関話:各国の動きと勇者パーティー
獣王国ラザーハント 前
キャンベル王国の隣国、獣王国ラザーハント。この国は、獣の特徴を持った人、獣人族が9割以上暮らしている国である。
この国は、他国とは少し違い、まるで昔の日本家屋のような家が並び建っており、更に、この国の名物は「温泉」と呼ばれる湯浴みが有名で、真那美達がこの国に来た時、まるで温泉街のようだ感心していた。
そんなラザーハントに、一際大きなお屋敷がある。そのお屋敷は代々【
「ん〜。もうすぐアキちゃんが来るわぁ」
「ヒミカ様!ヒミカ様!大変です!キャンベル王国より知らせが届きました!?」
すると、まるでヒミカの言葉に誘われたかのように、ヒミカが一言を漏らした後に、犬耳と犬の尻尾を生やした犬型の獣人アキナが、ドタドタと足音をたてて入って来た。
そんなアキナを、ヒミカの専属護衛の、狼型の獣人サナエはジト目で睨んだ。
「アキナ。何度言ったら分かるんだ。ここはヒミカ様の私室なんだから、ちゃんと許可を伺って入室しろと言っているだろう」
「はっ!?そうでした!?申し訳ありませんでした!!ヒミカ様!!」
サナエに注意されて慌てて土下座して謝罪するアキナ。そんなアキナにヒミカは優しく微笑みを浮かべて頭を撫でる。
「かまへんよぉ。うちはアキちゃんの元気な所が大好きやからなぁ〜」
ヒミカに頭を撫でられ蕩けた顔で「私もヒミカ様が大好きですぅ〜!」と言って尻尾をブンブン振るアキナ。そんな2人を見て溜息をつくサナエ。
「それで、キャンベル王国からなんか知らせが届いたんやろ?なんやの?」
「はっ!?そうでした!?……コホン!なんと!勇者パーティーが魔王を討伐に成功したとの事です!!」
アキナの報告にヒミカも隣にいたサナエも驚いた表情をしたものの、ヒミカはすぐに笑みを浮かべ
「それはめでたい話やねぇ〜。これで、数百年はエクスティアは安泰やねぇ〜」
「えぇ。ですが、驚きました。勇者パーティーが結成され旅立ちを始めてからまだ一年も経っていないはずでしたが……いや、まぁ、彼女ならあり得る話かもしれませんが……」
サナエの言葉にヒミカもニッコリ笑って同意するように頷く。サナエの言う彼女とは真那美の事である。
ワルダークの決戦より前、ラザーハントに魔族が魔物を瘴気で狂わせ、ラザーハントに魔物の大群によるスタンピードを起こす事案が発生した。それを解決したのが、たまたま立ち寄っていた勇者パーティーに所属していた真那美である。もちろん真那美とルリとスライム達で解決し、クリストフ達はなんの役にも立っていない。それを知っているヒミカ達は真那美の事を高く評価していた。
「あのぉ〜……そのぉ〜……それがですねぇ〜……」
「どうした?アキナ。お前にしては随分と歯切れの悪い顔をしているじゃないか」
アキナはとても言いづらそうな表情をしていたが、黙っていても仕方ないと言葉を発した。
「実は……………帰還した勇者パーティーの名前に真那美さんの名前がありません」
『は?』
アキナな報告にヒミカとサナエは思わず素っ頓狂な声をあげた。
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