勇者達による裏切り 後
真那美が倒れて、数分間完全に動かなくなったのを確認したクリストフは高笑いをあげた。
「ふふふ……!ふっはははははあぁ〜ーーーー!!!やった!これで!全ての功績は間違いなく僕の物だあぁッ!!!!はっははははは〜ーーーーー!!!!」
そう言いながら歓喜の高笑いを上げるクリストフ。そんなクリストフに『おめでとうございます!クリストフ様!』と讃える勇者パーティーの面々。その声に満足そうに頷くとまた高笑いをあげるクリストフ。
先程のワルダークの戦いで察しているかもしれないが、これまでワルダークがけしかけた部下の魔族達、魔族の瘴気によって凶暴かつ変異した魔物。それら全てを倒してきたのは真那美とルリと真那美がテイムしてきたスライム達である。むしろ、クリストフは策もないまま無謀に突っ込んで勝手にやられてメンバーに回復してもらうお決まりとなってるパターンしかしていない。
が、自分は【勇者】でキャンベル王国の第二王子である。【スライムテイマー】という弱小ジョブの真那美と、弱小魔物のスライムにいつも助けられているなど言えるはずもない。故に、真那美のやった功績は全て自分の手柄にしていた。真那美も特に手柄が欲しいとは思っていなかったので、キャンベル王国ではクリストフが魔族を次々と倒していると伝えられている。
しかし、魔王城前まで辿り着いた時に、クリストフは思ってしまった。真那美は本当の事を喋ってしまうのでは?と。故に、他の3人と相談して、真那美が万が一魔王を倒したら、真那美が油断している所を見計らって殺してしまおうと。前に決闘で負けたジョセフや、前の世界で真那美の存在を疎ましく思っていた美咲と叶はクリストフの計画に首を縦に振った。
「しかし……少しもったいない事をしてしまったかな。一度無理矢理抱いてから殺すのもありだったかもしれないね」
「はっ、クリストフ様は物好きですね!こんなスライムまみれの女!」
かつてやられた恨みを晴らすかのように真那美を踏みつけるジョセフ。が、そこでジョセフはある違和感を感じる。
(ん?今こいつの頭グニュって柔らかい物を踏んだような感触がしたような……)
「まぁ、ジョブはともかく見た目は悪くないと思っているのは君だって同じだろう」
「へっ、あぁ、まぁ、それはそうですね……」
違和感を感じたものの、クリストフに話しかけられた為、その違和感をすぐに消しさったジョセフ。その2人の会話に割り込むように、美咲がクリアトフの腕に胸をわざと押し当てるように抱きつく。
「もう!クリストフ様!私という者がいながら、あんなスライム女の話をするなんて酷いですよ!」
美咲は頬を膨らませ怒ってますアピールをして、更にクリストフに胸を押し当てていく。そんな美咲の言動に満更でもない笑顔を浮かべたクリストフは
「ははは!ごめんごめん!ミサキ。僕が悪かったよ。さて……死体を調べられて真実を調べられるのも面倒だから……燃やしてくれるかい?カナエ」
「分かった」
クリストフの言葉に、叶は頷いてそう答えると、かつてはクラスメイトでもある相手を躊躇なく炎の魔法で燃やした。
「それじゃあ、皆!キャンベル王国へ帰還しよう!」
『了解(です)!!!』
こうして、クリストフと他3名は転移アイテムを使ってキャンベル王国の近くまで転移した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます