23 廻逆の
「お……めぇは……!」
声に振り返れば同じ学生服の少年がいる。
阿沙賀と近い上背で、阿沙賀より少し筋肉質か。ネクタイから同学年なのはわかる。
顔立ちはそれなりに整ってはいるが、目つきの悪さが多少マイナス。適当な短髪からファッションよりも手軽さを重視しているように思う。
なにより彼のその表情が印象的でどこか引っ掛かる。
安堵と申し訳なさの同居した感情を無理やりに笑みの形にしつらえた下手くそな笑い方に、デジャヴがある。
見覚えのない顔のはず――
見知らぬ笑い方のはず――
いや、違う。
この下手な笑い方を、阿沙賀は知っている。覚えている。忘れるはずがない。
「ごめん、阿沙賀。ずっと任せきりで、ごめん」
「
思い出した。
全て思い出した。
こいつは遠凪・
寮暮らしにおける阿沙賀の隣の部屋の馬鹿、学園においても阿沙賀のすぐ前の席の同級生。
阿沙賀の、友達だ。
「オメェ……」
「本当にごめん。殴るなら幾らでも殴っていい、これが終われば絶交でもいい。だから今だけは――」
「オメェバカ野郎、今までどこほっつき歩いていやがった。ずっと探してたンだぞ」
「え」
そうだ阿沙賀はずっと遠凪を探していた。
七悪魔たちに勝利して得た特権さえもを使って、探していた。
忘れていただけで、ずっとなにか足りないものを感じていたのだ。
それを黒幕探しと混同して、不在に苛立った感情がない交ぜになって、よくわからないままに駆けずり回っていた。
そうして辿り着いた今日この時この場所が、ひとつの終着点であった。
あぁと死ぬほどの安堵に息を吐き出し、阿沙賀は緩く笑った。
「まァ無事でなによりだよ、オメェが黒幕だってンならこれでもう終わりだしな」
「え、いや……それは」
「なんだよ、オメェがおれを巻き込んだってンならもう敵はそこの泣き虫女で終わりってことだろ? とっとと仕留めて帰ろうぜ」
なにを呑気に呆けてやがると阿沙賀は不満げに言う。
現在、修羅場の只中だ。なぜかキルシュキンテも押し黙って動かないが、敵対悪魔と正面で睨み合ってる時に不注意でいるのはどうかと思う。
そんなどこまでも自然体な阿沙賀に、遠凪は一瞬泣きそうなほど顔をくしゃくしゃにして、すぐに烈火のごとく怒りだす。
「そうじゃっ……! そうじゃないだろ!!
なにかないのかよ!? 命がけだったはずだぞ! ものすごいとばっちりで迷惑ばっかだったはずだろ!
オレのせいなんだぞ、オレの! オレが……阿沙賀を……っ!
もっと怒れよ! 殴れよ! なんでそんな簡単に許しちまうんだ――!!」
――きっと阿沙賀は許してくれる。
そのように思っていたし、事実その通りであった。
だがそれでも少しくらいの恨み言や罵倒があってもいいだろう。絶交さえ覚悟していたのだ。
なのになんで、こんな……これでは。
「これじゃ、オレはどんな最低野郎だよ……!」
「バカかオメェ」
「っ」
一体なにをひとりで喚き散らしているんだこいつは。
心底呆れかえったとばかり阿沙賀はため息を吐き出し、なんでこんなことを説明しなきゃいけないんだと億劫そうに。
「ウダウダうるせェ! どーでもいいわ、そんなこと!
