第18話 待ちに待った作品の放映 (1978年4月)
1978年4月上旬、いよいよかねてからのビデオデッキ購入してまでの保存したい作品の放映が始まった。
僕の前世では巨匠と呼ばれていた方の初監督作品で物心ついた頃に本放送を観ていた大好きな作品の一つ。
内容は1人の少年と祖父がとある島で暮らしている所に少女が流れ着いて、その少女を探していた悪者に奪われて追いかけていく最中に仲間と出会い最終的には女の子と結ばれる話の冒険活劇だ。
第一話を観た感想はやはり面白い作品は何度観ても面白い。
お兄様方や脳内の三花ちゃんは興奮して観ていた。もちろん僕もだけど。
「三花がビデオに録画したい作品とはこれの事だったんのだろう?」
「はい。そうなります。」
家族が問いかけてきて僕が答える。
「とても面白い作品だね。次週が待ち遠しいよ。」
「だね。面白い作品を紹介してくれて三花ありがとうな。」
「でもなんでこの作品が面白いと思ったんだい?」
「はい。この監督は別作品でも色々1スタッフとして作品を世に出しており、そても素晴らしい方だと思ったからになります。」
「そう言えば以前三花はこの作品の監督にファンレターを送っていた様な記憶があるんだが?」
「はい。確かに送ったかもしれませんね。」
しばらく家族と話をしているとお父様から驚きの提案を聞いた。
「三花が希望するなら制作スタジオに見学出来る様に話をつけてもいいぞ。」
「本当でしょうか?とても嬉しく思います。」
「僕も行きたい!行きたい!」
「でも迷惑になりませんでしょうか?」
「まあ少しくらいなら大丈夫さ。でも制作の邪魔はするなよ?お前たち」
「は~い。わかったよ。」
「ありがとうございます。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2、3週間後いよいよ制作現場に見学にいった。
運良く監督にお忙しい中時間を作ってもらい少し話をする事が出来た。
「初めまして!鏡原三花と申します。この度はお忙しい中お時間をいただきとてもありがとうございます。」
ぺこり。とお辞儀をした。
「よろしく。礼儀正しいお嬢さんだね。」
「ありがとうございます。」
「まあ、立ち話もなんだから一通り案内しようか。」
「はい。よろしくお願いします。」
と言う事で監督直々に制作現場を案内してもらった。
知識では制作現場の事を知っていたけど見ると聞くとではまさに大違いだ。
「どうだい?為になったかい?」
「はい。皆さんが一つ一つに魂を入れて制作しているのがわかりました。」
「ははははは。ありがとう。お嬢さんに褒めてもらってとても嬉しいよ。」
「いえ、どういたしまして。」
「そろそろお時間大丈夫でしょうか?」
「まだ大丈夫だけどどうしたんだい?」
「いえ、そろそろ長居してたらご迷惑ではないだろうかと思いまして・・・。」
「大丈夫。お嬢さんが心配になるのはわかるけど問題無いよ。」
楽しい時間とはあっという間に過ぎるとはよく言った物で、制作現場に訪れてから少し時間が経過していた。
「お父様、そろそろご迷惑になるでしょうから帰りませんか?」
「ん?三花はもういいのかい?貴重な体験だと思うが。」
「まだ見学したいのはやまやまなのだけど、スタッフさんのご迷惑になっていないか心配になりまして。」
「貴重な時間を作ってくれてありがとう。三花も心配してる事だからそろそろ帰るよ。」
お父様が監督に言う。
「この度は貴重な制作時間を見学時間にしていただいてありがとうございました。今後も応援していきたいと思います。」
「どういたしまして。」
僕達は帰宅の途についた。
「今日の見学はどうだったかい?」
「面白かった。」
「ありがとうございます。とても貴重な体験で、有意義な時間を過ごせました。」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。」
そうしてしばらくしてから見学に行った時に制作していた場面が放映され、感慨深い物があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます