第2話 闇側に君臨する者

「シヴァ〜、、、へっへっへっ、、」


真っ黒な姿でなんて醜い・・・


シヴァ「なんか、用かよ!


俺は、お前なんかに用はねぇよ!」


「水臭い事いうなよ、、へっへっ。」


ジャン「やめろ! サタン!


シヴァにちょっかい出すな。」


サタン「なあーんだ。。せっかく遊んでやろうと思ったのになぁ。。」


シヴァ「たく、醜い顔を近づけんな!」


コイツはサタン。誰もが知る、そう、あのサタン。


だが、俺やジャンにちょっかいをかいてくるコイツは、サタンの御霊分けされた一人だ。


本家本元は別に君臨している。


勿論、その本家本元と俺は刺しでぶつかり、戦った時代もある。遥か昔の事だ。



サタン「なぁ、ジャン、俺は何をしたらいいんだ?」


ジャン「あまりにしつこい連中が居る。威嚇し、近づけるな。」


サタン「へいへい。全く、、人使いが荒いっていうか、、、」


ジャン「なんだ。 何か?」


サタン「いや、、、別に。。。」


こんな他愛もない会話ですら、本家本元のサタンからの視線を私は感じる。


奴は闇側の世界に君臨しており、次々と自分の分身とも言えるサタン自身を生み出してきた。


だから、サタンと名の者はそこら中にいる。


勿論、遥か昔、私、ジャンとも対峙してきた。


今回はその当たりを話す。


「よいな!サタン!」


本元に向けて私が言放つと、


ニヤリと笑みを浮かべ、こちらを見ているのが見える。


彼は、動かない。


いや、動けないでいる。なぜなら、私が、ある場所に繫げている為だ。


もしも、恐いならば、読まない方が良いだろう。



遥か昔・・・・


カイム「来たぞ!奴だ!」


カイムの只ならぬ雰囲気と、私にも感じる今までにない負のエネルギー。


奴はそこで、ただ私が現れるのを待っていた。宙にふわふわと漂うかのように。


いつもの様に出迎える。


近づくと、より一層負のエネルギーに負けそうになる。。


なんて力だ。。。


カイムも怯む事もなく、睨みつけていた。



サタン「噂は本当だったのだな。


くだらない世界を何処のどいつが作ったかと思いきや、、、


全く、くだらんぞ!!」


そう言放つや物凄いエネルギーに押され潰されそうになる。


ジャン「コイツが、サタン。。。」


サタン「ほぉ〜。

恐れぬのか?  この俺を。」


ジャン「なんの話だ。」


サタン「只の若造ではない事、お前から出るそのエネルギー、、、


身に覚えがある!

シヴァか!?、、貴様はシヴァ!?」


ジャン「私はシヴァではない!

ジャンだ!」


サタン「だが、、、同じだ!」


ジャン「それは、そうだろう。


シブァは、私の弟だ!」


サタンはそれを聞くや、一瞬緩む。


サタン「弟?、、だと?、、。」


カイムも初めて聞く事に驚きを隠せないようだった。


そして、私は初めて真っ黒なフードを頭から脱ぎ、サタンに顔を見せた。


その時のサタンの表情は今でも忘れない。


サタン「な、、なに、、?!お前は、、、、誰だ!!」


私の素の顔を見たサタンは一瞬にして表情が変わった。。。


そして、最後に「まさか、、、!?」


と言い残しその場を去った。


物凄い負のエネルギーだけを残し。


消え去ったのだ。。。


奴が、何を考え、思ったのかはわからない。しかし、私の何かを感じ去った事は間違いない。


カイム「ジャン!、、、お前、シヴァの兄か!?」


カイムが私に詰め寄る。


カイム「俺は聞いてないぞ、そんな事。一言もだ。」


ジャン「すまない。話した事はなかったな。そう言えば。」


カイム「ちがーう!!!」


興奮気味なカイムを見て


ジャン(ん?、、どうしたんだ?)


