第5話

 踏切の遮断機がゆっくりと上がってきた。


 クラスメイトの一人はあまり話し掛けたことのない女子だった。

 女子は手鏡を持って、こちらへ向けて、光の照射をし続けていた。

 手鏡からの光で、影は各方向へと向きを変えられ行動を阻止されている。


 ええい! 小娘! 邪魔をするなあああ!!


 影の野太い声の叫びが周囲に木霊した。

 不思議と通行人たちには、影の声は聞こえないようだった。

 俺は遮断機を越え。

 そちらへ突っ切る。


「ねえ、凄く危ないところだったわね」

「珍しくないのか?」

「私だって、こんなことは初めてよ、私は小田 順子。影法師とは幼い頃からの長い縁でね。いつも私を守ってくれるの。あなたは逆に困ってそうだし。ほんとこれかれも危険そうだから……。ねえ、一緒に影斬りの刃を探しましょうよ。私の家の蔵には影斬りの刃の破片があるのよ」

「?!」


 小田が青い顔で俺の後ろに指を向ける。


「あ、ねえ。あんたの影……?」

「?!」

「どこにもないわよ……」


 振り向くと、俺の影がきれいさっぱりいなくなっていた。



                               つづく

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シャドー・エスケープ 主道 学 @etoo

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