真那美を殺害した者達は……(美咲・叶編)後

  真那美を消したいと思い、まず美咲は叶を味方につけた。叶も美咲と似たような思いをしていたのは察していたので、簡単に叶を味方につける事が出来た。

  その後、自身が上位ジョブ【聖女】である為、発言力があったのを活かして、真那美がいかに悪い女であるかほぼ嘘を交えて周囲に話し、叶も同じように話して回った。これで、真那美を追放なりしてくれればと思ったからである。


  しかし、事はそんなに上手く運ばなかった。真那美がジョセフを倒してから、真那美は更に数々のキャンベル王国にやって来た魔物や魔族達を倒してしまったからである。まぁ、真那美的には、スライムをテイムしていた所を偶然やって来て邪魔されたから倒しただけなのだが……

その実績は、国王も無視する事が出来ず、真那美にクリストフと共に旅立つようお願いという名の強要をした。真那美は「全て終わったら自由旅出来るようにする」事を条件に、国王の要請を受け入れた。この真那美の願いなら、目の上のたんこぶだった真那美が美咲の前からいなくなるはずだが……


(ダメよ!?このままだとますます真那美ばかりが注目されて、またこの世界でも惨めな想いをする!?)


そう思った美咲は、同じパーティーのクリストフやジョセフも味方につけ、完全に真那美をこの世から消す方へともっていった。


  こうして、美咲の思惑通り真那美をこの世から完全に消し去る事に成功した。


「んふふふ!!これで!後は!アルフォート様と結婚出来れば!完璧ね!」


美咲はキャンベル王国の第一王子にして、次期国王候補のアルフォート・キャンベルに惚れていた。彼を自分の物にしたいが為、魔王討伐の実績を得ようと思っていたのである。


「でも、アルフォート殿下って婚約者いなかった?それに、アルフォート殿下は次期国王候補から外れる可能性が高いって話も出てるんでしょ」


叶の言う通り、アルフォートは前から幼馴染のような関係であった。クリムソン公爵家の令嬢と婚約関係にあった。しかも、今回クリストフが魔王を討伐した実績で、次期国王はクリストフになるのでは貴族達が噂していたのを2人は耳にしていた。


「私は魔王ワルダークを討伐した【聖女】よ!私が願い出れば叶うに決まってるわ!それに、王妃になるのって大変そうだしねぇ〜。だったら、アルフォート様の妻として悠々自適な生活を送った方がいいわよ!!」


美咲はそう言って、訪れるであろう自分の未来にウットリとした表情を浮かべる。


「そっか……私は魔王を討伐した【賢者】。だったら、私はカイル様との結婚を願い出ようかな」


「カイル様!?カイル様って第三王子のカイル様よね!?あの子まだ10歳でしょ!?……薄々感じてはいたけど、叶ってやっぱりショタ……」


「違う。勘違いしないで。私はただ年下の男の子が好きなだけ。その守備範囲が広いだけ」


キッパリとそう言い切る叶に不審な目を向けるも、まぁ、自分の好きな人とは被らないからいいかと思い、美咲は再び自分の幸せな未来を思いニマニマと笑い続けていた。



一方、その頃の真那美は……


「はあぁ♡あのメタリックな輝き♡スライムなのに重厚感がありそうなフォルム♡こんな強そうなのにすぐに逃げたりするし♡出現率が低いところも♡たまらなくしゅきぃぃ♡♡」


「ん。ご主人、ご主人がメタルスライムが好きで欲しいのは分かったから早くテイムしないと逃げられる」

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