第7話 ゆるゆるコンパス

ここは勉強机の上。文具たちは今日も会議をします。

主人

「あ"ーもう!イライラする。ドライバー持ってこないといけないじゃん。」ガチャ

シャーペン

「行ったか?」

ボールペン

「はい。もう大丈夫です。」

三角姉妹

「「何があったの?」」

消しゴム

「本人に聞いてみましょ。」

シャーペン

「おいコンパス、何があったんだ?」

コンパス

「あ、皆さま。」

三角姉

「どうしたの?」

三角妹

「落ち込んでるね。」

消しゴム

「何があったの?」

コンパス

「はい。実はですね、わたくし今頭の方がゆるくなってるのです。」

ボールペン

「どういうことですか?」

コンパス

わたくし、主様に使われるたびに頭のネジが緩くなってしまうのです。」

三角姉妹

「「バカになったってこと?」」

コンパス

「そういうわけではありません。頭が緩くなると脚が安定しないのです。」

シャーペン

「なんで主人しゅじんは怒って部屋を出て行ったんだ?」

コンパス

「ゆるゆるになった私では、ろくにキレイな円を描くことができません。そこに主様ぬしさまはおいかりになって、それゆえ部屋を出て行ったのです。」

三角姉妹

「「どうして敬語で喋ってるの?」」

ボールペン

「そうですよ。敬語キャラ、私と被るじゃないですか。」

コンパス

「これは失礼いたしました。しかしゆるゆるになるとこような喋り方しかできないのです。」

三角姉

「頭はゆるゆるだけど。」

三角妹

「言葉はカチカチなんだね。」

消しゴム

「あんたたちさっきから失礼よ?」

シャーペン

「そうだぞ?言葉には気をつけような。」

三角姉妹

「「はーい!」」

消しゴム

「返事だけはいっちょまえなんだから。」

コンパス

「あの〜、、、。」

消しゴム

「はいはい!どうしたの?」

コンパス

「どうやったら頭のネジがゆるゆるにならないか一緒に考えていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

消しゴム

「ええ、いいわよ。」

ボールペン

「頭をテープで固定するのはどうですか?」

コンパス

「使って行くうちに劣化して行って剥がれるのがオチですね。私の足の可動域も減りますし。」

ボールペン

「そうですか、、、。」

シャーペン

「脚のパカパカをやめてみたらどうだ?」

コンパス

「そうなると私の存在意義が危うくなるので無理です。」

三角姉妹

「「じゃあずっと開けたままで動かないようにすれば?」」

コンパス

「それはもうコンパスとは呼べないような体になってしまいます。絶対に却下です。」

シャーペン

「おい却下ばかりじゃないか。」

消しゴム

「仕方ないでしょ?」

コンパス

「これままことに申し訳ない。しかし私が無能になってしまうことだけは避けたいのです。」

三角姉

「わがままなんだね〜。」

三角妹

「子供みたいだね〜。」

ボールペン

「そうですよ。自分勝手はダメです。」

シャーペン

「そうだぜ。せっかく意見を出してるのに。」

消しゴム

「そんなこと言ったらダメでしょ!彼は真剣に考えてるのよ。」

三角姉妹

「「じゃあゴムねえが何か考えてよ。」」

消しゴム

「え?」

ボールペン

「そうですね。そうすれば解決です。」

シャーペン

「あんだけ言ってたってことはさぞ良い意見なんだろうな。」

消しゴム

「え、えーっと、、、。自分でネジを締めることはできないの?」

コンパス

「それができてたら苦労してません。」

消しゴム

「ネジを無くしてみたらどう?」

コンパス

「それだと私がバラバラになってしまって、本当に私かどうかわからなくなってしまいます。」

消しゴム

「何よ!こっちが意見を出してれば頭ごなしに却下して。」

ドタドタドタ

ガチャ!

シャーペン

「お、主人しゅじん帰ってきたみたいだぜ。」

主人

「やっとドライバー見つけた。これでなんとかなるだろ。」

コンパス

「やりましたこれで、、、元通りだ。」

三角姉妹

「「口調が戻ったね。」」

ボールペン

「よかったです。これでキャラが被らなくてすみます。」

シャーペン

「そういう問題じゃないだろ。w」

コンパス

「皆、この度は大変迷惑をかけてしまった。ここに謝罪を申し上げる。」

シャーペン

「良いってことよ!」

ボールペン

「できるだけあんなことにならないように気をつけてくださいね。」

三角姉妹

「「楽しかったから良いよ〜。」」

コンパス

「皆、ありがとう。」

消しゴム

「ハッピーエンドみたいになってるけど。私まだ怒ってるからね!コンパス許すまじ!」

コンパス

「お助け〜!」

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