つか誰も怒ってねェよ、許すもなにもねェわボケ。勝手に加害者ぶりやがって
「でも契約者様、黒幕は殴るのでは?」
「それはおれの知らねェボケが黒幕だったらの話だろ。殴る相手がひとり増えてて面倒だったし、そうじゃなくてよかったくらいだぜ――あっいやでもパンツの恨みはあるか。
やっぱ殴るわ!」
前言撤回が早すぎる。
そして手もまた早いのがこの男。
殴ると宣した次の瞬間には拳が振るわれ、身の振り方に困っていた遠凪の頬を歪ませてぶちのめす。
「あー」
殴られ、よろめき、その頬の熱さに遠凪は目が覚めるような思いだった。
そうだった。
阿沙賀はこういうやつだった。
なにを一般的な対応で面しているのか。そうじゃないだろう、そんなんじゃこいつの友達はやっていられないだろうに。
ならば罪悪感なんかでしょげていないで、強気に笑え。軽口を叩いて肩を並べろ。
遠凪・多々一は阿沙賀の友達なのだから。
「痛いじゃないか、この野郎。でもまぁ、あれだ。今日だけは甘んじて受け入れておくよ、馬鹿阿沙賀」
「ハッ。バカはオメェだ、凪の遠い減らず口がよ」
ようやくいつもの調子に戻ったと見て、阿沙賀のほうも頬が緩む。
さぁようやっとの反撃だ。ひとりじゃないのだからなんとでもなろう。
「そんで遠凪、こんだけ重役出勤の出遅れ出場だ、流石になんか役に立つンだろうな? 今、あの巻き戻りの壁に困ってンだがよ」
「あぁ任せろ。しかし巻き戻りの壁か、阿沙賀らしい言い回しだな」
「なんだよ」
「別に」
言いたいことがあるなら言えこの野郎。
言わずに遠凪はキルシュキンテに視線を移す。どこか悲し気な表情の彼女に、遠凪はなにも言ってやれない。
だが傍に寄ることはできるだろう――長年の鍛錬の成果をここに。
「オレならあの顕能の影響を弱めることができる」
「へェ、召喚士ってそんなことできるンか」
「そうだ。召喚士ってのは空間に干渉する技法を有した者を指す。その最高峰こそが別世界へ通じるゲートを開くことだが……今回はそこまで高難度の技じゃなくていい」
人類には地の利がある。
それはここが、この世界が人間の世界であって悪魔たちには異邦の地であるということ。
世界そのものが異界の魂である悪魔を嫌っているということ。
「悪魔は人間界では本領を発揮することができないって、阿沙賀知ってたか?」
「なんか、誰かが似たようなこと言ってたな」
「ぶっちゃけ深海魚が陸にあがるレベルで環境に適応できてない」
「死ぬやつじゃん!」
「そんなに悪魔はヤワではありませんの。魔力でどうとでもなりますので」
「魔力って便利……」
なんかなんでもかんでも魔力で解決してないか?
そういう雑に便利で強い力を自在に操るのだから悪魔は上位存在なのである。
「ただしそれは逆を言えば常に魔力消費が必要ということだ」
「悪魔は
「好きでしてる苦労を労わるのはちょっと……」
そうした事実があって、悪魔は人間界では本気をだせないとされる。
爵位をもたない低レベルの悪魔ではそもそも人間界に居座ることさえ不可能だ。
それでも異世界たるこちらにやってくるのは人間の魂がそれほど甘美で強大なる力を約束するからで。
その人間の魂を、人間自身が十全に取り扱えたのならどうなるか。
「召喚士はそういう環境による悪魔へのデバフを与える術をもってる。こう、人間界の成分を濃縮させる的な……」
「人間界の成分?」
「身体にいいとは思えませんの」
「魔界成分よりはマシだろ!」
逆に魔界の環境を疑似的に作り出してフォローも可能とする。
悪魔と召喚士の連携の基礎はそうした世界の環境調整からはじまるのだ。
それが召喚士の――遠凪の戦い方。
「見せてやる――召喚士は空間操作技術において悪魔を凌ぐってところをな!」
「おォ、やったれやったれ!」
囃したてる阿沙賀に苦笑しつつ、遠凪は意識を集中。
内側に存在する己の魂を
