第7話 水泳
僕事、45歳の鏡原雄蔵が逆行TS転生して鏡原三花4歳になって3日目の朝を迎えた。
今日は6時に寝ざめたので昨日よりはいくぶんゆっくりとしていた。部屋のカーテンを開けると、気持ちの良いほがらからな青空で晴れ渡り、小鳥のさえずりもよく聞こえていた。
そして僕は日の光を浴び眠気を覚まてから、コップに一杯の水を飲んで睡眠時に蒸発した水分を補給した。
生理現象でお手洗いに向かい、歯磨き等終わってから幼稚園への準備をしている時おもむろに時間に余裕が有るからだろうか、三花ちゃんがクローゼットに向かい一枚の布切れを持って来る様に指示して僕はそれを両手で広げてみた。
≪今日のレッスンは水泳なのよ。帰宅した後これに着替えてね。≫
僕はその布切れを見ると水着であった。スイミングスクールに通っているらしく、教室指定の水着。いわゆるスクール水着、略して『スク水』を見せてきた。色は紺色であり、質素な形状をしていた。としか僕には解からなかった。
≪わかったよ。今日は水泳なんだね。≫
前世、僕はクロール、背泳ぎが出来たぐらいで、平泳ぎがなかなか習得出来なかったのを覚えている。
バタフライは夢の段階だった。
装着脱の仕方を習う。
≪普段はバスタオルを巻いてするのだけど、ワンピースやスカート着用の場合はショーツを最初に脱いで水着を着用して腰まで上げたら上の肌着を脱いで肩紐を掛けるの。そして服を脱げばいいのよ。逆に脱ぐ場合は水着が濡れているから、バスタオルの中でまずは上半身だけ脱いで身体を拭いて肌着を着るの。
そして下半身も脱いでこちらも良く拭きショーツを履いて、服を着ればいいのよ。≫
≪簡単に言うけど難しそうだね。≫
≪まあ、慣れないと難しいでしょうね。すぐに練習してみたら?≫
どこか含みの有る言葉を三花ちゃんが投げかけてくる。
そして僕は着替えの練習をした。頭では解るけど実際してみたら難しかった。そろそろ朝食の時間なので
三花ちゃんのスク水を横に置き、園児服に着替えリビングに向かった。
「お父さん、お母さん、お兄ちゃん。おはようございます。」
「ああ、おはよう。」
「所で三郎ちゃんの様子はどう?」
三郎とは三花ちゃんの弟で1歳だと聞いている。名前の由来は3番目の男の子だからだと言う。
三郎ちゃんも席についており離乳食を食べていた。すこぶる元気の様だ。
そして、三郎と同時期に産まれたペットの犬がいる。始め『ペットの犬』略して『ペッ犬』と名付けられそうになったが、『シロ』と付けられた。名前通り白色の雄犬で、三花ちゃんにより一層懐いているらしい。
三花ちゃん以外の家族も散歩したり遊んだりしているが、どうやらシロのお気に入りは三花ちゃんの様だ。
普段はリビング内一角のケージで育てている。屋外散歩がとても好きで三花ちゃんは主に夕方、幼稚園帰宅からレッスンの始まる間の時間でだいたい45分ぐらいしており、シロはとても喜んでいた。
朝食と食後の歯磨きを済ませ、大好きなTV番組が放映される時間になるまで三郎とシロの様子を見て過ごしていた。今は園児服、しわが出来たり髪型が変にならない為にシロと遊びたい衝動を抑えていた。
番組視聴が終わり、通園バスを待つ時間になりもう一度お手洗いを済ませた。
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「おはようございます。」
幼稚園の教室に着くと、早速スモックに着替えクラスメイトの輪に加わった。
「おはよう。三花ちゃん。」
「三花、おはよう。僕も出来る様になったよ。」
「僕も。僕も」
クラスの子達が私に気付いて挨拶をし返してくる。数人の男の子から出来る様になったと聞かされた時は『何を?』と一瞬思ったが、昨日の紙鉄砲の事だと理解した。なぜなら、朝から心地よい音が聴こえていたのを思い出す。
「三花ちゃん、また鳴らしてみて。」
と僕に紙鉄砲を渡してくる。おもむろに鳴らすと、
「やっぱり三花ちゃんはうまいね。僕もうまくなりたいよ。」
「練習あるのみね。」
そうこうしている内に先生が来て、
「今日は水遊びをします。水着に着替えて下さい。」
と言い、皆嬉々として着替えていた。一方僕はと言うと心配していた。
『水着持ってきていたかな・・・。』
「三花ちゃん、どうしたんだい?」
「いえ、水着持ってきたか心配になりまして・・・。」
「荷物ちゃんと確認してごらん?」
言われてそう言えば、通園バスを待っている時にビニールバックを渡されたんだったっけ。
中身を確認すると、ワンピースの水着と帽子、バスタオル、髪留めのゴムが入っていた。
手早く朝に三花ちゃんに教わった通りに着替える。僕が着替えている間にもクラスメイト達は終わっていく。三花ちゃんの誘導もあって無事着用し終わり、ふと周りを見ると注目されていた様でみんなの視線を感じる。
「三花ちゃん、今日も可愛いね。」
「ありがとうございます。」
水着の色は紺色で形状は朝に見せてもらったスク水と似ていて、身体に密着していた。
お腹と胸、背中も生地が有り練習で着たけど、前世男だった自分にはなんとなくだが包まれている様な錯覚を持ち、どちらかと言うとお腹や腰辺りが締め付けられている感じがした。
