第755話 ミュンヒ城の奪還2

 日が暮れて暗くなった時間帯、まだまだ寝静まるという時間帯ではない時に、作戦を開始する。


 まずミュンハーフェンの街を見下ろす丘にあるミュンヒ城の城門、すでに門扉は無いままであるが、そこに大きな炎を燃え上がらせる。続いてミュンハーフェンの東西南北の城門、こちらは門扉が存在するがそれに火魔法による攻撃を行う。

 悪魔シトリーを従えた魔人ネベルソン、悪魔アグリモンを従えた魔人サグリバス、そしてリバイモンに東西南の城門を任せ、ジェロは城につながる北門を燃やす。


「ディートマル!」

「はい!」

 ジェロはディートマルを上空に連れて行き、発声を促す。そして、街と城すべてにディートマルの声が届くように風魔法で拡散させる。

「私の名前はディートマル・ミュンヒ。そう、ミュンヒ王国の王族である。ムスターデ帝国の圧政に苦しむミュンヒの民よ。ながらく待たせてすまなかった。今夜、ミュンヒ王国の復興を宣言する。今からこのミュンハーフェンは我らミュンヒ王国の手に取り戻す!」

 サクラとして何人かを街のあちこちに忍ばせていた部下たちに、ディートマルの声に対して歓声を上げさせる。


 最初は、何が起きたのか分からない住民たちで反応もなかったが、上空を何周かしたディートマルに対して答える者たちが出てくる。

「ミュンヒ王国、万歳!」

「ディートマル殿下!」


 その様子を確認して、今度は別の案内を拡散していく。

「ミュンヒの民よ!我らは今からミュンヒ城に集う!われこそと思う者は城へ!」

 それに呼応するように

「ミュンヒ城へ!」

「城へ!」

という声が上がっていく。

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