不死なる襲撃者たち

...




...




...




...僕がここに縛り付けられて、一体どれほどの時間が経ったのだろうか。






 僕がこんな目に遭っているのは、あの忌々しい男のせいだ。時が経ちすぎて顔も思い出せないけど... ヤツへの恨み言なら何百年でも吐き続けられるほどに憎い。


 四方を鬱蒼とした木々に囲まれた盆地。...もうこの場所も飽きた... でもここから出るための力が残っていない。それもヤツのせい... ...何を考えるにもアイツのことが脳裏に浮かんでくる。苛立ちの捌け口もない。怒りで頭が沸騰しそうだよ...




 力を取り戻すためには、遥か遠方に隠された半身と融合しなければいけない。ここに閉じ込められたすぐ後、ヤツが隠した半身の位置は気配で分かった。しかし時間の経過によってその気配は薄れている。


 とにかくここを出なければ何も始まらない。何か方法は無いものか...




 そうして、また長い時を無為に過ごす。そう思っていた。




「...此処は...?」

 アイツ等が、動けない僕のもとに訪れるまでは。






 旅団か何かだろうか。森を抜け崖を上り、洞をくぐってきたのだろう。皆薄汚れていた。何やら珍妙な身なりの彼等は辺りを調査し始めた。土を採取する者や墓標に手を合わせる者。そして、僕へ歩み寄る者...


 中性的な容姿の彼(或いは彼女、だろうか)は僕の存在を知ってか知らずか、その他大勢が朽ちた残骸に夢中になっている最中にどんどん近づいてきた。

 距離が縮まるにつれ分かった。旅団を指揮していたソイツは、というより団員皆が只者ではないことが肌で感じられた。その中でもソイツは一際ずば抜けた力を持っていた。この力、僕を閉じ込めたヤツに匹敵する程なのではないか? まあいずれにせよ...






 ...ようやくだ!


 僕は残された力でソイツに襲いかかった。

「...何だ!?」

 いくら力を持っていようが所詮は一人の人間。僕に敵う筈もなく... あっさりとソイツの身体・精神の掌握に成功した。


「があああああっ! わ、私の体から... ...出ていけ!」

 ああ、ソイツは何か喚いていたな。その後、異変に気付いた団員達が寄ってきたが、全員僕の支配下に置いた。




 ここから出られないのなら、コイツ等に半身を運んで来させればいい。そうすれば僕は力を取り戻せる!


 さあ、悪意に満ちた僕の手駒たちよ、先ずはヤツの後継者から皆殺しだ!

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