真那美を殺害した者達は……(美咲・叶編)前
一方、キャンベル王国へと帰還した勇者パーティーは、王都の民衆から様々な歓声を受けた後、王城で貴族や王族のみが出席するパーティーにでて、王様や貴族達から魔族討伐をしたとして祝福の言葉を受けた。
そのパーティーも無事終わり、美咲と叶は王城に用意されは自分達の部屋に辿り着くと
「はぁ〜!本当に最高の気分だわ!目の上のたんこぶだった奴はいなくなったし!民衆や貴族達も私達にヘコヘコして!本当にいい気分!」
美咲は部屋に入ってすぐ、浮かれ気味にそう声をあげた。そんな美咲の態度を叶は軽く注意した。
「ダメだよ。美咲。外にまだ誰がいるか分からないんだから、そんな大声出したら」
「いいって!いいって!聞かれて困るような事は言ってないし!それに!もうこの国で私達に抗おうって人はいないっしょ!なんせ、あの魔王倒した勇者パーティーの一員な訳だし!」
叶の忠告を上機嫌にそう返す美咲。美咲がここまで浮かれるのは、いろんな人からチヤホヤされたからだけではない、真那美という厄介な存在がようやく消えてくれたからだ。
美咲と真那美の付き合いは長く、小学生の頃から高校までずっと一緒の腐れ縁だった。その頃から、美咲は真那美の友達を装いつつも、内心では真那美にかなり恨んでいた。
美咲は自他共に認める美少女である。しかし、それでも真那美の容姿には勝てず、学校の極秘調査で行われている彼女にしたいランキングは毎回2位。もちろん1位は真那美である。
故に、小学生の頃いいなぁと思った同級生の男の子に思いっきって告白するも
「ごめん。僕、真那美ちゃんが好きなんだ」
と、あっさりと振られ、更に中学の時に素敵だなと思った先輩に告白するも
「わりぃ。俺、お前の友達の真那美ちゃんが好きなんだわ」
と、これもまたアッサリ玉砕。更に更に、高校ではそんな苦い経験を活かし、他校の男子に告白し付き合う事に成功するも、運悪くその彼が真那美の事を目撃してしまい
「ごめん。別れよう。俺、君の友達の真那美ちゃんに一目惚れしてどうしようもなくなっちゃったんだ」
と、別れ話をされてしまったのである。ここまでくると、真那美に責任はないとしても、美咲が真那美を恨むようになっても仕方ないのかもしれない。
おまけに、当の真那美は「もし捧げられるなら、処女を捧げるのはスライムちゃんがいい」と常に思っているので、美咲が好きになった人達の告白を断っている。それが余計に
「何なのよ!自分は私が惚れた男よりも上玉がいいって訳!本当にムカつく!ムカつく!ムカつくぅ〜!!!」
と、真那美の気持ちを知らない美咲は恨みを更に強くしていった。
そんな風に、友達を装いながらも真那美の恨みを加速している美咲だったが、そんな彼女は異世界転移し、ジョブ【聖女】を授かり、真那美は最弱ジョブ【スライムテイマー】を授かった事をしり、美咲は心の中で歓喜の声を上げていた。
(やったわ!!この世界では、強いジョブの方が優遇されるし!この世界では私が1番よ!!)
美咲は、真那美を励ますような態度をしつつ、内心で真那美を嘲笑っていた。まぁ、当の真那美も内心で歓喜に打ち震えていたのだが……
が、事態は思わぬ形で一変してしまう。それは、真那美が転移された翌日にはすでに1匹のスライム、人形の変異出来る特殊なスライムのルリをテイムした事から美咲の歯車は完全に狂ってしまった。
その日、女性を痛めつけたいと言う被虐心を持っているジョセフが、最弱ジョブでも使えるようにしてやると言って真那美に稽古試合行を申し込んだ事から始まった。
【聖騎士】のジョブを持つジョセフと、最弱ジョブである【スライムテイマー】を持つ真那美では絶対相手になるはずがなく、一部の者は真那美に同情的な視線が向けられた。
美咲は、心配そうに2人の様子を見つつも、内心は真那美を痛ぶって、出来ればあの顔をボコボコにしてやって欲しいと思っていた。
ところが、その稽古試合は全員の予想を裏切る形で真那美がジョセフを1発て吹っ飛ばして勝利。以降も、真那美が次々と魔王の刺客を倒していった。
それに焦りを覚えたのは美咲だった。これではまた真那美ばかり注目され、この世界でもまた同じような惨めな想いをする事になると……
故に、美咲は最悪の考えに至った。真那美を消してしまおうという考えに……
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