「皆、着替え終わった様だね?」
「「「は~い!」」」
「ではバスタオル、スイミングキャップ等持ってきて先生についてきて下さい。」
僕含めクラス皆で移動して、ビニールプールへ向かった。
準備運動して園児達の体調確認を行われ、順番にプールの中にはいった。
まずは足から濡らし、手、腕、徐々にかがんで最後に胸まで浸かった。すなわち、心臓から遠い部分から濡らしていくという事だ。
水温も程よい感じで、中にはプカプカとあおむけになり水面に浮かんでいる子もいた。
自分もしたい欲求に駆られたが、自制して僕は体育座りもしくは正座をしてひと時を過ごした。
髪の毛を濡らさない様にする為。もしくは水面につけない様にスイミングキャップが多いに役だった。
楽しいプールの時間が終わり、いよいよ着替えタイムになった。
バスタオルで水気を拭き、身体に巻いてまずは水着の肩紐から外し徐々に装着解除していきタオルでしっかりと水分を拭いてから肌着を着た。そして下半身部分も脱いでこちらもしっかりと拭いてからショーツを履き、ブラウス、スカートの順番に着てバスタオルを外した。そしてスイミングキャップもはずし、ポニーテールの状態になっているが髪留めゴムもはずし元のロングヘアに戻した。そのあと靴下を履いてスモックを着込んだ。脱いだ水着とスイミングキャップ、バスタオルにタオル等をビニールバッグに入れて教室に戻った。
ちなみに今はスカートの中はショーツ1枚であり、普段からブルマを履いているので少しスースーして心もとない心境であり、自意識過剰かもしれないがパンチラ等しないか心配だった。
決果として無事に過ごして、心配はきゆうに終わった。だが、帰りの通園バス待ちにまた鉄棒をしたが、
その時にはブルマを履いてしていた。
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そして帰宅した後、今度はスイミングスクールのスクールバスを待っていた。
僕以外にも数人の利用者がいるみたいで、しばらく他愛の無い話をしていて時を過ごした。
「こんにちは。三花ちゃん。」
「こんにちは。今日は暑いですね。」
「太陽がさんさんと照っていますね。」
「太陽だけにさんさんと・・・。」
「三花ちゃん、英語も出来るのかい?」
「いえ、聞いた事あった為ですよ。」
「ふーん。そうなんだね。」
「あ、バスが来ましたよ。」
スイミングスクールバスが到着して僕達複数人が乗り込む。
「こんにちは。今日もお願いいたしますね。」
ぺこりとお辞儀して運転手さんに声を掛けた。
「こんにちは。三花ちゃん。今日は元気そうだね。先週は休みだったみたいだけど大丈夫かい?」
「ご心配かけて申し訳ありません。なんとか回復しました。運転手さんの顔を見るのを楽しみにしていました。先週休んでいる間はとてもさみしかったです。」
「ありがとう、三花ちゃん。嬉しい事を言ってくれるね。」
僕達はおのおの席に着き、スイミングスクールのプールの場所までの道中バスに揺られ目的地に到着するのを待った。
現地に着いて着替える。場所は女子更衣室。当然僕は初めてなので三花ちゃんに先導してもらった。
元男だった自分には未知の領域で神聖不可侵な場所だ。だが、今は三花ちゃんの身体で性別は女性である為問題無かったが、どきどきして更衣室に入るのをちゅうちょしてしまった。
更衣室に入り、スクール水着に着替える。と言ってもワンピースの普段着の下には既に家から着込んできていて後は脱ぐだけであった。念の為にショーツと肌着を忘れていないかバッグを確認をする。
問題無い事を確認したらスイミングキャップを取り出して、装着してからプール利用者が大勢待機する場所に行き並んだ。そうして準備運動が始まり、僕はこなしていた。
ちなみに成人男性、成人女性、中学高校男女別、児童男女別に簡単に言うと分けられて各自のグループで専任のインストラクターの方がついており、それぞれ終わったらシャワーを浴び消毒槽に入ってから、それぞれの更に細分化されたグループになり先生に教わっていた。
僕事三花ちゃんのグループは深水の浅いプールでまずは顔を水に付けて慣れる練習、プールサイドに腰掛け足で水面をバシャバシャさせる。またはうつ伏せになりバタ足の練習等をした。
しばらくすると、水に浸かっている為か身体が冷えてきて尿意を感じた。先生に断りを入れてお手洗いで用を済ませ授業を再開する。そうして時間が過ぎ、更衣室でシャワーを浴びてから着替えていた。
ちらりと男の子の姿を確認したが、そう言えば練習前に男子更衣室のトイレを修理中で女子更衣室のトイレを利用するかもしれないとプールの先生が言っていたのを思い出した。
幸いな事に向こうの男の子はこちらには気付かなかった様だった。
ひとまず着替えが終わり、スクールバスを待って帰宅した。
程好い疲労感を癒すために風呂に入り、夕食を済ませた。その夜僕はお父さんに頼んで部屋に入らせてもらった。
そして・・・。
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