第778話 ナウエリス包囲軍の状況

「テルガニ伯爵!ようこそお越しくださいました」

 モーネ王女は歓迎の態度で迎えてくれるが、地上に降りてから軍議の場所に連れて行かれるまでの間は、自分のことを疎ましく思うのをかくそうもしない貴族達の目線に疲れていたジェロ。


「突然の訪問、申し訳ありません。西側の状況のご報告と、こちらの状況伺い等を」

「それはありがたい。使者たちのやり取りだけよりも、おそらく現状をよくお分かりのテルガニ伯爵の口から直接伺えるのは助かります」

 モーネ王女や一部からは歓迎の雰囲気であるが、苦虫を潰したような顔の貴族達も居る。


「では、ご存知のことも多いかと思いますが」

と、前置きをしながらこれまでの状況について説明するジェロ。

 インラントの街を解放した後にいったんエアライツに向かうが、帝国からの増援部隊が来たためインラントの街に戻ったこと。

 増援部隊の兵糧だけ焼いて、それ以上の増援が来ないようにミュンヒ地方をいったん独立させ帝国軍を引き付けていたこと。

 再びインラントの街からエアライツの街に向かうが、増援部隊がそこを守っていること。

 陽動のためにもビーレアの東西南北の門扉を焼き、エアライツの東門も焼いたこと。

 さらなる陽動のためにも、このナウエリスの門扉も焼くかどうかを相談に来たことである。


「流石はテルガニ伯爵!この期間にさまざまなご活躍をされたのですね」

「いえ、皆様のご協力の結果を代表して申し上げただけですので」

「ご謙遜を。そうですね、こちらはご覧の通りナウエリスの街を取り囲んでいるところですが、それほどの進展はありません。ただ、インラントのように、ムスターデ帝国軍が増援部隊を送り込んでくることは懸念しております」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る