第756話 ミュンヒ城の奪還3

 ある程度すると、ミュンハーフェンを治めている帝国の代官や兵士たちも統制が取れだす。

「えーい、好き勝手なことを言わせるな!撃ち落とせ!」

 矢やいくらかの攻撃魔法がディートマルを抱えるジェロのところに飛んでくるが、そもそも上空でありそうそう当たるものではないし、もし到達しそうなことがあってもヴァルが≪結界≫魔法などで弾いてくれる。


「お前たちも城に向かえ!」

「は!」

「ただし、城が囮の場合もある。街の警備も気を抜くな!」

「はは!」


 ジェロたちは事前の調査で、この街の運営を行っている代官たちが城には常駐せず、街の北部にある代官館付近にいることは認識している。

『戦国や安土桃山時代でも、お城の櫓や天守閣に居るのは籠城するときだけで、普段は麓の屋敷で執務や生活をしていたらしいからな』

『また前世の知識?まぁ空も飛べない普通の人間が用もないのに普段からあんな所にいたら不便よね』

 そしてその代官館の上空から、指揮命令の様子を確認している。

 北門の門扉が焼け落ちた後、住民たちが少しずつ城に向かっているのも見えている。そのため、代官館の近くの道に≪炎壁・改≫を発動し、住民と兵士たちが混ざるのを回避する。


『ま、少々の漏れは仕方ないよな』

『あっちにはあっちで待ち構えているのが居るからね』

 ヴァルとも認識が合っているように、北の丘にある城にはすでに100騎のほとんどと、ワイバーンに跨ったコンスタン、そして≪飛翔≫で空を飛んでいるリスチーヌ、アルマティが待機している。

 城を守っていた帝国兵は数人だけだったのですでに拘束済みである。

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