エルフ族の帝国
エルフ族のみが住まう事を許された国。世界樹帝国。世界を支えている樹と言われている世界樹を、人より遥かに長い寿命を持ち、魔力も高いエルフ族が守護する帝国である。
その世界樹帝国の女帝、見た目は10歳前後に見えるが、すでに1000年以上生きていると言われているエルフィナは、二つの報告を見て深く溜息をついた。
「やれやれ……人族はどうしてこうも愚かなのか……」
「あらあら?エルフィナ様。溜息なんてついてどうなされましたか?幸せが逃げてしまいますよぉ〜」
物凄く気が抜けそうなのんびりとした口調でエルフィナにそう語りかけてきたのは、美しいフワッとした銀色の長い髪を靡かせた美女エルフのナーシャである。今日も話すだけでたゆんたゆんと揺れるその胸をジト目で睨んだエルフィナは、軽い溜息と共に今日届いたキャンベル王国から来た報告書と、ヒミカから魔法で送られてきた文をナーシャに投げ渡した。
「……あらあら?まぁまぁ……キャンベル王国は他国と戦争がしたいのかしら?」
「流石にそこまでは思っておらんじゃろ。あくまで、自分達の国の王子が魔王倒したアピールしたいだけじゃろ」
「けど、ヒミカちゃんのこの文面から、凄く怒ってる事がヒシヒシと伝わってくるわよ〜」
「まぁ、あやつはマナミを気に入っておったからの。まぁ、妾もその内の1人じゃが……」
エルフィナはそう言ってしばし思案をした後、自身の1番の側近であるナーシャに指示を出した。
「ナーシャ。アルティナに魔王城に行くように指示を出せ」
「まぁ、アルティナちゃんですか?」
「あやつなら魔王討伐の調査も、マナミの捜索も簡単じゃろ」
エルフィナには絶対的な確信があった。アルティナと呼ばれるエルフ族の女性は、「鑑定眼」というスキルを持っている為、こういう任務では役に立つのである。
「けれど、アルティナちゃんがそう簡単に引き受けてくれるかしら?『お家から絶対に出ない!!』って、いつも言ってるし〜」
ナーシャが困った表情を浮かべてそう言った。有能な人物程困った性格をしているとはよく言ったもので、アルティナは根っからの引きこもり体質なのである。
「シルティーも一緒に同行するよう命じれば、アルティナの事も無理矢理でも連れて行ってくれるじゃろ」
「あぁ!そうねぇ〜。アルティナちゃんも、妹のシルティーちゃんには弱いものねぇ〜」
アルティナの妹であるシルティーは、アルティナとは真逆の、エルフ族には珍しい体育会系女子である。とにかく身体を動かすのが好きで、魔術よりも武術を極めた程である。
「では、そのように頼む。妾は世界樹の森を視察してくるのでな」
「もしかして、マナミちゃんに世界樹の森を譲るのかしら?」
「まぁ、あそこしかあやつが興味を持つ場所がこの国にはないからの。なんせあそこには……世界樹の力の一部を帯びて特殊変異したスライム……マナスライムがいるからのぉ」
一方、その頃の真那美は……
「う〜ん……やっぱりここには珍しいスライムちゃんはいないか……はっ!?あ!?あれはぁ!!?」
真那美が見たものとは!!?
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