第8話 三角有能定規

ここは勉強机の上。文具たちは今日も会議をします。

三角姉

「わたしの方が有能!」

三角妹

「いいや、わたしの方が有能!」

三角姉

「わたしの方が優秀!」

三角妹

「いいや、わたしの方が優秀!」

三角姉

「わたしが!」

三角妹

「わたしが〜!」

消しゴム

「ちょちょちょっと!2人ともやめなさい!」

三角姉妹

「「ゴムねえ、とめないで!」」

ボールペン

「さすが双子です。」

シャー芯ケース

「そうねぇ〜。ハモって息ぴったりだわ。」

消しゴム

「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ!止めなさいよ。」

シャー芯ケース

「子供は揉めるものよ?それを見守るのも親の役目なの。」

消しゴム

「じゃあ今2人の状況見てよ!」

三角姉

「わ〜!」ぽこぽこ

三角妹

「わ〜!」ぽこぽこ

ボールペン

「和みますねぇ〜。」

シャー芯ケース

「そうね。姉妹だもの。喧嘩して当然よ?」

消しゴム

「もう頼りにならない!私だけでやるわ。」

ボールペン

「きっとそのうち仲直りしてますよ〜。」

消しゴム

「あんたたち!やめなさい。」

三角姉妹

「「なんでめるのよ!」」

消しゴム

「喧嘩してるからに決まってるでしょ。何があったの?」

三角姉

「あのね!妹ちゃんがね!」

三角妹

「いいや!お姉ちゃんが!」

消しゴム

「2人とも落ち着きなさい。ゆっくり話してみて?」

三角姉妹

「、、、どっちが有能なのか決めようとしてたの。」

消しゴム

「どうしてそんなことを決めるの?」

三角姉

あるじーがわたしたちを使うときはだいたい一緒に使われるの。」

三角妹

「だからどっちが有能な定規かわからないの。」

消しゴム

「それでどっちが良いか決めようとしてたのね。」

三角姉妹

「そうなの。」

消しゴム

「それなら、最近ご主人しゅじんがあなたたちのどっちを何回使ったか数えれば良いんじゃない?」

三角姉妹

「「それはやったの。」」

消しゴム

「どうだった?」

三角姉

「わたしが3回で、」

三角妹

「わたしも3回なの。」

消しゴム

「それじゃ決着がつかないのね。」

三角姉妹

「「そうなの。」」

消しゴム

「じゃあこうしましょう。ボールペン、シャー芯ケース、来て。」

三角姉妹

「「どうするの?」」

消しゴム

「見てなさいね?」

ボールペン

「消しゴムさんどうしたんですか?」

シャー芯ケース

「もうを上げたの?」

消しゴム

「違うわよ。ちょっと相談があるの。」

ボールペン

「なんですか?」

消しゴム

「今から三角姉妹に自分のプレゼンをしてもらうの。」

三角姉妹

「「え!?」」

消しゴム

「その説明を聞いてどっちが良いのかを2人に決めてもらいたいのよ。」

シャー芯ケース

「なるほどね〜。いいわよ。」

ボールペン

「私もやります。」

消しゴム

「姉妹たち良いわね?10分で自分のいいところを探してきなさい。それをプレゼンよ!」

三角姉妹

「「わかった!負けないよ〜。」」

消しゴム

「行ったわね。いい?2人とも。」

シャー芯ケース

「どうしたの?」

消しゴム

「今回のプレゼン、どっちがいいかを決めるんじゃなくて。どっちもいいって言うのよ?」

ボールペン

「どうしてですか?」

消しゴム

「仲直りをさせるのが今回の目的。優劣をつけたら元も子もないじゃない。だから2人とも同じって思わせて、仲直りさせるのよ。」

シャー芯ケース

「わかったわ。」


10分後


消しゴム

「さぁ始まりました。『第1回 you know?有能選手権大会!』司会の消しゴムです。今回の選手は三角姉、三角妹の2人です!」

三角姉

「頑張るぞ〜!」

三角妹

「負けないからね〜!」

消しゴム

「今回の審査員はボールペンとシャー芯ケースです!」

ボールペン

「よろしくお願いします。」パチパチ〜

シャー芯ケース

「よろしくね〜。」パチパチ〜

消しゴム

「それでは初めましょう!プレゼンスタート!」

三角姉

「まずは私から、わたしの良いところは沢山ある角度と長い直線です。30、60、90からなるわたしのかくは、3つの角度を測ることができます!長い直線はジョーにいには届かないけど、ある程度長い線が引けます!」

消しゴム

「では次に三角妹!どうぞ!」

三角妹

「わたし良いところはコンパクトな形と統一性のある角度と直線です!直角二等辺三角形であるわたしは、横にも縦にもそこまでない代わりに、お姉ちゃんにはないコンパクトさを手に入れました。45、90のかくは多くは計れなくても見た目の統一感は良く、筆箱に入っていても邪魔にならないです!」

消しゴム

「両者のプレゼンが終わりました。それでは審査に参りましょう!どっちが有能なのが、結果は!」

ボールペン

「両方とも素晴らしいと思います。」

シャー芯ケース

「両方とも優勝ねぇ〜。」

三角姉妹

「「え〜!」」

三角姉

「なんで決めないの?」

三角妹

「意味ないじゃん。」

消しゴム

「2人とも考えてみて?2人の特徴はどっちにも備わっていないものでしょ?ってことは両方とも優秀で有能なのよ。」

三角姉妹

「「、、、。」」

消しゴム

「どっちにも良いところがあるし悪いところもある。だけどあなたちは双子。他には真似のできない仲の良さで、手を取り合っていけば良いんじゃない?これ以上説明はいる?」

三角姉

「ごめんね。」

三角妹

「わたしこそ、ごめんね。」

三角姉妹

「「、、、これからも仲良しでいてね!」」

ボールペン

「これで解決ですね。」

シャー芯ケース

「消しゴムさん様様ねぇ。」

消しゴム

「当たり前よ。文房具は助け合いだからね!」

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文房具の叫び 朝 夕 @asa-yuu

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