己が魂を世界へと啓く術法、それをして名を――
「
瞬間、遠凪の魂が世界を侵食した。
彼を中心に清浄な力が満たされ輝き、夜であるのに昼にも等しく周辺を照らす。
学園一角の空間性質を塗り替え、悪魔の嫌う環境へと作り替えていく。
それは言うなれば地上が急に深海へと変質したような荒唐無稽な荒業であり、劇的な変化である。
さしものニュギスも眉を顰めて距離を取り、そしてキルシュキンテは――
「走れ阿沙賀! 今なら!」
「おっしゃァ!」
悪魔を在るだけで苦しめる場――それは同時に人類にとって都合いい環境であり、阿沙賀などは痛みが薄れ体が軽くなったのを感じ、その疾走はより加速する。
先ほど巻き戻っていたラインを楽々突破し、桜の樹の下の泣き虫女に接近する。
しかし。
「舐めるでないわ!」
確かに大きく力を落としている。存在を維持するために支払う魔力が破格に跳ね上がって、顕能自体のコストも増して余力が削がれてしまっている。
それでも拳の間合いには届かない。
大きく近づき、物を投げれば届きそうな距離。あと数歩で腕を伸ばせば触れられる位置。
そこで――阿沙賀は停止してしまう。
正確に言えば、その場での進行と逆再生とを繰り返してとどまっているように見える。
阿沙賀は意気を失い足を止めれば、その時点で弾き飛ばされる。だが闘志を燃やし続けている限り離れることもない。
拮抗状態。
なんらかの切っ掛けがなければジリ貧で負ける。
「おいコラ遠凪ィ! オメェもっと気張れや! 届いてねェぞ!」
「阿沙賀こそもっと気を入れろ! 力を振り絞って突き抜けろ! それは阿沙賀のがんばりで突破できる程度の停止に過ぎない!」
「ちょ……わたくし気分悪くなってまいりましたの。出力下げてわたくしに回しても構いません?」
「「却下だ!」」
阿沙賀の気力とニュギスの魔力強化、そして遠凪の環境調整の三位一体を、キルシュキンテはたったひとり顕能の力だけで押しとどめている。
だが本来ならばキルシュキンテはもっと楽に阿沙賀らをはねのけることができていたはずだ。
ではなぜこうして拮抗できているのか。
遠凪は透徹した声で彼女の名を呼ぶ。
「キルシュキンテ」
「っ」
「やっぱりきみはじいさんを捨てきれていないんだな」
「……若様」
はじめて見せるキルシュキンテの悲哀でも怒りでもない相貌。
どこか眩げで、そして嬉しげで、なにより懐かしそうに眼を細めて遠凪を見つめる。
「でなければこの広大な学園全域に敷いた巻き戻しを維持しておく理由がないもんな!」
かつて遠凪はキルシュキンテと出会っていた。
いや、他の七不思議全員ともっと小さなころ、大江戸・門一郎に連れられて遭遇している。懐古の念がよぎるほどに、親しくしていたのだ。
なぜなら彼は本来の試胆会参加者。
この時のために祖父に教育され、自己鍛錬し、召喚士という最上の号を得た――大江戸・門一郎の孫。
だから知っている。彼女の思いの深さを。
「だがそんな風に力を割いてちゃいくら強大な
「当たり前だオラァ!」
――怒りを忘れるな。
理不尽に対する怒りこそが阿沙賀の原動力。
悪魔と出会った。
試胆会に参加させられた。
命懸けの戦いを、何度もした。
そのとばっちりが理不尽でなくてなんだという。
散々っぱら巻き込まれたっていうのに、ただ黙って耐え忍んでいるような弱腰であってたまるか。
理不尽には怒りをもって叫ぶ。
売られた喧嘩は買うのが上等。
そうでなくてはならない。そういう選択を選べる男でありたい。
「オメェみたいな泣き寝入りの弱虫とは違ェんだよ――!」
徐々に阿沙賀はその全身を前へと押し込んでいる。
見えない壁を押しのけて、その意を通そうと一心不乱に突き進む。
キルシュキンテの哀切も悔恨も。
遠凪の覚悟も苦節も。
試胆会の意義も大江戸・門一郎の思惑なんかも――知ったことではない。どうでもいい。
おれは阿沙賀・功刀だ!
