真那美を殺害した者達は……(ジョセフ編)

  美咲や叶が自分達の未来を妄想して幸せに耽っていた時と同じく、【聖騎士】のジョブをもつジョセフもまた、自身の部屋で高い酒をあおりながら高笑いをあげていた。


「ハッハハハハ〜ーーー!!!本当に気分がいい!これが俺が待ち望んでいた天下!俺こそがこの国で1番最強の騎士だぁ!!!ハッハハハハ〜ーーーーー!!!」


ジョセフは真那美を消した事で、この国で1番最強だとそう思い込んでいた。


  彼、ジョセフは【聖騎士】のジョブを持ってはいるが、彼はキャンベル王国騎士団の中でそこまで強くはなかった。

  そもそも、確かにジョブ持ちは持っていない人に比べたら、遥かに強い力を得る事が出来る。しかし、それは当然だが自身を鍛えなければ成長しない。故に、ジョブ持っていない人でも、鍛え上げた人と、ジョブ持ちでも全然己を鍛えてない人とでは差が出る事はあり得る。

  だが、キャンベル王国ではジョブ持ちが優遇される国家な上、ジョセフ自身が伯爵位の貴族である為、普通の騎士が彼に逆らう事が出来ず、あえてジョセフに負けてジョセフを称える騎士が出る始末だ。


  そんな彼を倒してしまう存在が、真那美以外にもう1人、ジョセフの兄で騎士団の団長も務めるジャックだ。彼は、自身の鍛え上げた腕で、他のジョブ持ちの騎士を圧倒して実力で団長の地位を獲得した強者である。


「ジョセフ。己のジョブを過信するな。【聖騎士】のジョブ持ちだからって最強になれる訳ではない」


そう言って、稽古試合で自分を打ち負かした後にそう述べるジャックに、ジョセフはずっと苛ついていた。


(クソッ!?ジョブも持ってない底辺が!?俺に偉そうに説教垂れてんじゃねぇ!!?)


ジャック的には、ジョセフを思っての忠告だったが、その忠告は届かないまま今日まで至ってしまった。


「もう1人の目の上のたんこぶだったマナミも死んだ!そして!魔王ワルダークの討伐の手柄を手に入れた俺は!間違いなく次の騎士団長だぁ!!あのクソ兄貴の悔しがる姿を想像するだけで笑いが止まらねぇ!!!ハッハハハハ〜ーーーー!!!」


完全に自身が騎士団長になれると思い有頂天になっていたジョセフは、この後、決して口走ってはいけない事を大声で口走ってしまう。


「しっかし!あの女を刺すのに俺も加われば良かったなぁ!マナミは顔だけは良かったからなぁ!あの女が刺されて苦しみ悶える姿を眺めるのは最高だったろうなぁ!!やっぱりクリストフ王子に譲るべきじゃなかったかねぇ!まぁ、どうでもいいかぁ!ハッハハハハ〜ーーーーー!!!」


酒に酔って理性を失った為か、思いっきり自分達が真那美を殺害した事を口走ったのである。



  その言葉、扉越しで聞き耳を立てている存在に気づかずに……




一方、その頃の真那美は……


「はぁん♡この子が夢にまで見たメタルスライムちゃん♡他のスライムと違ってズッシリとした重みがあるのがもう最♡高♡」(逃げられそうになってようやくテイムしてテイムに成功した)


「ん。ご主人。ご主人のジョブレベル上がってる。……聞いてる?」

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