第11話 『勇者選抜試験』開始!!

 俺は彼らの背中を追いかけるように、『グランドフォレスト』の入り口へ向かい、そのまま中へと突入する。


 そこには、想像以上の景色が広がっていた。


 生えている木々はどれも2m以上の高さがあり、それが所狭しと聳え立っている。地面も膝まではあるだろう高さの雑草が複雑に生え散らかっており、もはや地面にあるであろう土の茶色が見えないほど生い茂っている。そのせいで歩くたびに、足に草が絡まり走りにくい。


 試験の場所が『グランドフォレスト』だとわかった時に、こう言う環境であることは想定できていた。なぜならここは、南の大陸の中で最も自然が険しい場所であると有名だったからだ。しかし、頭では分かっていても、実際に見てみると圧倒されるものだった。


 俺はなんとか歩き進めるが、普通の舗装された道とは異なり、やはり進む速度が極端に遅くなっている。気になって先行した他の参加者を見ると、驚いたことにこんな劣悪な環境でもどんどんと進んでいるもの達が多かった。


 ある屈強な人は草や木をものともせずに、その持ち前の力だけで道を切り開いていった。またあるローブを被った魔術師らしき人は、炎の魔法を直線上に飛ばすことで草を焼き払い、道を生み出していった。とんだ環境破壊マシーンだ。


 いずれにせよ、彼らの背後にはそんな荒技ができなくとも歩けるだけの道ができており、それを利用するために彼らについていく人たちが多くいるようだった。


 俺もその誘惑に引きつけられはしたものの、なんとかそれを振り切って生い茂る草の中を進むことにした。当たり前だが、先陣を切った人がいる道をなぞったところで、探し物を真っ先に見つけることは不可能だと考えたからだ。

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