ミラージュは、王座の下で、グランに寄り添い佇んでいた。

謁見室に入って来たギガリア公爵は、眉間に皺を寄せて、王妃を睨みついている。

もしかしたら、王妃の後ろで佇む侍女服姿のルルアーナを睨みつけているのかもしれない。

初めてギガリア公爵邸に足を踏み入れた時、ルルアーナ公爵令嬢は父親に溺愛されていると感じた。だけど、それは気のせいだったのかもしれない。探し回っていたと言うギガリア公爵は、忌々しそうに王妃とルルアーナを睨みつけていた。

王妃は、豪華な扇を口元に当てて、声を出した。

「欺いてなどおりませんわ。ギガリア公爵。この娘は、王族を身に宿しております。子供に命の危険があるかもしれないと助けを求めてきたので、私が保護致しました。」

ギガリア公爵は、目を見開き言った。

「王族ですと！ならば腹の子の父親は……」

ギガリア公爵は、ミラージュの隣のグランと国王を交互に凝視する。

心なしか、ギガリア公爵の口元は緩んでいるようだった。

「父親は私だ。」

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