第十四話 ランド そして 貴族
「くそぉ! 何で俺達まで! 」
「俺達が何をやったってんだ! 」
ここはルーカスの町の憲兵団の
事を
「貴様らも同罪だ」
「きちんと調べはついている」
「何の話だ! 」
「
「カーヴ工房の元工房主カーヴ殺害の情報を意図的に
「! 」
「おかげで裏を取るのに
ガン!と
その音に反応してか中にいる
捕まっている元憲兵達はカーヴ夫婦殺害時に
それぞれ所属部隊はバラバラで
そして捕まえこうして
いやそもそも罪の重さを分かっていない。
ランドが裏で金を
彼らが実際に手を上げたわけでもないし、死を
ただ『事故』と報告させただけだ。
しかしランドにとって予想外だったのはカーヴが異常に強く、また暗殺者達を何回か撃退してしまったことだ。
そこで作戦を変更し個別に殺害。
最後の最後で暗殺者がミスを犯したのならばそれは戦闘音で起きたニアにみられ、気付いてなかったことであろう。
それを引き金として今回の逮捕に至っている。
「まぁいい。そこで処罰が確定するまで頭を冷やしておけ! 」
そう言い元
★
「父上。浮かない顔してどうされましたか? 」
一人の少年が
ここはルーカスの町の村長
大きな
「……実はこの前『森の
「!!! 」
それを聞き少年は驚く。
森の破風。
Sランク冒険者の中でも特に
それが何故今ここに、と思うも言葉を飲み込み落ち着く。
「
「……流石にSランク冒険者と言えど政治に口出しは」
「ああ。無理だ。無理だとも。だがな、いかんのだ」
「何がでしょうか? 」
そう言う息子を見ながら言葉を選ぶように口を開く。
「……時に……。彼女がどこに住んでいるのかわかるか? 」
「いえ。そもそも
「そうだな。そうなってるな」
「そうなってる? 」
その言葉に軽く
「彼女は思ったよりも身近にいる。いや、遠いが、
「どこに住んでいるのですか? 」
父の遠回りな言い方に少し声のスピードを上げて聞く。
「……魔境だ」
「はぁ? 」
それを聞き、驚く。
「ま、魔境?! あそこはとてもではないですが住める場所ではありませんよ」
「普通なら、な。だが彼女なら可能だ。しかも我々は彼女に魔境からモンスターが
そして分かった。
父が森の破風——つまりシャルロッテに頭が上がらない理由が。
本来ならば魔境にも騎士や兵士等を
少しでも
しかもそれには多大な費用がかかる。
しかしSランク冒険者への依頼ということでそこにシャルロッテを一人置くだけでそれだけの人材育成費に人件費、食糧費等を浮かせ他の事業に
頭が上がるはずがない、と少年は思った。
「しかし……流石に政治介入は」
「……政治介入ではないよ、彼女がお願いに来たのは」
「どういう」
「
ふぅ、と少し息を吐き天井を仰ぐ。
「「悪しき者に破滅をもたらす森の風」とは良く言ったものだ。名付けたやつは
「して、身辺調査は終わったのですか? 」
「ああ。全員黒だった」
そうですか、と言い軽く窓の方を向く。
少年
———
*最後までお読みいただきありがとうございます。本作は中編コンテスト用に作成しました。今後の展開も考えておりますので中編コンテストの結果に関わらず、コンテストが終了後にこの続きを書こうと考えております。
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