カイム「俺がなぜ、お前の所に来たかわかるか?」


ジャン「なんだ?」


カイムは、俺の所に初めて来た理由を話はじめた。


カイム「お前に会う前に、誰だかわからない奴から声がしたんだ。


そいつは俺に言った。


「この先をずっと行け!見た事の無いものがある。そこには独りで男がいるだろう。」


見たことないもんが見えるなんて言われ半信半疑で行ってみたら、お前がいたってわけだ。」


ジャン「あぁ。。そうだったな。」


カイム「あれは、シヴァだったのか?、、、いや、アイツが俺に話しかけるなんて有り得ん!」


私には全く意味不明だ。カイムは何が言いたいんだ?


カイム「シヴァとは因縁の仲だ!昔、対決して、決着はついてないんだ。


アイツの兄。。。なんてこった。。


自分の敵の兄を引き取るなんて、、、」


ジャン「そうだったのか。。知ってたよ。カイムとシヴァが戦っていた事。」


カイムは目が点だ。


カイム「知ってた?、、、は〜っ。


俺は誰かに誘導されたのか?」


「そうだ。」

その時、父の声がした。


カイム「あ、、あの時の奴だな!なんで俺に話かけたんだ!シヴァの兄なんて、、、」


父「だからだ。息子と互角に戦える力を持つお前を見込んでジャンをサポートしてもらいたい。」


カイム「な、なに?、、誰だ?あんたは。」


ジャン「私の父だ。


父は、全ての生命の源でもある。」


カイムは驚きを隠せない様子だった。


そうして、カイムは全てを知る


私の父が誰なのかも、何をしにここへ来たのかも。


そして、私がシヴァと繋がっている事も。。。


カイム「そうだったのか。。。


いいだろう!ジャン、お前の手助けしてやるよ。その代わりに、シヴァと話をさせろ!」


シヴァ「よぉ〜!ぼんくら、久しぶりだな。」


カイム「誰がぼんくらだ。


いいか、まだ決着はついてないんだ!忘れてないよなぁ、、、」 


シヴァ「勿論だ。必ず決着つけてやる!  だから、兄を頼む。。。」


カイムは「わかった。」


と静かに言った。


カイム「アイツ、また来るぞ。」


ジャン「あぁ。わかっている。」



そう、、必ず奴はやって来る。。



そうして、奴は直にやって来た。


しかも、自分に従える者達を引き連れ。


ジャン「何だ? まだ何か?」


サタンは仲間にこちら側に入り込ませようとするが、全く歯が立たないようだ。黒焦げになるのを交わすだけで一杯な様子。


サタンは自ら、こちらの世界にいる私を引きずり出そうと始めた。


それをカイムが阻止する。


だが、かなりの力だ、段々と私はサタン達がいる世界に入り込みそうになる。


ジャン(さすがに、、サタン。。。

これ程までの力とは。。


カイムも加減しているのか、様子を見ているのかと言ったところか。。)


ジャン「仕方ない・・・手荒な真似はあまり好まないが、、、」


私はフードを剥ぎ取り自分の持つ光とも言えるエネルギーをサタン達に浴びせた。


一瞬に奴らは吹き飛んだ。だが、サタンだけはその場に残っていた。


サタン「やはり、、そうか。。


お前は、奴か!?


それとも、、、いや、奴、そのものだな。


俺は誰にも指図は受けない。


お前にもだ!」


ジャン「私は誰の事も指図する気はない。サタン!


お前は、お前の仕事をしているに過ぎない。


だが、度を越すときは容赦はしない。  

それだけだ。」


サタン「ほぉ。。言うじゃないか。。お手並み拝見としよう。


お前がこちら側の見方なのか。」


ジャン「私は誰の見方もしない。


ただ、仕事が成されているかを見るだけだ。」


サタンは呆れた表情で


サタン「ならば、その言葉、内に留めておこう。」


そう言うや否や消え去った。


私はサタンの気配を追った。自分の住処にもどったサタンは、周りにいる悪魔達を下がらせ、独り何やら考えているようだった。


サタン「・・・奴は「仕事」と言っていた。。何だ?


「仕事がなされているか。」・・・


わけのわからんことを!!


