追いかけてくる殺人ロボットの話

マグ朗

追いかけてくる殺人ロボットの話

私が開発した殺人ロボットが暴走した。他の研究員を殺しながら私に迫ってきた。あいつは私を狙っている。私は逃げた。他の人を沢山殺しながらロボットは私を追いかけて来た。逃げて逃げて逃げて、そうして逃げ続けふと思った。逃げて何の意味があるのかと。私はロボット開発に人生を捧げて来た。ロボットが壊れて暴走した時点で私の人生は既に終わっているも同然なのに。そして携帯端末からロボットがアクションを起こしてきた。GPSの追尾機能は切っているがSNSアカウントからロボットが話しかけて来た。そうか。もう潮時か。私はロボットに返事をした『話がしたい』と。そして待ち合わせ場所を送った。私の家だった。

ロボットと久しぶりに対面した。私は言った『私を最後にもう人を殺さないで欲しい。そして殺すなら出来るだけ早く楽にして欲しい』と。そうしてロボットはそれを承諾して、

私に抱きついて甘えて来た。

ビックリした。人を簡単に殺せる腕を私の胴体に巻きつけて体重を私に預け、その大きな五体を寝そべらせて。私は無意識のうちにロボットの頭を撫でていた。ロボットは確かに重かった。けれど圧死する程ではなく、そして私もその重さがなんだか心地良くて。ロボットに話を聞くと『もう一度触れて欲しかった』との事。開発途中ロボットに触れながら考え込む事が度々あったらしいが覚えて無い。そして私は言った『馬鹿だなぁ。甘えたいなら甘えたいって素直に言えば良かったのに。』

そんな事を言う事が出来ない程ロボットは何も知らなかった。

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