第779話 ナウエリス包囲軍の状況2(+簡易地図)

「では、まずはナウエリスの城門も焼き落とすということでよろしいでしょうか」

 ナウエリス包囲軍であるモーネ王女達の状況を聞いたジェロ達。ルネリエル王弟の軍勢であれば、焼き落とした場合の欠点などの文句を言う侯爵達がいたが、ここではそこまであからさまな者はいないようである。

「門を焼き落とした後は、南方から帝国の援軍が来ないかも見てくるんだぞ」

 ただ、残念ながら元上司のドナシアンがいる。ジェロは声を出す元気もないので、素直に頭だけ下げて軍議から逃げ出す。


「ジェロ様、あんな好き勝手言わせて良いのですか?もう立場はジェロ様の方が上なのに」

「あぁいう性格の人は、一度でも部下だった相手に対して態度は変えられないもんだよ」

 ジェロは前世のことも思い出しながら胃が痛くなる。

「さっさとやることやって、この陣地からはおさらばするのが良いよね」

 ナウエリスの城門は鬱憤(うっぷん)を晴らす対象になってしまい、東西南北の門扉はビーレアの街のよりも頑丈だったのに早々に焼き落とされてしまう。戦争状態であり人の出入りも無かったので遠慮する必要もなかったのもあるが。


「じゃあ、次は南方面だね」

「ここもナウエリスからの街道沿いに増援軍が来る可能性があるのですよね」

「でも、まだ来ていないのには何か訳があるのかな。インラントの方はもっと早くに来たのに」

「ベルカイム王国への軍勢を送り出した地方だから、それ以上の援軍を出すのは様子見だったのかも知れないですね。ベルカイムを支配し終えたら、その軍勢がラーフェン東部やこの辺りに向けて攻めて来られますので」

「そうなると確かにラーフェン王国はムスターデ帝国軍による挟み撃ちだね。ただ、ベルカイム王国の方はユニオール皇国軍もいるし、ヒルデリン王子につけた魔人クリノームとベルフールがいるから大丈夫だと思うのだけど」


 ヴァルに悪魔同士の念話経由でベルフールに状況を確認するが、ベルカイム王国はリブルドー以北を奪還した後、南部の街の解放に難航しているようである。

「まぁベルカイムの方は南部がこう着状態ならば、そこの帝国軍にはラーフェンに攻め入る余力はないだろうね」


〜〜〜〜〜

大雑把な位置関係:


<コンヴィル王国>      ‖    <ベルカイム王国> 

       サンレーヌ−−−‖−−王都ルージャン−−−ランソンヌ

王都ミューコン  |     ‖  |           \

   |    /         |           ===

   |  /           |       ‖     \

   モージャン−−−ガニー   リブルドー−−−−‖−−−−皇都ナンテール

   |              |       ‖  <ユニオール皇国>

  ニースコン         ローニャック            |

   |              |               |

  ===            ===              |

   \              |

  ゲンベラン           |

       \          |   <ラーフェン王国>

      ステフェン       |

          \       |

          ルスハン    |

            \     |

−−−ザスニッツ−−−−−−王都ジークセン−−−−ザーローネ−‖−−

    |          |   

   インラント−−−−−−ナウエリス  

    |          |   

======================

        <ムスターデ帝国>

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