必ず仕留めてやる!!!」


そのサタンの様子を私は只黙り静かに観察していた。



私は常にこのサタンから目を離さすにいた。彼が「何をするか」もだが、


私が知りたいのは、彼の思考、思い等だ。


彼、サタンを見ていると段々と様々な特徴が見えて来る。


勿論、「善と悪」ならば、「悪」なのは間違いはない。


しかし、ここで引っかかることが。


彼は元は神だ。それが、悪魔となり、今に至る。


なぜ、聖なる神から落ち悪魔へとなったのか。。。


私の中で疑問が残った。


カイムは自らこちらの闇の世界に来たと聞いていた。


だから、自らこちらの世界に来るのはわかる。


だが、カイムはこちらに居ながら、表は一神教の神だ。


そう、聖なる神だった。


だが、サタンはその神を辞めて悪魔になった。


なぜ、わざわざ悪魔に。。。



その理由もサタンを観察する事で段々と見えて来る。


彼の神だった種族は聖なる神としての品格、考え。


まぁ、思想と言うのか。。


そのようなものがあり、サタンはそれにどうやら、そぐわない。


嫌気がさしたサタンはまるで自らこちらの世界に来たかのようだ。


しかも、聖なる神達に歯向かうように。


私にはサタンがそのように見えて仕方なかった。



サタンは私の元に何度もやって来ては

私をあちらの世界。

暗黒へと引きずり込む事をしていた。


勿論、カイムはその度に手を貸してくれる。


サタンはそのうちに、カイムに手を出し始めた。


そう、カイムが邪魔になったのだ。


カイムの内側にある僅かな光る物を手にかけようとするのが何度か見えた。


私はカイムを護る為、いよいよ、自分の能力を使う時が来る。


サタンはカイムが暗黒に居る時を狙い後からカイムを捕まえ、カイムの内側の光る物を取り出そうとした。


勿論、カイムは抵抗する。


私は二人、目がけ、一点集中させ、サタンの動きを止めた。


サタンは直に、私の姿は無くとも私だと気が付く。


サタン「ジャン!!小賢しい真似を!」


そんなサタンをカイムから引き剥がし、私はそのまま、ヤツの住処であるその場所でがんじがらめにし、

動けなくした。


サタンはその場所からは今でも、動けない。


それから、サタンは次々に自らの分身とも言うような御霊分けしたサタンを生み出した。



私はサタンのする事に何ら手出しはしない。 

その姿勢は貫く。


だが、度を越した時には無に還すべく、その存在を消し去る事をして見せた。


そのうちに、サタンの私に対する態度が変化していく。


サタン「ジャン、お前は俺の見方なのか、敵なのか?」


そう言う、彼に私は


「私は敵でも見方でもない!


中立に見ている!」



サタン「中立だと、、、?


お前は何だと考えているんだ?


以前、俺を見て「仕事が成されているか」と言った。


「仕事」とはなんだ?」


ジャン「「闇」は闇の仕事があり、「光」は光の仕事がある。


「闇」があるから、「光」が見えるようになる。


サタン、お前のしている事は、「悪」であり、「聖」ではない。しかし、「悪」があれば「聖」だと理解できるだろう。」


サタンはニヤリと笑みを浮かべ


「面白い!、、、やってやろうじゃないか!


俺はこの世界で君臨し、長とも言うべく存在になってやる!」




これが私とサタンとの遥か昔の事だ。


彼は今でも、「悪」以外他ならない。


私はサタンからは、目を今でも離さないでいるのだ。




ところで、カイムの内側にある一欠片の光。気になるのではないか。


カイム「これは、、、例えジャンでもやらん!」


私はカイムのその様子に微笑む


カイム「なんだ?、、何がおかしい。」


ジャン「その光る物。大事なんだろ。」


カイム「何か知ってるのか?」


ジャン「あぁ。その光は、、妹の光だからな。」


カイムはあ然としている。


カイム「い、妹?、、、妹がいるのか!?、、、で、、その娘は何処に?、、、」


ジャン「ないしょだ。。。」


カイム「な、、ないしょ?」


混乱するカイムに私は笑っていた。。。





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闇と光の間 中筒ユリナ @ariosu-siva

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