第6話 過保護のシャー芯ケース

ここは勉強机の上。文具たちは今日も会議をします。

シャーペン

「今日集まったのは5人でいいのか?」

ボールペン

「はい。消しゴムさんと三角姉妹さんはご主人様しゅじんさまに連れていかれました。」

シャーペン

「なら当分返ってこないだろ。じゃあ今日の議題は何にする?」

シャー芯ケース

「何にもないなら、私のでいいかしら?」

定規

「いいぜ。で、どんな議題だ?」

シャー芯ケース

「えぇ。私ね、過保護じゃないかと思うのよ。」

コンパス

「過保護?どうしてそう思うのだ?」

シャー芯ケース

「私って沢山の芯と生活を共にしてるのだけど。」

ボールペン

「けど、どうしたんですか?」

シャー芯ケース

「芯たちが私から離れていくのが悲しいのよ。」

シャーペン

「なるほどなぁ。」

コンパス

「なかなか共感しづらい悩みではあるが、。」

定規

「あんたはどうしたいんだ?」

シャー芯ケース

「できれば離れたくないのよ。」

ボールペン

「でも離れていくのは仕方ないことじゃないんですか?」

シャー芯ケース

「わかってるわ。でも悲しいものは悲しいのよ。」

コンパス

「なぜそのような感情になるのだ?」

シャー芯ケース

「私はね、来る日も来る日も芯たちを我が子のように思い守ってきたの。」

シャーペン

「でも、それが仕事だろ?」

シャー芯ケース

「そうよ?時には落ちた時の衝撃吸収、時には曲がった時の折れ防止など色々なことをしてきたわ。」

ボールペン

「シャー芯ケースさん、、、。」

シャー芯ケース

「そんな芯たちと別れるなんて私、耐えられないわ。それに私の元から離れて行くのが危なっかしくてとても怖いの。」

定規

「でも仕方ないことじゃないのか?」

コンパス

「そうだな。受け入れるしかないようだ。」

シャー芯ケース

「でも、、、。」

シャーペン

「そうだよ。芯が居なくなったって俺たちがいるだろ?」

シャー芯ケース

「あのね、元はと言えば坊やがやるいのよ!」

シャーペン

「え!?」

ボールペン

「どういうことですか?」

シャー芯ケース

「あなたが私の芯たちをとっていくんじゃない!」

定規

「たしかに。」

シャーペン

「でも仕方ないことだろ!」

シャー芯ケース

「いいえ。あなたがいるからダメなのよ。現に鉛筆さんは詰め替えの芯なんてないじゃない!あなたがあなたさえ居なければ、芯は私の元から離れなくて済むのに!」

シャーペン

「それは鉛筆先輩がそういう構造なだけだ。俺たちシャーペンは違うんだよ!」

シャー芯ケース

「屁理屈言わないで。この芯泥棒!」

シャーペン

「俺たちは機能性に優れてるんだよ!きっとお前の芯だって俺の機能性に惚れ惚れしてるんだよ。」

シャー芯ケース

「うそ、、、。」

シャーペン

「本当は過保護すぎるお前のとこから離れて俺のとこに行きたいって思ってるかもだぜ?」

シャー芯ケース

「そんな。」ガクッ

定規

「おい、さすがにそれは言い過ぎだぞ!」

シャーペン

「だってさ、あんだけ言われて黙っていられるわけないだろ?」

コンパス

「それもそうだ。シャーペン殿もケース殿も悪いところはある。」

定規

「たしかに。それはあるかもしれない。」

シャー芯ケース

「でもたしかに私過保護すぎるし嫌われてるかも。そう考えたらシャーペンの坊やが言ってるのも納得がいくわ、、、。」

???

「「大丈夫!心配しないで!」」

ボールペン

「誰ですか?」

シャー芯ケース

「この声は、、、。私の芯たち!」

シャー芯

「「そうさ!」」うじゃうじゃ

定規

「ぎゃー!大量すぎる!」

シャー芯ケース

「何してるの。危ないでしょ?中に戻りなさい!」

シャー芯

「「だって、ケースの話聞いてたら口出ししたくなるだろ!」」

シャー芯ケース

「どういうこと?」

シャー芯

「「黙って聞いてたら、シャーペンの言うこと真に受けてるし。」」

シャー芯ケース

「でも、もしかしたらと思うと怖くて。」

シャー芯

「「あんなの嘘に決まってるでしょ?あんなやつのところに行く?とんでもないよ。だって僕たちケースのこと大好きだもん!」」

シャー芯ケース

「あなたたち!」ぎゅ!

シャーペン

「なぁ。感動的な終わり型だけどさ、俺めっちゃバカにされてるよな。な?なんで俺だけなんだよ。」

定規

「気にするな。悲しくなるだけだぞ。」

コンパス

「一応、一件落着だな。」

ボールペン

「よかったですね。シャー芯ケースさん。」

シャー芯ケース

「もう一生離さないわ!」




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