔法師は魔法を瞬時に出せなければ剣士に負けるだろ?だが俺は魔法だけでも剣士には負けないぞ!」


「それって、無詠唱で魔法を放てるって事か?しかも幾つもか?」


「何なら飯食ったら、魔法だけの模擬戦もしてみるか?更に惨めになるだけだぞ!」


「よーし、魔法師の私が男に負ける訳が無い、リーダー、良いかい?」とアガサが聞いてくる。


「良いけど、お前多分サトルには勝てないぞ!」


魔法師のアガサはムキになり、食事が終わると、村のハズレの広場でサトルと魔法の模擬戦もするのだった。


サトルはアガサが火属性である事も分かっていたので、彼女が詠唱を終えて巨大なファイアボールを出すまで、待ってあげて、一瞬でウォータースプラッシュで消し飛ばした。


直ぐに彼女の特性の火魔法のファイアボールを彼女が作ったやつの倍の大きさを5個作って彼女の目の前に表して消し、土魔法で囲って、風魔法で彼女を10メートル吹き上げて、ゆっくり降ろしてあげた。


彼女はただ震えているばかりだ。


「アガサ、取り敢えず4属性を見せたけどあとは聖魔法と無属性魔法と闇魔法をやってやろうか?」


「いいえ、もうたくさんよ。貴方が人外の化け物だとよーくわかったわ!疑ってごめんなさい」


「アガサ、サトルを普通の男だと思っては駄目よ!規格外も規格外、常識が通じない相手だわ」とキャシーが言って、皆が馬車に戻った。


その様子を貴族の馬車からじっと見ていた女性達がいた。


サトル達はその後何事も無くウォスローに着いた。


サトルは欲求不満を解消すべく宿の裏庭でひたすらバスターソードの大剣、『誅戮剣(チュウリクケン)』で素振りをした。


びっしょり汗をかいてシャワーを浴び、少しスッキリして着替えて食堂に降りて行った。


夕食を頼んだところに4人のパーティーも降りてきてサトルの傍に着いた。

皆はエールを頼み飲もうとするので、サトルが止めて、皆のエールを魔法で冷やしてあげる。


「エールってこんなに美味かったか?」とキャシーが叫ぶ。


他のメンバーもこれは今までのエールじゃないな!と喜ぶ。


「アガサ、貴女も魔法師なら今後サトルみたく私達のを冷やしてくれよ」と剣士のローランが言うが、「私は無属性魔法は使えないから無理よ」と悲しそうに言った。


「サトルは全てにおいて規格外だな」とキャシーがあらためて感心して言った。


キャシー達も食事を始めて食べ終わり、彼女達は街に出て飲み直すそうだ。


サトルも誘われたが、早目に寝るよと言ってひとり、2階の自分の部屋に行ってベットに横になった。






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次回投稿は30日2話分を投稿する予定です

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