【閲覧注意】UNLOCK

流「...は?」

遡「何言ってんの... それじゃあ私達...」

鍵「...ああ、僕達が今まで葬ってきたのは...」






 彼らが葬ってきたのは、何の罪も無い、人だった...






 この3人は生まれも育ちも異なる。彼等がこのまま平坦な人生を歩んでいたとすれば、互いに出会うことすらなかっただろう。そんな彼等には共通点があった。


 3人は「異能」を持っていた。


 1人は流体を自在に操る能力(使い手の名を『流』とする)、1人は時を遡行する能力(使い手の名を『遡』とする)、1人はものを開閉する能力(使い手の名を『鍵』とする)の持ち主だった。


 彼等はその「異能」を買われ、とある機関からスカウトを受けた。詳細は不明だが、人智を凌駕する「怪物」の討伐を請け負う機関だそうだ。3人は戦場で出会い、戦いを通してその仲を深めていった。


鍵「2人ともお疲れ! ホットココア、要る?」

流「...いつもすまないな...」

遡「ありがとー! でも私、戦闘向きの能力じゃないから、あんまり役に立ててないけどねー」

鍵「まあまあ、今日の「怪物」は少し骨のある奴だった。君の力が無ければ、ただでは済んでいなかっただろう」


 彼等は非日常に身を置きながらも、与えられた生活を謳歌していた。幾度の厳しい戦いを力を合わせて乗り越えてきたのだ。しかし、そんな日常は突如、音もなく崩れ去った。




 「怪物」の正体が、自分達と同じ「異能」の持ち主だったのだ...




 「異能」をもつ者どうしで殺し合いをさせられていたこと、これまで自分達が躊躇なく命を奪ってきた者達もまた、同じ人間であったこと。残酷な真実が、3人の肩にのしかかっていた。それを知らされたとき、『遡』はショックのあまり胃の中身を撒き散らし、『流』はそれ以来ほとんど言葉を発さなくなった。まとめ役でもあった『鍵』ですら、食事が喉を通らない日々が続いた。


 「罪のない人を殺めてきた」という重責に苛まれる3人に対し、更なる凶報が突きつけられた。生き残った者達をかき集め、「新たな敵」に対抗するための討伐隊が編成される、といったものだった。




流「...ふざけるな... これ以上俺達に、何をしろと...」

遡「私は誘いを蹴るつもりだけど... 2人はどうするつもり?」

鍵「...当然、こんなふざけた話に乗るつもりは毛頭無い。俺はこれから、をしなければならない...」






 翌日、『鍵』は自決した。残された2人は悲しみに明け暮れたが、不幸は重なるものだ。




流「...は? ...『遡』?」

 やせ細った少女が、瀕死の『遡』を抱えて『流』の元を訪れた。

「や、やりすぎちゃった... あ、あなたにお願い... が、あるんだけど...」

 次の瞬間、少女は信じられないことを口にした。

遡「......あ...」


「こ、この子の知り合い... だよね? この子が生きてるうちに、こ、この子のこと、食べて...」

流「...何だと...」

「そ、それで私達と同じになるの... えへへ... か、片腕だけで良いよ... この子が死ぬ前に... ね?」

遡「...あ......」


 『流』はもはや、何もかもどうでも良くなっていた。大量殺人という十字架を背負い、苦楽を共にした仲間を1人失った彼の心は、既に壊れてしまっていた。


 そして『流』は、瀕死の仲間の腕に喰らいついた。






 その後、『流』は「異能」をもつ者達の残党の抹殺を命じられた。彼の人格は残忍なものへと変貌し、一切の感情を失ったかのようだった。


 しかし彼は???から奇襲を受け、力の大半を失ってしまう。






「絶対に許さない... たとえ時を越えてでも必ず、息の根を...」

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