第8話 出口
ミラージュは、ルルアーナの使用人達に捕まる前に逃げようとした。
薄紅色のドレスの裾を両手で持ち上げ、踵を返し生垣の奥へ走って行く。
「捕まえて!」
ルルアーナの声が聞こえてくる。
ミラージュは、迷路のような生垣の道を走って行く。後ろから数人の人物の駆け音が聞こえてくる。
黄緑や緑、濃緑の葉の隙間を通り抜け、必死に前に進む。
もうすぐ出口だ。
あそこまで行けば、誰かに、、、、
数m先に生垣の出口が見える。緑のトンネルの向こうには青空と洗礼された王城が見えている。
もう少し。
だが、出口は急に影に覆われた。
大柄な男が出口に立ちふさがり、ミラージュを見下ろしてくる。
「お前には同情するよ。ギガリア公爵様に逆らうとは。命知らずな娘だな。さあ、大人しくついて来い。」
ミラージュは後退り言った。
「嫌です。ギガリア公爵家には2度と行かないわ。」
なんとかして、ここから出なければ、なんとかして。
大男は出口を塞いでいる。
ドレスが邪魔だが、スリ抜けて逃げられるかもしれない。
その時、ミラージュの背中は弾力がある何かにぶつかった。
「仕方ないな。悪く思うなよ。お嬢さん。」
振り返ったミラージュの背後には、ルルアーナが連れて来ていた使用人が控えていた。
ミラージュは、口に湿った布を当てられ一瞬で意識を失った。
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