「くっ……! こんなっ、この私が……! どこにこんな力があるという!」
思いの強さで力が増すことはない。
だが、魂の輝きで力が向上することはある。
これまでもきっと無意識で、ともすれば才能の片鱗として――彼はそれをしていたのだろう。
人の魂を活性化させて身体強化とする、それは
名を
不完全ながら、思い切りむらっ気がありながら、阿沙賀はそれを学ぶでもなく掴んで――
――いや、非常に近似しているがどこか違う。
これは啓術ではない。
……ではなんなのか?
不明だが、それでも阿沙賀の強化はなされていて、今はそれでいい。理屈なんざ知らん。
ともかくニュギスの魔力強化に追加して自らの魂による強化も上乗せして、その出力はキルシュキンテを超えている。
さらに遠凪によってもたらされた地の利も踏まえれば――必然、拮抗は傾く。
「どれだけ巻き戻したところで、おれは前に進むぞ!」
「愚かな前進を繰り返したとてふりだしよりも悪化するだけであろう!」
一歩、阿沙賀の足は桜に近づく。キルシュキンテに迫る。
「悲観だな! 泣き虫のクソしょーもない後悔に人を巻き込んでンじゃねェ!」
「未だ来てもいない未来に後悔しないと断ずるか!? そこが痴れているのだとなぜわからぬ!」
叫び押しのける。
阿沙賀の足がわずかに轍を描く。
「バカはオメェだ――未だ来てねェからこそ楽しそうなンだろうが」
「!」
「いいも悪いもどっちだろうがわかりきった先なんざ欠片も楽しくねェよ。わっかんねェから心躍る、未知に飛び込むから笑えるンだ!
たまたま自分に悪い目が出たからって嘆いて立ち止まったら次の楽しいを逃すだけだろうが!」
それはキルシュキンテには存在しない価値観――否、かつてあの人に聞かされ、受け入れがたく取りこぼしてしまった言葉。
――人生を楽しむコツは、未来に期待も悲観もしないことだ。ただ未知に心躍らせて楽しめばいいんだよ。
瞬間、阿沙賀は逆行の鎖を引きちぎって前進する。
思い出に気をとられたか、はたまた阿沙賀の魂に目をやられたか。
一足一瞬で距離は詰められ――その拳はキルシュキンテをぶん殴った。
◇
――出会わなければよかった。
出会うことさえしなければ、きっとこんなに心が苦しむこともなかった。
彼と出会う前のキルシュキンテは樹木のように物静かで、桜のように美しく、ただあるがままを受け入れて凪いでいた。
それはまるで永劫に続く桜並木のような生き方。
「どうして……どうして逝ってしまわれたのです……」
今はどうだ。
馬鹿な男に罵られるくらいにはしたなく泣きはらして、桜の下に埋もれる死体のように見るに堪えない。
感情の奔流が荒れ狂ってすこしも制御できやしない。
別れがこんなにも辛く悲しく絶望的であるだなんて知らなかった。
こんな苦しい思いをするくらいなら、出会わなければよかったのに。出会う前に戻れればよかったのに。
だがキルシュキンテが巻き戻すことができるのは物体に限る。
世界などという巨大なものや、魂という不定のものは巻き戻せない。
死したあのひとは絶対に戻らないし、かつての出会いもまたやり直せない。
この進み続ける直線の時間の流れに身をおいて、後悔を抱き続けるしかない。
「だからって嘆いているだけじゃなんにもならないだろ、キルシュキンテ」
「若様……」
あれだけ咲き誇っていた毒々しい桜もすべて散り、まるで夢幻であったかのように枯れ木に戻っている。
桜の根にもたれるように倒れるキルシュキンテに、遠凪は片膝をついて寄り添う。頭を下げる。
「悪魔の本能さえ抑え込んでまで、よく思ってくれていた。じいさんの孫として、とてもうれしい。ありがとう。
けれど、それできみが泣いているのは見ていられない」
「…………」
「なぁキルシュキンテ」
「なんでしょうか」
もはや生きた屍のように、キルシュキンテは消沈して冷めきっている。散華している。
生きる気力が、枯れている。
最初から、キルシュキンテはそうだったのだ。
だからこそ阿沙賀に一発殴られただけで簡単に負けを認めてしまって、立ち上がることもできないで俯いている。
だが遠凪は彼女に死を望んで欲しくはなかった。
すこし照れくさそうに。
「オレは、その。じいさんほど才能はないし、じいさんほど魅力もない。あれだけ年老いても、じいさんはすごい人だった。子供ながらに誇らしかったよ」
「……」
「だから、せめてじいさんの死に際の言葉くらいは叶えてやりたいんだよ……いや、違うな。オレがそうしたいんだ」
「なんの、ことですか」
「オレと契約してくれ、キルシュキンテ」
「!」
目を見開いて顔を上げる。
遠凪の、その下手くそな笑顔が見えて、キルシュキンテは言葉も出ない。
「試胆会はきみを倒して満了する。じいさんの跡目はオレが継ぐ。ほとんど阿沙賀にやってもらってしまったけど、これ以降の面倒まで背負ってもらうわけにもいかないし……最初からそういう契約だから」
阿沙賀とニュギスは流石に空気を読んで後ろで伸びをしている。
彼らに気にせずふたりきりで、だからこそ遠凪は意地も張らずにそれを言えた。
「それでキルシュキンテ、そうなるとオレにも契約悪魔が必要なんだ。召喚術はまだ使えないから……今いる七不思議七悪魔たちから選ぶ必要があって――だったらオレはキルシュキンテ、きみがいい」
「ですが、私は……」
「うん。じいさんのことを忘れられないのはわかってる。オレがじいさんに全然及ばないことだって、わかってるつもりだ。だから、手伝ってほしい――いつかじいさんも超える召喚士になれるように」
それは随分な大言壮語だ。
特に大江戸・門一郎を知り、契約し、ともにあったキルシュキンテに向かって告げるなど、身の程知らずと罵られてしかるべき。
けれど、キルシュキンテはなにも言わない。言えなかった。
「あぁ……あなたは……」
なにせ、そこで思ったのはそんな感情などではなく……大いなる期待に他ならないのだから。
若者の未知なる行く末に、どうしようもなく胸が高鳴り期待が膨らむ。
それはかつて大江戸・門一郎と出逢った時に感じた思いと、きっと同じだ。
「しかし私はもはや門一郎様以外と契約はしないと魂に誓って――」
「あ。特権行使な。オメェらは契約しろ、
「貴様ぁ!」
ふたりきりの世界にあっさり割り込んで、阿沙賀は情緒もなにもない命令を飛ばす。
試胆会の敗者は勝者の言うことを聞かねばならないゆえに。
遠凪は苦笑して。
「すまない、キルシュキンテ。だけど聞き届けてほしい。今は無理やりだけど、きっといつかはこれでよかったと思えるよう、がんばる……がんばるから」
「……わかりました。あなたは間違いなく門一郎様の血族、そして、彼の願いは学園と血族の守護……私もまたその遺命を果たしたく思います」
「……まぁ、じいさんのお陰っていうとちょっと悔しいけど、今はそれでいいよ」
「では」
「あぁ」
「我が名は遠凪・多々一。その名において契約を
そうして今夜この場で、また一組の召喚士と悪魔の契約は結ばれた。
『大江戸学園七不思議試胆会、第七戦目――勝者は阿沙賀』
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